神隠し の商品レビュー
非常に満足、満腹しま…
非常に満足、満腹しました。「小藤」「鬼」「桃の木の下」「拐し」「神隠し」が個人的に大好きです。全てが市井のお話なのですごく親しみやすく、現代にも通づる教訓等も感じます。喜怒哀楽がすべて詰まった短編集です。ゆっくり時間をかけてお楽しみください。
文庫OFF
ごく短い短編集ですが…
ごく短い短編集ですが、いちいちひねりと皮肉が効いています。あまり時代ものは読まないのですが、あっという間に江戸時代に引き込まれてしまいました。
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藤沢らしさが薫る作品集。初期のものなので後年の深くてしみじみといった読後感は薄いものの、その片鱗をみせてくれる。読めばいい時間が過ごせる。
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久しぶりに藤沢周平を読んだ.短編小説だが物足りなさを感じることなく読んだ。印象に残ったのは「鬼」という作品で不器量なサチがかくまった武家と男女の中になり、その武家への思いが思わぬ結果になる。切なく残酷な恋心でした。
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1983(昭和58)年発行、新潮社の新潮文庫。11編。市井物(『桃の木の下で』は武家物に近いが)で人間の関係が主題。そしてそのほとんどは男女関係。男女関係は男性側から描くものがほとんど。これは作者が男性ということか。武家物だと女性主人公ものも少しはあるとは思うのですが。最近は女性...
1983(昭和58)年発行、新潮社の新潮文庫。11編。市井物(『桃の木の下で』は武家物に近いが)で人間の関係が主題。そしてそのほとんどは男女関係。男女関係は男性側から描くものがほとんど。これは作者が男性ということか。武家物だと女性主人公ものも少しはあるとは思うのですが。最近は女性作者の女性主人公の市井物(男女関係もの)も多いから、男性中心なのは余計にそう感じるのかもしれない。 収録作:『拐し』、『昔の仲間』、『疫病神』、『告白』、『三年目』、『鬼』、『桃の木の下で』、『小鶴』、『暗い渦』、『夜の雷雨』、『神隠し』、他:「あとがき」(昭和54年1月)、解説:「解説」伊藤桂一(昭和58年8月、作家) 初出:『拐し』「問題小説」昭和51年4月号、『昔の仲間』「小説新潮」昭和52年4月号、『疫病神』「問題小説」昭和52年5月号、『告白』「別冊小説新潮」昭和53年春季号、『三年目』「グラフ山形」昭和51年8月号、『鬼』「週刊小説」昭和49年7月26日号、 初出(続き):『桃の木の下で』「週刊小説」昭和50年3月28日号、『小鶴』「小説現代」昭和52年12月号、『暗い渦』「小説現代」昭和53年3月号、『夜の雷雨』「別冊小説新潮」昭和53年夏季号、『神隠し』「別冊小説新潮」昭和51年春季号、備考:昭和54年1月青樹社から刊行された作品、
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11の市井物短編集。 著者の後書きの中、故郷での年越しの思い出が語られている。 数々の神の訪れがあり、その時々の行事を執り行った後に 「といった夜が幾夜かあったあとに、ようやく人間の年越しの夜と正月が訪れるのである。 そしてそのころに、それまでためらうようだった冬空が、一夜おと...
11の市井物短編集。 著者の後書きの中、故郷での年越しの思い出が語られている。 数々の神の訪れがあり、その時々の行事を執り行った後に 「といった夜が幾夜かあったあとに、ようやく人間の年越しの夜と正月が訪れるのである。 そしてそのころに、それまでためらうようだった冬空が、一夜おともなく雪を降らせ、朝目がさめると外が真白になっている。 郷里の冬はそんなふうにして来た。」 お〜、なんという素晴らしい文章だろう。 本編以上に心がスーッとする惚れてしまう文章だ。
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藤沢周平「神隠し」、1983.9発行、11話。第4話「告白」、第9話「暗い渦」は長く寄り添う夫婦の若き日の出来事で面白かった。第8話「小鶴」は読み応えがあった。ダメな人間の3部作は第1話「拐し」(ダメな娘)、第3話「疫病神」(ダメな父親)、第10話「夜の雷雨」(ダメな孫)。読後...
