きつねの窓 の商品レビュー
不思議な話、幻想的な話、ちょっと怖い話、そういう空想力を刺激するような短編が10こ収録された児童文学小説。語り口のやさしい雰囲気や、”無茶な方向”には進ませず、この世界の中における規律を守る展開、そういう手堅い物語が多い印象です。あとどの話も悪い方向に転がる可能性みたいなものが常...
不思議な話、幻想的な話、ちょっと怖い話、そういう空想力を刺激するような短編が10こ収録された児童文学小説。語り口のやさしい雰囲気や、”無茶な方向”には進ませず、この世界の中における規律を守る展開、そういう手堅い物語が多い印象です。あとどの話も悪い方向に転がる可能性みたいなものが常に残されていて、そんなところにも惹きつけられました。また途中途中ではさまれる挿絵がかわいく魅力的。総じてとてもいい短編集でした。 以下で、気に入った作品のメモ書きのような感想を。 『きつねの窓』 失われた時を求めてしまう人のさがについて、おとぎ話として描いた物語なのかな、と思いました。指をそめ、ひし形を作ることで、いまはもう会うことのできない大切な人の姿を見ることができる「きつねの染め物屋さん」。正しく「きつねに化かされる」話なわけですが、読後の印象はとても切なく、さみしさとか哀しさが込み上げてきます。 つうかきつねくん優秀だな。化けることも出来るし、軽くマインドコントロールも可能だし、猟銃を手に入れたしで、1狐で戦争でも始めるつもりでしょうか?(もっとちゃんと読め) 『だれも知らない時間』 副題をつけるなら「夏まつりを享受せよ」でしょうか。漁師の若者がしゃべる亀と出会うという導入や、「時間」という要素が重要となる点は「浦島太郎」に近いです。寓話における亀の役割って「時間」と関連するものになりがちってことですかね。でもこの話が進む方向は予想していたものとはちょっと違い、最後はそれぞれの人たちが満足する、そんな落とし所へと辿り着きます。ラストの夏まつりの場面が好きだなあ。ひとつの場所における幸福で引き延ばされた時間。懐かしいなにかを思い出すような、切なく、美しい物語でした。 『緑のスキップ』 メモ:端役でコーヒーを淹れてくれるきつねが出てくる。 『鳥』 これ私の推し短編です。ふしぎなことが割と平然とした様子で起こるって世界観は好いですね。主人公は耳のお医者さん。彼のもとに訪れた女の子の患者さんは、耳の中に”ひみつ”が入ってしまったのでこのままでは大変なことになる、と言い出します。女の子の耳の中を除くとまっさおな海と砂浜、白いかもめが見えるという情景の面白さ。気づくとお医者さんもその中に入っていたりと現実と虚構の境界線があいまいなのが素敵です。こんな不思議な出来事が起こってもお医者さんは平然としてるので、この病院にはよくこういった患者さんが来るのかもしれませんね。
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少しふしぎな物語10編収録。 幻想譚というべき美しくも切ない物語たち。美しく楽しいものを失くしてしまう。 しかしそこにあるのは哀しみでなく、ほんのりと温かいなにか。物語のおもしろさを伝えてくれます。
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人生で出会った本の中で、1番好きかもしれない! 小学校低学年の時に初めて手に取った。当時1番好きな話は夕日の国で、ドキドキしながら校庭で縄跳びを飛んでいたのを覚えている。 ファンタジーと現実が絶妙に溶け合っている。読み終えた後、想像した物語の世界の空気が、しっとりと頬に残る。それ...
人生で出会った本の中で、1番好きかもしれない! 小学校低学年の時に初めて手に取った。当時1番好きな話は夕日の国で、ドキドキしながら校庭で縄跳びを飛んでいたのを覚えている。 ファンタジーと現実が絶妙に溶け合っている。読み終えた後、想像した物語の世界の空気が、しっとりと頬に残る。それほど自然に、入り込んでしまう。 言葉選びがすごく丁寧で優しいところも良い。 将来私の子どもにも読ませたい!
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懐かしくて思わず買ってしまいました。安房直子さんの作品は優しい余韻の残るものが多くて子供の頃から大好きでした。大人になった今、再読して昔とは違った意味で少し涙腺がゆるみました。
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ほっこりとした話から、ちょっとミステリアスな話、ひたむきな話。 珠玉の短編集といっても過言ではない。 教訓めいた話も、丁寧な表現で四季の彩りを織り交ぜながら、心に染みるように描かれています。
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「梅雨に読みたい本」で思い浮かんだ本。 地についてるのか宙に浮いているのか曖昧なくらいのファンタジー。
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小学校の国語の教科書に載っていたお話で、一番大好きだった「きつねの窓」 大人になってから読んでみても、あったかくってちょっとさみしくって、やっぱり大好きだなあと思った。 それ以外の話だと、亀が寿命を分けてくれる話がよかったな。一日一時間、誰にも知られない時間をもらって、主人公は太...
小学校の国語の教科書に載っていたお話で、一番大好きだった「きつねの窓」 大人になってから読んでみても、あったかくってちょっとさみしくって、やっぱり大好きだなあと思った。 それ以外の話だと、亀が寿命を分けてくれる話がよかったな。一日一時間、誰にも知られない時間をもらって、主人公は太鼓の練習をしてたけど、私だったらなにするかなぁ。考えるとワクワクする。
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「夢」がキーワードになっている話が多く収録されている。 安房直子ってメルヘンな世界を描く作家さんのはずなんやけど、表題作のように主人公がヘタレ青年ばかりっていうのは何でなんだろうか。笑 だからか分からんけど、登場するふしぎな動物たち以上に、主人公の人間たちがかわいく見えてしまう。...
「夢」がキーワードになっている話が多く収録されている。 安房直子ってメルヘンな世界を描く作家さんのはずなんやけど、表題作のように主人公がヘタレ青年ばかりっていうのは何でなんだろうか。笑 だからか分からんけど、登場するふしぎな動物たち以上に、主人公の人間たちがかわいく見えてしまう。 「さんしょっ子」がせつない。この短編集はせつない話が多い。
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表題作の「きつねの窓」は、とても心に残るお話でした。 出会えて良かったです。 私はこのお話を、哀しいとは感じませんでしたが、寂しいなぁ…と、思いました。 指で作った窓から見えるもの、それは見えても今は決して手に入れることは出来ない、昔の幸せな記憶…これが、“寂しかった”のです…...
表題作の「きつねの窓」は、とても心に残るお話でした。 出会えて良かったです。 私はこのお話を、哀しいとは感じませんでしたが、寂しいなぁ…と、思いました。 指で作った窓から見えるもの、それは見えても今は決して手に入れることは出来ない、昔の幸せな記憶…これが、“寂しかった”のです…。 こぎつねは、今でも指を青く染めているのでしょうか…。 読んでいる最中、今は亡き祖父の優しい笑顔など、自分自身の昔の思い出が頭をよぎり、胸をギュッと掴まれたようで、少し苦しかったです。 そして、桔梗の青色も、優しく又印象的でした。 「きつねの窓」だけでなく、他の短編もとても興味深く読ませて頂きました。
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小学生の時に何度も読んだ童話。 大人になって読みかえしても面白い。 童話だけど、どこか大人びてて、ちょっと暗くて哀しくて、不思議なお話達。
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