昔話の深層 の商品レビュー
グリム童話など昔話のユング心理学的読み解き解説本。 河合隼雄が元々すきなのと、表紙・挿画のスズキコージの絵に惹かれ購入。 童話というと、一般的に教化的・教訓的な印象もあると思うが、特に悪いことをしてなくてもひどい目にあったり悪いやつや怠け者が良い目にあったりなど、ぱっと見、意味...
グリム童話など昔話のユング心理学的読み解き解説本。 河合隼雄が元々すきなのと、表紙・挿画のスズキコージの絵に惹かれ購入。 童話というと、一般的に教化的・教訓的な印象もあると思うが、特に悪いことをしてなくてもひどい目にあったり悪いやつや怠け者が良い目にあったりなど、ぱっと見、意味が見出せない話が強い印象を残したりする。 そんな話をユングの集合的無意識論をガイドに読み解く。 最初は、へーそんなもんですか、てな具合でピンとこないながら読み進めていたが、一冊読み終わるとなんとなくではあるけど、雰囲気はわかるし、単純に未知の読み解き方を辿るのが面白い。 巻末に章毎の題材となる物語が収録されていて、それを読んで不思議な気分を味わってから、本編のこれまた不思議な解説を読むことができる。 「怠けと創造」の章では、怠け者の成功譚が題材(物ぐさ3人息子/三年寝太郎/ものぐさ太郎、など)。 当時の人々の憧れとしての成功譚の成立や、精神的ダメージを負った人の回復過程で退行現象として怠けが生じるような臨床的な話もあれば、怠けた後の創造的な生き方への反転過程など、色々な解釈を見せてくれる。 この読み解き方が正しい、と言っているわけではないし、読み解かれる意味が万人に適応されるわけではない。しかし、なるほどと思えるところもあるし、ただただ不思議な気持ちになるだけの部分もあるのが面白い。 集合的無意識に関する突っ込んだ内容の本も読みたくなった。 各物語の扉絵もとても素晴らしく雰囲気もぴったりだと思う。
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グリム童話を中心に昔話、御伽話や神話などをユング心理学の観点から解き明かした著作。 ユング心理学における“集合的無意識”というのは、文化も国境も越えてここまで普遍的なのか、ということに驚いた。 各国の文化による違いなんて所詮は”意識下”の違いであり、国や言語が違っても、人間の根源...
グリム童話を中心に昔話、御伽話や神話などをユング心理学の観点から解き明かした著作。 ユング心理学における“集合的無意識”というのは、文化も国境も越えてここまで普遍的なのか、ということに驚いた。 各国の文化による違いなんて所詮は”意識下”の違いであり、国や言語が違っても、人間の根源的な部分はそうそう変わらないのかと感じる。 また、2000年近く前の人たちが御伽話や神話に対してどのような寓意を込めていたのか、ということも実感できた。 個人的には、女性の自己実現の一環としてのアニムスとの対峙、というところが自分自身の経験と照らし合わせて非常に興味深かった。 しかし、取り上げられている題材が、筆者は有名な話と言っているが私はほとんど知らず、理解しにくい部分もあった。 巻末に題材に使用した昔話が掲載されていることにもっと早く気付いていれば……。
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昔話や絵本に最近、ハマっているので手にとってみたが、予想以上に得るものが多かった。 意識や無意識、自己実現やグランドマザー、アニマなどなど興味深い考察に、感心したり、驚いたりしながらじぶんに当てはめて楽しく読ませていただいた。 今まで物語の表面しかみていなかったことに反省。 これ...
昔話や絵本に最近、ハマっているので手にとってみたが、予想以上に得るものが多かった。 意識や無意識、自己実現やグランドマザー、アニマなどなど興味深い考察に、感心したり、驚いたりしながらじぶんに当てはめて楽しく読ませていただいた。 今まで物語の表面しかみていなかったことに反省。 これからはもっと、色んな角度から昔話や絵本を読むように心がけようと思う。 読んで良かった!
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昔話の中に散りばめられている心理的なネタについて書いている本. へぇ,これはこういう象徴なのね, と思うこともできて, 昔話を新しい一面から見ることもでき, 面白かった.
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