アフリカの日々 の商品レビュー
「アフリカの日々」はディーネセンがアイザックという男名前のペンネームで書いた自伝小説である。 1914年、北欧からアフリカへと渡り、ケニアでコーヒー園を経営する女農場主として18年生きた間の、土地の人々との出来事。アフリカの大自然との出来事。白人との付き合いなどが、緻密な筆で描か...
「アフリカの日々」はディーネセンがアイザックという男名前のペンネームで書いた自伝小説である。 1914年、北欧からアフリカへと渡り、ケニアでコーヒー園を経営する女農場主として18年生きた間の、土地の人々との出来事。アフリカの大自然との出来事。白人との付き合いなどが、緻密な筆で描かれている。 最初は、「キャッチャーインザライ」と「1Q84」に出てくる本なので興味を持った。翻訳本特有の読みにくさに閉口したが、次第にアフリカの世界観へと引きずり込まれた。乾いた大地にやって来る雨期。部族の習慣と気質。特にマサイとキクユは印象的だった。 印象的と言うとブッシュバックのルルのエピソードやンゴマの祭りがそうだった。 やがて農園は行き詰まり手放す事となり、彼女もアフリカを後にした。 壮大なアフリカのサーガというだけはある。しみじみアフリカの土埃っぽい風を吸い込んでみたい方は是非どうぞ。
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当然すべてが事実ではなく創作の部分が多いはずだが、女性として魅力的。アフリカも魅力的に描かれている。 貴族の植民者と現地の人の綺麗ごとのエピソードが多い中、現地人が土地を所有することを禁じられていたという、植民地時代の真実もチラッと出てくる。植民地時代という時代なりの制限と環境の...
当然すべてが事実ではなく創作の部分が多いはずだが、女性として魅力的。アフリカも魅力的に描かれている。 貴族の植民者と現地の人の綺麗ごとのエピソードが多い中、現地人が土地を所有することを禁じられていたという、植民地時代の真実もチラッと出てくる。植民地時代という時代なりの制限と環境のなか、懸命に生きている。自分の生を精一杯生きるたくましさに引き付けられる。 続けて4作読んで、好きな作家になっている。 楽しみながら、すこしずつ大切に味わった。読み終わってしまうのが惜しいと思える作品。
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デンマーク出身の作者がケニアでコーヒー農園を経営し、そこでの自然や現地の人々、喜びと絶望を綴った半自伝小説です。 特筆すべきは、彼女の風景描写。 はっきりと存在感を持つ大気と濃い緑、恵みの雨、逞しくも優雅で自由な動物たち、そして黒く魅力的な肌を持つアフリカの人々。 ハッとさせら...
デンマーク出身の作者がケニアでコーヒー農園を経営し、そこでの自然や現地の人々、喜びと絶望を綴った半自伝小説です。 特筆すべきは、彼女の風景描写。 はっきりと存在感を持つ大気と濃い緑、恵みの雨、逞しくも優雅で自由な動物たち、そして黒く魅力的な肌を持つアフリカの人々。 ハッとさせられる程、繊細に美しく紡ぎ上げられています。 作者の視点は、清少納言と通じるものがあり、数ページ読んだだけで、あっという間にかの広大な大地の息吹を感じさせてくれます。 ちょっとした合間に、少しずつじっくりと読み味わって頂きたい作品です。 (福岡教育大学 院生)
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-山の輪郭は、距離というものの力によって次第にやわらげられ、やすらかな面影となって、私の記憶に残った- アフリカの農園当主となった女性の人生ドラマ。男として生きることを決意したディネーセンと重なります。アフリカの大地は荒々しく、やさしく、そこに生きる人の心と体を創るんだなあ。小...
-山の輪郭は、距離というものの力によって次第にやわらげられ、やすらかな面影となって、私の記憶に残った- アフリカの農園当主となった女性の人生ドラマ。男として生きることを決意したディネーセンと重なります。アフリカの大地は荒々しく、やさしく、そこに生きる人の心と体を創るんだなあ。小さな島国で、小さな日常に悩むより、外に出て深呼吸して生きていこう、と思えます。生命力美。描写力がまたすばらしい。映画『愛と哀しみの果て』の原作。
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18年間にわたるアフリカでの農園経営の体験をに基づいた、半自伝的な小説・・・というか物語というか見聞録というか。 ヨーロッパ人から見たアフリカということでレッシング『老首長の国』から引き続いて読んでみたが、個人的にはディネーセンの方が好み。 一番の違いは、ディネーセンはアフリカの...
18年間にわたるアフリカでの農園経営の体験をに基づいた、半自伝的な小説・・・というか物語というか見聞録というか。 ヨーロッパ人から見たアフリカということでレッシング『老首長の国』から引き続いて読んでみたが、個人的にはディネーセンの方が好み。 一番の違いは、ディネーセンはアフリカの環境・文化・価値観をあるがままで認め、それを受け入れる点である。レッシングは異なる価値観のもの同士を何とか自分の価値観の枠内で理解しようとして苦しむが、ディネーセンはそこにあるものはそれとして受け止める。 そんなディネーセンの半自伝的な記録は、非常に活力に満ち、アフリカの民族・広大な自然の魅力を圧倒的な存在感で伝えてくれる。著者がいかにアフリカを愛しているかがひしひしと伝わってくる名著。読んでてこちらも著者と一緒に一喜一憂させられる、いい読書体験をした。
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世界の拡がりを求めて。想像を超えた何者かに出会う期待を胸に。究極の欲望を大いに満たしてくれるアフリカの日々。
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