レ・ミゼラブル(5) の商品レビュー
いよいよ最終巻でした。マリユスがコゼットと幸せになれたことは良かったのですが、ジャン・ヴァルジャンが可哀想で。暖炉の火が消されてたり椅子がなくなってたり、じわじわ疎外されるのが一番辛いですよね。最後にコゼットに会えて幸せな人生の終わり方だったのでしょうか。
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解説に書かれている「大聖堂的」作品、とはまさに的を得た表し方だと思う。 歴史に残る長編としての壮大さだけでなく、細部の現実味、よく研究せられた事実考察など、連綿と連なるファンを生む要因だろう。 わたしがとくに驚くのは、パリ下水道について、トマス・マンが煙草を語るのの三倍ほどの文...
解説に書かれている「大聖堂的」作品、とはまさに的を得た表し方だと思う。 歴史に残る長編としての壮大さだけでなく、細部の現実味、よく研究せられた事実考察など、連綿と連なるファンを生む要因だろう。 わたしがとくに驚くのは、パリ下水道について、トマス・マンが煙草を語るのの三倍ほどの文量をかけて、ユゴーが詳細明晰に語っているところである。 隠語の研究もさるところながら、こちらの綿密さには地上から驚くばかりである。 キャラクターの「典型性」に辟易とするのはやむを得まい。ユゴー本人が小説のなかで弁解、あるいは強く述べるように、この小説はひとつの歴史研究・検証なのであった。そうする以上は、抜き出された各人が大仰でいかにもお涙頂戴であることも、酌量すべきだ。 英語の映画、あるいはミュージカルを観た人が日本語訳を読んだとき、少なからぬ落胆を感じたかもしれない。わたしもそう感じたのだが、それはストレス言語としての英語が生む抑揚の大胆さに支えられるところが大きかろう。仏語でどうなのか、わたしに図れぬところがいかんともできないのだが。
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第五部「ジャン・ヴァルジャン」 暴動のさなか、コゼットのためにマリユスを助けに行くジャン・ヴァルジャン。自分のためでなく、また、自分の血のつながった娘ではないにもかかわらず、コゼットのために動くジャン・ヴァルジャンは格好良かった。また、コゼットとマリユスが結婚した後、身を引こうとするジャン・ヴァルジャンも揺らぎながらも自身の正義に従って生きているかんじがして、格好よかった。マリユスに自身の生い立ちを語ったのも、司祭に習った正義に従ったため、というのも良かった。 ティルディナイがジャン・ヴァルジャンを救ったり、マリユスの誤解を解く手がかりとなったりしたことが、作者の構成力の高さをうかがえた。 帯に書いてあったことだが、ユゴーが「?」「!」の手紙のやり取りをしていた人ということは、とっても驚いた。
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読み終わったいまとなっては、もはや感動しかない。内容のレビューなんてとてもする気にはなれない。 そもそもこれは本当に小説なのだろうか。小説とはなんなのだろうか。 この作品は、小説という形を借りた、小説とは違うもっと別の「なにか」のように思えてならない。しかしそれはなんなのだろう、と考えたときに、うまく言い表せる言葉が見つからない。 この作品では、作者の言いたいことすべてが余すところなく綴られている。いわゆる「小説」ならば蛇足となることも、すべて書かれている。正直、読んでいて辟易としたが、これはなくてはならないものだと思う。物語としては必要はないのかもしれないが、この作品はただの物語ではないと考えるからだ。 それと、登場人物が型にはまりすぎている、という指摘もあるが、それも「小説」として捉えると確かにそうだが、作者のやりたいことは小説的に面白い、素晴らしい作品をつくることではないように思え、それが先から述べているようにただの物語ではないので、これはこれでいいと思う。 小説ではない「なにか」。その「なにか」を言い当てることはできないが、作者の目指していたものが徹底追尾、余すところなく、首尾一貫してできていたと確信できる作品だった。小説を書きたいのではなく、自分の伝えたいことを伝えるのに有効な方法が小説だった、そんなように感じた作品だった。
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読了まで5ヶ月…正直読み終わってホッとした。映画に魅了されてからの単行本スタートだったが人間の本質に迫るビゴーの気力に終始圧倒されてた。刺激の少ない当時爆発的ベストセラーになったのもうなずける。もはやこの本自体が歴史なのだ。え、この部分本当に必要?と思う点も最後に線となり、面とな...