藤沢周平「神隠し」、1983.9発行、11話。第4話「告白」、第9話「暗い渦」は長く寄り添う夫婦の若き日の出来事で面白かった。第8話「小鶴」は読み応えがあった。ダメな人間の3部作は第1話「拐し」(ダメな娘)、第3話「疫病神」(ダメな父親)、第10話「夜の雷雨」(ダメな孫)。読後感悪し。第6話「鬼」は後味が最悪。全体として、相性の悪い作品でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
鬼のラスト3Pがすき。雰囲気に呑ませてうまくまとめるというか。いいものよんだって気分になっる。 「サチの婿にでもなるか」 「…………」 「だが、わしは百姓仕事は嫌いだ」 「でも、お前さまは百姓に味方したべ」 「それとこれとは話が違う。ま、それは勘弁してくれ」 紋作もおこのも隣家に逃げたが、サチは家の軒先から斬り合いの始終を見ていた。新三郎が縛られると、サチは放心したように口を開いた。新三郎の運命がそこで窮まったのを見たのである。 ――でも、この方がいい。どこかに行かれるよりは、死んでもらった方がいい。 と、サチはまた思った。サチは今朝城まで走ったのである。白の役人には、かくまったとは言っていない。新三郎がゆうべ来たと告げた。 「サチ」 新三郎の声がした。地面に組み伏せられたとき、擦りむいたらしい額の傷から、血が糸を引いている。 「世話になった」 新三郎は微笑した。その微笑は、サチの心を引き裂いた。 舟で流れてきて、サチに助けを求めたときの、新三郎の姿がくっきりと甦ってきた。 ――もう助けてやれない。 サチの目から涙が溢れた。 「さ、行くか」 新三郎の声がひどく遠く聞こえた。 淡い光の中を、サチは歩いている。蛇篭のある場所に真直きて、しばらく放心したようにそこに蹲ったあと、サチは立ち上がって、川べりを下手の方に歩いている。 川瀬の音がする。そこは浅瀬になっていて、白い白州のまわりに水がざわめいている。 「おら、やっぱり鬼だど」 サチは小さく呟いた。また涙がこぼれた。 歩いて行くと瀬の音は次第に遠ざかり、川は石垣に、低く呟くような音を立てるだけになった。もう少し行くと深い淵がある。水は蒼黒く、そこで渦を巻いている。底を見たものは誰もいない。 待ち続けられないほど、重い悲しみを抱いた人間が、何人かその淵の底に入って行った。サチの行く場所はそこしかない。 力ない日暮れの光に照らされて歩いて行くサチは、憂いを抱く若い鬼の女房のように、可憐にみえる。 「恐らく、何かの?」 「光穂は、あのことを思い出したくないのでございましょう」 光穂の父母は病死ではなかった、と寺川は言った。三人もの子を生みながら、稀にみる険悪な夫婦仲で、家の中では夫婦の争いが絶えなかった。そしてついに破局が来た。 ある日、言い争いのはてに、激昂した夫が刀を抜いて妻を刺殺してしまったのである。そして、自分のしたことに驚愕した夫はその場で腹を切った。 「大目付の調べでは、そのようになっております。しかし事実は若干違ってござります」 寺川はしばらく重苦しく沈黙したが、やがてぽつりと言った。 「母親を刺殺した父に、光穂が逆上して斬りつけたと推定されます。それが深手でござった。父親はわが子に咎を及ぼすまいと、腹を切ったというのが、それがしがひそかに知った真相でございます」 姉弟といっても、つき合いが薄ければ他人同様になる。 清太は畳をかきむしってのがれようとしているおきくを引きもどすと、その上に身体をかぶせて行った。おきくが鋭い叫び声を立てた、魂を凍らせるような、悲しげな叫びだった。 おきくはほとんど半裸にされていた。その胸のあたりに顔を這わせながら清太は喉の奥で笑い声を立てた。清太の片手は、おきくの手を押さえつけ、片手は胴を抱え込んでいる、おきくの白い片脚が、一度むなしく空を蹴りあげて畳に落ちたあと、静かになった。そしておきくの号泣がおつねの耳を搏った。 「やめな、清太」 とおつねは言った、うるせえやと、清太は言い、おきくの胸から腹に、顔をすべらせた。その背に、おつねは渾身の力をこめて、出刃包丁をふりおろした。 過去をふりかえってもなにもならない。今のよいものをたいせつにするだけ。よのんかわるいやつがごまんといるからに お品はおそらく、どういうことかは知らないがひどい目にあったのだ。そしてそのことはまだ終わっていないのだが、それを周囲の誰にも洩らしてはいけない。そういう感じを巳之助は縋りつくようだったお品の眼から受けている、それは起こったことを隠そうとする哀願の眼ではなく、まだ続いている悪いことに対して怯えている眼だった。 「悪党だから殺していいもんでもあるめえよ。こいつは余計なことかも知れねえが、あんたにひとつ聞きたいことがある」 巳之助は新兵衛の顔をのぞき込んだ。ひどく生真面目な顔になっていた。 「俺の女房は根津で淫売をしていた、町内に触れるなら触れろ、と開き直る気持ちはなかったのかね、~」
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宮部みゆきに大きな影響を与えている事が良く分かった。小鶴か良かった。自分の家庭と重ねりました。やはり、ハッピーエンドが好き。
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「あの人が一緒に暮らそうと言えば、それでもいいつもりだったんですよ。」 「どうもわからんな。わたしという亭主がいて、子供も一人いてだ。よくそんな思い切ったことが出来たもんだね。」 「そのときは、お前さんのことも豊蔵のことも、頭にありませんでしたよ。のぼせていたんですよ。」 ...
「あの人が一緒に暮らそうと言えば、それでもいいつもりだったんですよ。」 「どうもわからんな。わたしという亭主がいて、子供も一人いてだ。よくそんな思い切ったことが出来たもんだね。」 「そのときは、お前さんのことも豊蔵のことも、頭にありませんでしたよ。のぼせていたんですよ。」 連日、TVのワイドショーで民主党の山尾元政調会長の不倫疑惑が報じられているが、彼女も9歳年下の弁護士に「のぼせてしまった」か? ------------------ 物語は、伊沢屋の内儀お品が不意に姿を消し、三日後ひょっこり戻ってきた彼女は、やつれながらも何故か凄艶さを漂わせていた。 上の会話は、その20年後の夫婦の会話。 以下のようにつづく、 「この女がね、と善兵衛は思いながら、つくづくと見慣れた古女房を眺めた。」 「だがこの女が、あるときあっさりと亭主と子供を捨てようとし、また20数年もの間、そのことを隠しておくびにも出さないで来たのだ。」 女は怖いね!
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