対象喪失 の商品レビュー
自己を同一化したりな…
自己を同一化したりなど、愛情を持っていた対象が喪失した時、悲しみが訪れる。幽霊を見る心理などについても触れられています。
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何か自分自身にとってかけがえのないものを失ったときに人は、非常事態においては生命維持を優先して喪失感をすみにおいやり、また日常においても社会という枠組みのなかにおける自分の立場を意識して喪失感をおしつぶしてしまう。このような外からの圧力がない状況においても、失った物や人に対する罪...
何か自分自身にとってかけがえのないものを失ったときに人は、非常事態においては生命維持を優先して喪失感をすみにおいやり、また日常においても社会という枠組みのなかにおける自分の立場を意識して喪失感をおしつぶしてしまう。このような外からの圧力がない状況においても、失った物や人に対する罪悪感や優越感など、さまざまな感情が入り交じることで、純粋に喪失の対象を悲しむということが実はできていない。 それでは、失った事物を本当に悲しむとは一体どういうことなのか。それをフロイトの研究に沿って、さざまざな例を引きつつ紹介するのが本書。 「『悲哀の仕事』は、そのような断念を可能にする心の営みである。しかしながら、あくまでもそれは断念であって、失った対象を取り戻すことでも……、悲哀の苦痛を感じなくなるという意味でもない。……それをどうすることもできないのが人間の限界であり、人間の現実である。大切なことは、その悲しみや思慕の情を、自然な心によって、いつも体験し、悲しむことのできる能力を身につけることである。」 本書の構成は、一、二章が導入部を兼ねたさまざまな悲哀の実例の紹介。三、四、五章と続けてフロイトの悲哀研究の話とフロイトの経歴の話が続く。それから末章にかけて悲哀の構造や過程についての説明、解析が続き、最後の最後に「対象喪失」の定義について説明がくる。正直、この構成は読み手からすれば迷惑。また、フロイトの話が冗長で退屈。ほとんどフロイトの夢日記と書簡の紹介。もう少し要約できただろうに。しかも引用される実例はほとんどが海外のもの。それだけ日本国内では満足に同分野の研究が進んでいないという証左にもなろうが、ところどころ日本人の感覚とずれていると感じるところがあった。 本書が書かれた時代からして、戦後の種々の喪失感を埋めようと日本人が仕事やその他の方面で病的に張り切りすぎた反動が顕著に現れ、社会問題となったのが執筆のきっかけだったのではないかと思う。 実例や、鬱病の病理のところは個人的に気づきがあった。ただ、上述の通り構成がいまひとつなのと、引いた実例も日本人と肌感のあわないものがあったのと、構成の所為なのか、全体通してまとまりがない。「対象」の範囲がまたひろすぎて、なんでも御座れ。もう少し絞った方が読み手にはよかったのでは。
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精神分析やフロイトの体験 ( 3 章) の是非はともかく、悲哀の各段階の類型を多数読むことができる。概説と数例しか載らない本に比べて、取っ掛かりとなる情報が多く適用/応用範囲は広い。
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人間が生きていれば必ず経験することについて書かれていた。思ったより身近にあることについて書かれていた。読んでよかった
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前半の本当にさわりの部分は面白い。後半も少し面白く為になる内容が書いてあるが、全体的に価値観が現代と違っていて今ひとつピンとこない。「そう…かなぁ?」「ぇえ〜?」と思いながら読み進め続けることになったので苦痛すぎて中盤の退屈なフロイト話は全部飛ばした。 終章の、フロイトが母親から死について教えられた時の話が良かった。 「人間は土から作られていて、土に戻らねばならない」 そして母親が団子を捏ねた捏ねカスを見せて、 「人間もこういうカスでつくられているだけ」 あとP66の望郷の一説も良かった。 肝腎要の対象喪失の克服にはどうしたらいいのか具体的な策については自分の中ではボーンヤリ。
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フロイト個人の対象喪失についての章は少し退屈で飛ばしてしまったが、全体的に読んで良かったと思える本。悲哀の仕事を途中で止めることなく、自然な心の動きを無視しないことの大切さがわかった。 対象喪失の反応は喪失から1年間は現れるとのことだった。自分も焦らずに気長に悲哀の仕事をしていきたい。
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人は悲哀することを辞めている。 悲哀排除型社会 人間味がある人になりたいと改めて思った。 愛着。 喪失による、憎悪、自己批判、自己承認、賛美化。
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肉親や恋人・配偶者、子ども。ひとは生きていれば必ず死別を経験する。 私が経験した死別は、当時の私にはとても強烈であり、数年にわたってーいやおそらく一生にわたって、大きな影響を残した。まさに喪失だった。 悲嘆に暮れる日々に大学の図書館をあてもなくさまよっていたとき、この本の背表紙...
