タナトス の商品レビュー
三部作「エクスタシー…
三部作「エクスタシー」「メランコリア」「タナトス」の最終話。「わたしはわたし自身の錯乱を整理したくてキューバにやって来たのです。」この印象的な一文が、読後かなり時間を経てもこの話の記憶を蘇らせる。強い印象のある話。精神錯乱状態の女の独白によって物語りは展開する。
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三部作なの知らないで、最後から読んでしまいました… さすが村上龍と思いながら読んでいましたが、三部作と聞くと、舌を巻く構成力だなと… 人は自分を規定することを求められる。自身の階級を名乗らなければならない。レイコの中に、肯定すべきレイコはどこにもなく、他者との交わりの度に、見繕わなければならなかった。 人は規定すべきアイデンティティがないと生きていけないのだろうか。自分の周りの人は、大方、規定しているように見える。それは社会が秩序立って成立するためか、ヒトがそのようでないと生きていけないからなのだろうか。
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犬だって優しくして餌をやらないと名前を呼んでも寄って来ない、その通り。自己評価が低くて、他人が自分と一緒では幸福になれないと思って、他人に虐げられることを望むのは、虐げたいという欲望によってしか自分が他人を満たせず、他人の欲望の対象でいなければ自分が他人に必要とされないと思うか...
犬だって優しくして餌をやらないと名前を呼んでも寄って来ない、その通り。自己評価が低くて、他人が自分と一緒では幸福になれないと思って、他人に虐げられることを望むのは、虐げたいという欲望によってしか自分が他人を満たせず、他人の欲望の対象でいなければ自分が他人に必要とされないと思うからです。何故なら人に尊敬されたりする存在ではないと自分で思うから。ゴミ以外の男の子が好きな女といたいと望んで、軽蔑と尊敬を、攻撃性と思いやりを繰り返す。自分だけが下手で、自分達だけがそうなのかと思い込んでいたけれど、それは至って普遍的なことらしくて、勉強不足だ。
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表紙の女性の写真に惹かれて読んだけど(^^;)読んでいるうちに文章がだんだんリフレインされて何度も堂々巡りのようになり日本語が分からなくなるような錯覚に(*_*) 女優が崩れているのが伝染して、読むのが辛くなる。 ある意味心に刺さり、ある意味心に残らない小説でした。
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※この作品には性描写が多く含まれます。 【内容】 カメラマンである主人公は、精神の乱れ切った女に耳を傾ける。 自己の規定、甘え、自己評価の低さ、社会的関係性。 キューバにて。 【類別】 小説。 【表現】 内容の危うさとは裏腹に、文章は平易なものです。 薬物の名称が分からずと...
※この作品には性描写が多く含まれます。 【内容】 カメラマンである主人公は、精神の乱れ切った女に耳を傾ける。 自己の規定、甘え、自己評価の低さ、社会的関係性。 キューバにて。 【類別】 小説。 【表現】 内容の危うさとは裏腹に、文章は平易なものです。 薬物の名称が分からずとも物語の鑑賞に問題はありません。
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困ったお姉さんの失恋ぐだまきかと思いきや、後半の「軽蔑と尊敬の間、いたわりと攻撃性の間」というフレーズが出てきて、ぐっと面白くなった。先生との関係。SMという関係。ドラッグ、セックス、アルコール、キューバ、先生。何をやっても救われない。
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三部作らしいのですが最初に読んでしまった。残りも早めに読まなくては。 SM小説っていうんですか、題材としてはそうなんですけどそれが大事なことなのではないのであった。残りの二作をよんだらもうちょっと良い感想書けると思ってる。 自己愛の支配されている話で救えない話だったようにかんじた...
三部作らしいのですが最初に読んでしまった。残りも早めに読まなくては。 SM小説っていうんですか、題材としてはそうなんですけどそれが大事なことなのではないのであった。残りの二作をよんだらもうちょっと良い感想書けると思ってる。 自己愛の支配されている話で救えない話だったようにかんじたがどうだろう。ちょっと前のことだから曖昧。終わらない悲劇か?
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ストーリーはキューバが舞台で、村上龍さん持ち前の文章なのでとても色彩感があり、冒頭から最後までキューバの空と情景が焼き付くように印象的です。 ただ、扱っているテーマがトラウマやコンプレクスについてのことなので、私にとっては感情移入はしづらかった。私はこの人特有のサイケデリ...
ストーリーはキューバが舞台で、村上龍さん持ち前の文章なのでとても色彩感があり、冒頭から最後までキューバの空と情景が焼き付くように印象的です。 ただ、扱っているテーマがトラウマやコンプレクスについてのことなので、私にとっては感情移入はしづらかった。私はこの人特有のサイケデリックな描写が好きなので、読んでいて処女作の「限りなく透明に近いブルー」を思い出すような、スピード感のある感じはとても好きです。 特に、レイコがヤザキとの別れを悟った場面で、緊張と焦燥がみなぎり、同じシーンが何度もループする所などは、この人にしか書けないと思います。文章でしか書けない、精神にはしる亀裂。映画とか絵画とか音楽とか、他ではなくて文章で唯一描ける、そういうのは村上龍さんしか読んだことがないです。
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個人的には薄気味悪さとか不快感を感じる小説。「あなたは壊れたTVだ」という表現が印象的だった。タナトスとした理由は・・・?
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★あらすじ★ キューバのリゾート地・ヴァラデロに現れた謎の女レイコ。偶然出会ったカメラマン・カザマに、彼女はヤザキ、「先生」呼ぶ男と長く異常な「関係」を語り始める。退廃と狂気を描く三部作の完結編。 一部「エクスタシー」二部「メランコリア」
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