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逆説の日本史(3) の商品レビュー

3.8

36件のお客様レビュー

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2012/07/05

和、怨霊、言霊…知られざる日本の宗教観を軸に歴史を読み解く。言霊の話は面白かったな。歴史学の中ではこの本、どう評価されてるのかなぁ。

Posted byブクログ

2012/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

井沢氏の文体に慣れてきたせいか、はたまた先の2巻と比較すると「学会批判」の分量及び舌鋒が緩んできたせいか、この巻に関しては比較的楽しく読み進むことができました。  相変わらず話があっちへ飛んだりこっちへ飛んだりもするけれど、それも KiKi にとっては許容範囲と感じられる程度になってきたようにも感じます。  少なくともあっちこっちへ飛んでようやく本論に戻ってきたときに最初の2巻では時折感じた「矛盾のようなもの」がほとんどなく読了することができたと思うんですよね。 それに今回のお話はテーマがなかなか良かったと思うんですよね。  称徳天皇 & 道鏡の名誉回復(?)の話も説得力があったし、平安京が怨霊からのシェルターとして建都されたという話(ついでに同時代に行われた蝦夷征伐を「鬼門」という考え方になぞらえる話)も「なるほど、言われてみれば確かにそうだったかもしれない」と思わせるものがあったし、そして何よりも説得力があったのは万葉集について書かれた部分でした。 万葉集に関しては KiKi も常々疑問に思っていたのですよ。  「歴史というのは勝者が自己正当のために記録として残したものをベースとしている」というのは KiKi 自身の歴史認識とも合致していて、そうであるだけにあの万葉集というヤツが KiKi にとってはかなり特異な存在として映っていたんですよね。  あれやこれやとあった昔の権力闘争の双方の歌が載っているうえに、著者も言っているように「天下の罪人扱い」された人々の歌も載っている・・・・・。  そんなものがどうして残っていたのかなぁ・・・・と。 その謎と「言霊」という思想をガッチャンコさせた著者の説はなかなか斬新だと思ったし、著者が歴史を語る上でキーワードとしている「和の精神」「怨霊信仰」「言霊信仰」という一つ一つは別物と捉えられる思想・哲学が少しずつ1本の筋道に沿ってくるあたり、なかなか説得力のある仮説だなぁと感じられるような気がしてきました。 かなり共感したのが、現代日本人も「言霊信仰」に縛られているというくだり。  考えてみると「口は災いの元」という言葉があるけれど、あれも言ってみれば「言挙げ(ことさら言葉に出して言いたてること)」を戒めた伝承なのかもしれないと思っちゃったりもして・・・・。  現代ではこの「口」≒「失言」と読み換えられているけれど、本来の意味は違うものだったのかもしれません。 もう一つこの巻を読んでいて感じたのは「宗教心に欠ける日本人」とはよく言われることだし、実際、KiKi 自身にもその自覚があったりもするわけだけど、よくよく考えてみると多神教というヤツはそもそもそういうものなんじゃないかな・・・・・ということです。  「絶対的な神様がいない」ということは、別の言い方をすれば「どんな神様でも(要するに八百万の神様を)受け入れる」ということで、これは許容範囲が広いとも言い換えられる代わりに、「愚直に1つのものを信じるわけではない」ということでもあり、それが現代のクリスマスを祝い、初詣に参り、数珠を片手に墓参りという日本人気質に繋がっているように、「怨霊」も「仏教」も「陰陽道」も「儒教」も「キリスト教」も、すべて「それはそれとして」受け入れるということと同義なのかもしれないなぁ・・・・・と。 あ、これは「日本古来の神道」がそういうものだと言いたいわけでは決してなくて(だいたいそんな風に言い切れるほど神道に詳しくないし・・・・ ^^;)、長い時の流れの中でそんな風に変貌していくことを許容しちゃう部分があったのかもしれないなぁ・・・・というほどの意味なんですけどね。  で、そこであれもこれも受け入れるという精神の根底にあるものは何かと言えば、要するに「御利益を期待する」というある種の実利主義の発達した人種ということなのかもしれないなぁ・・・・・と。  もう一つ、この本の中で KiKi にとってかなり説得力があったのは「柿本人麻呂」に関するくだりです。  学生時代、「古文」の時間に学んだ彼の歌には KiKi は半端じゃないほど共感し、どんな人なのか調べようとして行き詰ってしまった経験があっただけに、この本に書かれた人麻呂の運命にはちょっと驚愕!!  これが本当のところだったのかどうか断を下せるほどではなかったけれど、これは井沢さんが列挙している原文にも自分なりにあたってみて、いずれちゃんと調べてみたいなぁと思いました。  何だかだんだんこの本が楽しくなってきました。  次は「穢れ」を扱う中世鳴動編です。 (全文はブログにて)

Posted byブクログ

2012/05/06

カテゴリーは作れない。トンでも本?でも面白い。大河ドラマ平家清盛がわかりやすくなったかも。いや、これを前提に理解しちゃ駄目かも、ということも楽しい。

Posted byブクログ

2012/02/05

道鏡、桓武天皇、万葉集。当時の日本人の宗教観が当時の最新の科学であるというパラダイムで見ると素朴な疑問に対して腑に落ちる解答が見えてくる。

Posted byブクログ

2011/11/06

平安建都と万葉集の謎 ・道教と称徳女帝編―愛人騒動をデッチ上げた「藤原史観」 ・桓武天皇と平安京編―遷都を決意させた真相と風水説 ・『万葉集』と言霊編―誰が何の目的で編纂したのか