読了まで5ヶ月…正直読み終わってホッとした。映画に魅了されてからの単行本スタートだったが人間の本質に迫るビゴーの気力に終始圧倒されてた。刺激の少ない当時爆発的ベストセラーになったのもうなずける。もはやこの本自体が歴史なのだ。え、この部分本当に必要?と思う点も最後に線となり、面となっていってフィナーレを迎えた。聖書以上にフランス人、ヨーロッパ人の気質を形作る物語と言っても過言では無いかもしれない。
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6ヶ月かけてようやく全巻読了。高校生のときに読んで以来約20年ぶり。本筋と明らかに話がそれるペダンティズムはユーザーフレンドリーとはいいがたく、物語に力があるだけに、早く次の筋を知りたいとやきもきして読み飛ばす人も多いことでしょう(もちろん私もそう)。ストーリーを読むだけなら子ど...
6ヶ月かけてようやく全巻読了。高校生のときに読んで以来約20年ぶり。本筋と明らかに話がそれるペダンティズムはユーザーフレンドリーとはいいがたく、物語に力があるだけに、早く次の筋を知りたいとやきもきして読み飛ばす人も多いことでしょう(もちろん私もそう)。ストーリーを読むだけなら子ども向けに要約された「ああ、無情」でもいいよな、とやや複雑な心境。 「みじなな人々」という原題を考えてみると、ユーゴーが描きたかったのは社会の最底辺にいるジャン・バルジャンとテナルディエなんでしょうね。かたや罪を悔い改め、崇高なる魂の所有者となるジャン・バルジャン、かたや常に他罰的な態度で社会の底辺でのたうちまわるテナルディエ。作者はそんなテナルディエに対しても苛烈な罰を与えない(なんと最後まで生き残る)。ユーゴーは何者も否定しない。そういうことかな。
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読み終わりました。 ここまで良いとは思いませんでした…このような作品に出会えて、幸せです。 映画は見ていませんが、やはり原作は良いですね。 誰もが一度は読むべき作品です。 あー、幸せ!本当に幸せ!
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やっと最後までたどり着いた。バリケードからジャン・ヴァルジャンがマリユスをつれだすところ、テナルディエと会うところ、ジャヴェールと会うところ、微妙に映画と違う。重症だったマリユスがなんであんな簡単に回復して、あんな元気だったジャン・ヴァルジャンがなんであんなタイミングよく死ぬのか...
やっと最後までたどり着いた。バリケードからジャン・ヴァルジャンがマリユスをつれだすところ、テナルディエと会うところ、ジャヴェールと会うところ、微妙に映画と違う。重症だったマリユスがなんであんな簡単に回復して、あんな元気だったジャン・ヴァルジャンがなんであんなタイミングよく死ぬのかと疑問だったが原作で解決した。というか映画で最後フォンティーヌが出てくるのはやはりあれは司祭のほうが良かったのではないか。
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読了!かなり読みづらいこともあり、時間がかかりました。 5巻通して、「ああ、無情」という題名の重さを感じさせられる。 ただ、最後には誤解がとけ、コゼット、マリユスに会えた ことが救い
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9月7日読了。 第1巻読書開始から2ヶ月あまり。 何度かの挫折の危機をどうにか乗り越え、 頁を閉じることができました。 なんとか「たなぞう」終了に間に合い、 ほっとしています。 内容については、あまりに有名すぎて、 下手な感想が書けず、困ります。 ただ、読む前の先入感と大きく...
9月7日読了。 第1巻読書開始から2ヶ月あまり。 何度かの挫折の危機をどうにか乗り越え、 頁を閉じることができました。 なんとか「たなぞう」終了に間に合い、 ほっとしています。 内容については、あまりに有名すぎて、 下手な感想が書けず、困ります。 ただ、読む前の先入感と大きく違ったのは、 ジャヴェール警部。 単なる冷血漢のイメージが崩れ、信念の人であったことが、とても印象的でした。 それともうひとつ。 「レミゼラブル=悲惨な人々」の日本語訳 「噫無情(ああむじょう)」の、 なんとすばらしいことか。 読了万歳。 さて、この間にたまった本に取り掛からなくっちゃ。
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