死の家の記録 の商品レビュー
ドフトエフスキー後期の傑作群の源泉であり、彼個人の人生における最も重要なターニングポイント。 一般の人々が当然経験しえない異常な状況下にこそ、彼の文学の素材があり、それこそ啓示とも言える監獄での強烈な出会いと閃きが、カラマーゾフや罪と罰などの大作を作り上げた。 そういうの考えるだ...
ドフトエフスキー後期の傑作群の源泉であり、彼個人の人生における最も重要なターニングポイント。 一般の人々が当然経験しえない異常な状況下にこそ、彼の文学の素材があり、それこそ啓示とも言える監獄での強烈な出会いと閃きが、カラマーゾフや罪と罰などの大作を作り上げた。 そういうの考えるだけでも泣けてしまう。 文章も読みやすくユーモアも点在してて相変わらずリスペクト。
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期待よりもずっと面白かった。女房殺しの男の手記で始まりながら、途中で構成が変わっているのもいい。他を削り取って監獄生活に絞り込んだ写実的な描写は最後まで飽きさせず、巨匠の作品の中ではもっとも読み易いと思う。 読んでいて連想したのは漱石の『坑夫』だが、漱石の転機がその作品であったよ...
期待よりもずっと面白かった。女房殺しの男の手記で始まりながら、途中で構成が変わっているのもいい。他を削り取って監獄生活に絞り込んだ写実的な描写は最後まで飽きさせず、巨匠の作品の中ではもっとも読み易いと思う。 読んでいて連想したのは漱石の『坑夫』だが、漱石の転機がその作品であったように、この作品がドストエフスキーの転機なんだなと感じた。創作から一歩離れて、人間を描き記述していくことで見えてくるものもあるのかなと思う。 読書や創作、社会生活と隔離された流刑地での4年半がドストエフスキーにとって無駄ではなかったどころか、深い内省、稀有な経験、特異な出会いと人間観察が後の世界的文豪を創ったのだと認識できた。 過酷な環境の中でも芝居のエピソードはとても楽しく、動物たちとの触れ合い(特にヤギ)も印象に残る。
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前半面白くスイスイ読み進めたが後半でペースダウン。同じ牢屋に入ったとて、元貴族は他の囚人の仲間入りはできない。階級意識はどこにでもある。
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ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。 シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。 やはり人間観察がうまい。 自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握し...
ドストエフスキーが実際にシベリア流刑に処されたときの体験を元に書かれたのが本書らしい。 シベリアでの囚人たちの生活が見事に書かれていてとても興味深かった。 やはり人間観察がうまい。 自分がどんな立場で、誰に愛され尊敬されているのか、誰に憎まれ嫌われているのかなどもしっかりと把握していたようだ。 笞の過酷さ、不衛生な環境など辛い面ももちろん多かったが、演劇などの催し物でみんな楽しげにしてたり、監獄だからといって一定して暗いだけではなくさまざまな人間関係や浮き沈みがあるんだなぁと知れた。 小説というより記録の色合いが強いので、難しく深読みしたりする場面が少なく、今まで読んだドストエフスキー作品よりすんなり読めたようにおもう。
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ドストエフスキーが四年に渡る獄中生活を元に書いたルポタージュ。架空の人物による手記の体裁だが恐らく作者の体験した事と思われる。あらゆる囚人との出会いが文豪の糧になったのは間違いなく登場してくる囚人達のリアリティは凄い。個人的には妻殺しのエピソードと犬や山羊の話が印象的。少佐の末路...
ドストエフスキーが四年に渡る獄中生活を元に書いたルポタージュ。架空の人物による手記の体裁だが恐らく作者の体験した事と思われる。あらゆる囚人との出会いが文豪の糧になったのは間違いなく登場してくる囚人達のリアリティは凄い。個人的には妻殺しのエピソードと犬や山羊の話が印象的。少佐の末路などは時代を超えた教訓とも言える。 傑作。
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読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に...
読むのは3回目。今回始めてこの作品の重要さに気づいた。ドストエフスキーは獄中体験からその後の創作のインスピレーションを得ていたのだと思う。たとえばキャラクター。彼の作品に登場するキャラの多くは、おそらく獄中にいた囚人をモデルにしている。…という発見に興奮していたものの、訳者解説に同じことが指摘してあってがっかりした。
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トルストイも絶賛した本書。 だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。 他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。 シベリ...
トルストイも絶賛した本書。 だからというわけじゃないけど、これは万人受けしやすい内容で、私ももれなく、いい作品だと思った。 他のドストエフスキーの作品は癖があるので、かなり好き嫌いが分かれそうだけど(私は好きな方)、この作品は誰でもとっつきやすいのではないかと思う。 シベリアに流刑されたドストエフスキーの獄中実体験を基に書かれている。 罪をおかし、足枷をつけられ何年も狭い世界で耐えること。 そこには耐えるために、目的を持ち、喜びを見つけ、足枷を外せる日を待つ。 最後のシーンは感動する。 また読み返したくなる作品だ。
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囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上...
囚人でもクリスマスには神聖な気持ちになるし年に一度の特別な日を子供のようにはしゃいでいるのがなんか泣ける。超閉鎖空間で暗くて自由が無い生活、独自の雰囲気と慣習、でも強い個性のさまざまな囚人たち…面白い。囚人病院で足枷をしたまま死んでいった人が印象的、囚人達の殺人の思い出話や身の上話が沢山、足枷を取って出獄するラストシーンは最高、卒業感ある。辛い生活の中でも希望を捨てない著者の過去を追体験した。
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ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。 動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。 一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。 貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。 随所に織り込まれる...
ストーリーというより、エピソードの描写力が神がかっている。ありありとその情景、皮膚感覚、味わい、歌声が迫ってくるのである。 動物、演劇、風呂、病院‥どれも迫真だ。 一人一人の人物描写もまるでそこにいるかのようだ。 貴族と民衆の溝の深さの描写も凄まじい。 随所に織り込まれる、犯罪や刑罰に関する哲学的考察にも唸らされる。
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【印象】 永く永いシベリアの獄中を綴った。 【類別】 小説。 記録風。 【脚本構成】 本作は獄中で10年を過ごした人物の手記を主体としていますので作中作の色を帯びています。 やや環状的構成。 【表現】 文体は平易。 翻訳について、キリスト教に関する語を仏教に関する語で訳して...
【印象】 永く永いシベリアの獄中を綴った。 【類別】 小説。 記録風。 【脚本構成】 本作は獄中で10年を過ごした人物の手記を主体としていますので作中作の色を帯びています。 やや環状的構成。 【表現】 文体は平易。 翻訳について、キリスト教に関する語を仏教に関する語で訳している箇所が多いです。 好みな表現箇所は頁246、誰にも等しく訪れる大きな祝祭日に際した囚人の心情「だから、自分はまるきり世間から見すてられてしまった、亡びてしまった人間じゃない、切りはなされてしまったパンのかけらじゃない」です。
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