文学で社会を読む の商品レビュー
先ず、『文学で社会を読む』という題だが、むすびに拠れば最初は『戦後を読む』というものだったそうだ。「戦後」という言葉が死語となって手に取り難いということから改題されたようだが、この本の内容を的確に表現するには原題の方が好ましいかと思う。 戦後、とどのつまり敗戦した後の日本の歩み...
先ず、『文学で社会を読む』という題だが、むすびに拠れば最初は『戦後を読む』というものだったそうだ。「戦後」という言葉が死語となって手に取り難いということから改題されたようだが、この本の内容を的確に表現するには原題の方が好ましいかと思う。 戦後、とどのつまり敗戦した後の日本の歩み(大体がネガティブな側面)を、50の作品を用いて評している。 さっくり感想を述べれば、筆者佐高の個人的思惑が内在し過ぎて、取り上げた作品について殆ど述べていないものもある。その考えが大凡傾いているものもあった(政治について)故に読みづらい面も。 ただ、日本が他国(主にアジア圏)に行った行為、アメリカ文化の流入、公害、会社、憲法、宗教など、戦中はおろか戦後から何十年も経て生きる原題の若者としては、新たに知り得ることがたくさんあるのでは、と思う。 加えて、読んでみたい作品(中城ふみ子『乳房喪失』、石坂洋次郎『青い山脈』など)を見つけることができたので、好かったかな。
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