肉親や恋人・配偶者、子ども。ひとは生きていれば必ず死別を経験する。 私が経験した死別は、当時の私にはとても強烈であり、数年にわたってーいやおそらく一生にわたって、大きな影響を残した。まさに喪失だった。 悲嘆に暮れる日々に大学の図書館をあてもなくさまよっていたとき、この本の背表紙が目に入った。そこには、自分がまさに経験している悲嘆と同じものが描かれており、自分の抱えている、どうしようも処理しきれない莫大な感情が、「対象喪失」のあとに起こることとしては普通のことなのだと知ることができた。当時の私にとっては、そのことだけでも大きな助けを得た気持ちだった。胸を張って悲嘆することができるようになったと言おうか…。 近年は「グリーフケア」ということも言われており、対象喪失とその後の悲嘆に対するケアの重要性が説かれている。本書はフロイトのエピソードや分析を紹介しつつ、悲嘆がどのようなものかを事例をもとに解説する、基本的な書物の一つだと思った。 なお、紹介されている事例は、単純な悲嘆のみならず、むしろ葛藤のある関係での喪失体験の紹介が多い。これは、そういった事例で精神神経科的な問題が起こりやすいことの表れなのだと思われた。
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小此木啓吾 「 対象喪失 」 対象喪失により引き起こされる悲哀 に関するフロイトの研究をまとめた本。対象喪失とは、愛情や依存の対象であった者の死、アイデンティティの喪失など。 著者の主張で 驚いたのは フロイトの悲哀研究は、父の死を経験したフロイトの自己分析から行われているとし...
小此木啓吾 「 対象喪失 」 対象喪失により引き起こされる悲哀 に関するフロイトの研究をまとめた本。対象喪失とは、愛情や依存の対象であった者の死、アイデンティティの喪失など。 著者の主張で 驚いたのは フロイトの悲哀研究は、父の死を経験したフロイトの自己分析から行われているとした点。悲哀の心理プロセスを、転移、投影同一視、未開人の喪の慣習 から 紐解いている 悲哀を避けるな 克服せよ という 父性的メッセージを感じる *悲しみを悲しみ、苦痛を苦痛として味わう〜人間にごく自然に与えられた心のプロセス *人生は対象喪失の繰り返し〜悲哀と対象喪失をどう受容するかは もっとも究極的な精神課題である 山あらしのディレンマ 寒さに凍えた山あらしのカップルが、暖めあおうと近づいたが、近づくほど、トゲでお互い傷つけてしまう。近づいたり離れたり繰り返して、適当に暖かく、お互い傷つけない 距離を見つけた フロイトの母の言葉「人間は土から作られていて、土に戻らねばならない」
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愛する対象を失う悲しみをカガクする一冊。本書は、愛情・依存の対象を失うこと(「対象喪失」)に対する心のメカニズムを、フロイト研究でも有名な精神科医の著者が一般読者向けに解説したものである。その内容は、精神科医として著者がこれまで診てきた患者を例に「対象喪失反応」について分析した...
愛する対象を失う悲しみをカガクする一冊。本書は、愛情・依存の対象を失うこと(「対象喪失」)に対する心のメカニズムを、フロイト研究でも有名な精神科医の著者が一般読者向けに解説したものである。その内容は、精神科医として著者がこれまで診てきた患者を例に「対象喪失反応」について分析した章と、フロイト研究者として彼の精神分析理論が構築される過程を分析した章に分かれる。 著者は、対象喪失に対しては「その悲しみや思慕の情を、自然の心によって、いつも体験し、悲しむことのできる能力を身につけること」(p.156)が大切だとする。一見すると”当たり前“の話に思えるが、実際には、その”当たり前“が非常に難しいことを本書は教えてくれる。即ち、失った対象への悲しみだけでなく、憎しみや罪意識といったネガティブな感情が生じるのは人として必然であり、そうした感情に真正面から向き合う覚悟こそが重要となる。 本書は「悲しみ」に対する特効薬となるような記述があるわけではない。だが、そうした場面に直面した時、人の心はどのような反応を示すのかを知っておくことで、初めて人は素直に「悲しむ」ことができるのではないだろうか。
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