解放された世界 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
巻末のルーズベルト大統領との往復書簡が人権宣言につながる話が興味深い。 平和のための世界政府構想をもっていたウェルズが当時どのように活動していたか、初めて知りました。
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マンハッタン計画に影響を与えたレオ・シラードが核兵器の可能性に戦慄を覚えたきっかけにもなったということで読んでみた。第一次世界大戦直前の核物理学初期黎明期に完成されている点に注目。 小説というよりはシナリオや思想を全面的に押し出した内容となっている。 核エネルギーの解放という意味...
マンハッタン計画に影響を与えたレオ・シラードが核兵器の可能性に戦慄を覚えたきっかけにもなったということで読んでみた。第一次世界大戦直前の核物理学初期黎明期に完成されている点に注目。 小説というよりはシナリオや思想を全面的に押し出した内容となっている。 核エネルギーの解放という意味での題名かと思っていたが、より本質的なニュアンスでは、国家主義や、人間の醜さからの解放といった内容になる。 ウェルズの思想がF・ルーズベルトにも影響を与えるなど、訳者による解説も納得させられるところはあった(天皇制についての扱いは革新主義が過ぎるが…) ウェルズの平和主義として、強力な国際連合の創設、国家主義を否定する思想は、ユートピア感の中にも現実性が含まれており、新世界を構築する上で模範となる。日本国憲法のルーツとの訳者の主張も一理ある。 これらの事例について、より世界的に知られて行くべきだと思った。 ただ現実は残念ながら、イデオロギーや民族主義、大国の拡張政策などに振り回された、ウェルズ的には野蛮で低俗な世界のまま21世紀を経過してしまっている。
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