ベロ出しチョンマ の商品レビュー
何度読んでも、登場人物の健気さに心が打たれてしまいます… 強くても弱くても家族や村人を守ろうと必死に立ち向かっていく姿は、正義のヒーローではなく、不器用でしかないからこそ、心を打つのかなと思います。滝平二郎さんの絵もすてきです。
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全部で28編の創作民話を集めた児童文学書である。タイトルになっている「ベロ出しチョンマ」の他には「モチモチの木」や「八郎」などが良く知られているようだ。 「チョンマ」とは「長松」がなまったものだ。長松には幼い妹があった。長松はその妹を慰める時ベロっと舌を出し変顔をして笑わせ...
全部で28編の創作民話を集めた児童文学書である。タイトルになっている「ベロ出しチョンマ」の他には「モチモチの木」や「八郎」などが良く知られているようだ。 「チョンマ」とは「長松」がなまったものだ。長松には幼い妹があった。長松はその妹を慰める時ベロっと舌を出し変顔をして笑わせていた。ある時、名主である父親が、厳しい年貢に耐えきれず苦しんでいる村人たちの代わりに将軍に直訴したため、一家もろとも磔にされることになった。怖がる妹をなだめようと長松は磔にされながらもベロを出して妹を笑わせながら処刑されたという。 なぜこの物語にたどり着いたかというと、福澤諭吉が「学問のすすめ」の中で、この長松の父親である佐倉宗五郎という人物を褒め称えていたからである。福澤によれば赤穂浪士などはミソクソである。忠臣義士や戦での討ち死に、政権争いや敵討ちで一命を投げ打ったものなど一見美しいようだが、世の中には何の役にも立っていない。非文明的なのだそうだ。 それに対し「人民の権理(権利)を主張し正しい道理を訴えて政府(幕府)に迫り、その命を捨てて、死ぬところで死に、世界中に対して恥じることのない人物は、古来、ただ佐倉宗五郎があるだけだ」と福澤は言う。 このことはどこにも正式な記録が残っていないらしく、民話や郷土玩具などによって言い伝えられているようだ。ウィキペディアによれば、佐倉宗五郎(さくらそうごろう)は下総の国、印旛郡公津村の人で、1653年上野寛永寺に参詣する四代将軍家綱に直訴、夫妻は磔となったとされている。 福澤はこういう人を西洋では「マルチルドム(martyrdom)」、「殉死」と呼ぶと紹介している。 長松親子が処刑された刑場跡には小さな社が建ち、命日にあたる一日には縁日が立ち「ベロ出しチョンマ」の人形が売られるという。
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