Posted byブクログ

2011/09/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

平城京から平安京への遷都の理由を中心に当時から根強く残る日本人の信仰に対する態度を「言霊」をキーワードとして理論展開している。歴史書に残された者がすべて正しいと考えるのは著者が言うように危険なのかもしれない。今も昔もメディアというものは権力者にコントロールされているのだろう。道鏡にまつわるエピソードも情報をコントロールされた結果と見る視点は興味深い。

Posted byブクログ

2011/08/04

藤原一族への見方が(悪いほうへ)どんどん変わっていく~><称徳天皇、道鏡や将門への見方も(良いほうへ)ガラリと変わりました。大きな権力者(藤原氏)に対抗した犠牲者じゃない。しかもこっちの説の方が納得いく。もっとたくさんの文献に触れたくなりました。あとコトダマ文化を持つ日本が、今ま...

藤原一族への見方が(悪いほうへ)どんどん変わっていく~><称徳天皇、道鏡や将門への見方も(良いほうへ)ガラリと変わりました。大きな権力者(藤原氏)に対抗した犠牲者じゃない。しかもこっちの説の方が納得いく。もっとたくさんの文献に触れたくなりました。あとコトダマ文化を持つ日本が、今まで他国に侵略されず独自の文化を保てたことが本当に不思議。というか、奇跡?これからどうなるのか、少々不安も抱いてしまいました。和の文化は好きだけど、通用するのは国内だけだもんねぇ・・・。

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2011/02/04

古代3部作の最終巻。平安建都、万葉集を中心に「言霊(ことだま)」という視点から書いている。 1,2巻と読み進めてきて、うすうす感じていたのは、著者の学者に対する批判的文章の多さである。 「逆接の〜」とうたっているぐらいだから、いわゆる歴史学の認識とはまるで違う視点での論考であるこ...

古代3部作の最終巻。平安建都、万葉集を中心に「言霊(ことだま)」という視点から書いている。 1,2巻と読み進めてきて、うすうす感じていたのは、著者の学者に対する批判的文章の多さである。 「逆接の〜」とうたっているぐらいだから、いわゆる歴史学の認識とはまるで違う視点での論考であることはわかっている。そしてそれが極めてマイノリティであるということも、著者の語り口からよくわかる。 だから、ことあるごとに、一般的な認識、歴史学者の認識に対して批判をするのだ。これがあまりにも多すぎる。 もちろん、ある程度、持論の補間としての批判論は必要なのだが、あまりにも批判論のボリューム増えてしまうと、読み進むリズムがとりにくい。 内容は、とてもおもしろいだけに、そこが残念である。

Posted byブクログ

2010/05/07

怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》  日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に...

怨霊、言霊、穢れから日本史を見据える《赤松正雄の読書録ブログ》  日本史をおさらいするうえで比類なき面白本をようやく見つけた。歴史の書というよりも歴史推理小説といった方がいいかもしれない。かねてからの「歴史通」や、今はやりの「歴女」には、何を今更と言われよう。このシリーズが世に出てもう10有余年も経っているのだから。しかし、恥ずかしながらその存在を私は知らなかった。井沢元彦『逆説の日本史』1~12である。未読の方は、まず文庫の第一巻を購入されることをおすすめしたい。  日本史を追う井沢さんのキーワードは、怨霊、言霊、穢れの三つ。彼はことごとくをこれで抑えていく。見事なまでに。彼にかかれば歴史学者は形無し。木っ端微塵にやっつけている。宗教の本来的な役割を知らずに、文献至上主義に陥ってることの弊害を事細かにまた繰り返し飽きもせずに説く。読んでる端から忘れがちな私のようなものには、まことにこれは助かる。しかし、この手法ではさぞかし正統な歴史学者や同業他者から嫌われよう。であるがゆえに、あまり世の中に評価されていないように思われるのは、著者ならずとも口惜しい。  近眼の人が寝ぼけ眼に顔を洗ってメガネをかけた時のように、ぼんやりしていた歴史絵巻が忽然と姿を現すのは嬉しい限り。というのは少々ほめすぎかも。だが、古代から中世にかけての日本人たちにとっての、様々なる神社仏閣の存在や「和歌」の持つ意味が判明するのは大きな収穫であった。軍事について現代日本人がとかく敬遠しがちなのは、何も戦後に始まったことではなく、古代からの歴史に根ざした伝統であることを知ったことも大きい。

Posted byブクログ

2010/01/31

道鏡と称徳女帝の話。桓武天皇がなぜ奈良の大仏を建て,平安遷都したのか,怨霊から紐解く。万葉集と言霊の話。 言霊と怨霊がいかに天皇~庶民にいたるまで大きな影響を与えているのか,そしてそれが,その時代にどのような影響をあたえているのかを記す。 現代の歴史学,考古学に対し,資料主義で資...

道鏡と称徳女帝の話。桓武天皇がなぜ奈良の大仏を建て,平安遷都したのか,怨霊から紐解く。万葉集と言霊の話。 言霊と怨霊がいかに天皇~庶民にいたるまで大きな影響を与えているのか,そしてそれが,その時代にどのような影響をあたえているのかを記す。 現代の歴史学,考古学に対し,資料主義で資料に書かれていること以外は認めないということを非難し,もっと,霊というものを真剣に考えた上で結論を出すようにと繰り返し述べている。

Posted byブクログ