球形の荒野 新装版(下) の商品レビュー
断ちがたい思いに…
断ちがたい思いに逡巡する野上。なぜか細い絆で結ばれているような感情を抱いて久美子は、この観音崎灯台で野上と肩を並べて海を見つめる。 重く厳しい過去を背負い、国家のためとはいえ捨てた命と国籍が、望郷の念と肉親への懐かしく深い哀惜ゆえに、再びよみがえろうとしている。 最終章。幕が...
断ちがたい思いに逡巡する野上。なぜか細い絆で結ばれているような感情を抱いて久美子は、この観音崎灯台で野上と肩を並べて海を見つめる。 重く厳しい過去を背負い、国家のためとはいえ捨てた命と国籍が、望郷の念と肉親への懐かしく深い哀惜ゆえに、再びよみがえろうとしている。 最終章。幕が降りてくる。 二人だけの合唱はせつなくて哀しい。野口雨情の童謡「七つの子」が聞こえてくる。海に消えていく合唱。久美子の胸に湧きあがって来る感動。ラストシーンはクライマックスでもある。気づいてみると---------
文庫OFF
予備知識全くなしの状態で読んだけど 思った以上に良かった!! さすが松本清張。 他の作品も読んでみたくなった。 自分の姿をデッサンした画家が突然死んだ。 そしてデッサンは何者かに盗まれ、行方がわからない。久美子の周りで何かが起こっている。 謎の手紙で京都に呼び出された彼女...
予備知識全くなしの状態で読んだけど 思った以上に良かった!! さすが松本清張。 他の作品も読んでみたくなった。 自分の姿をデッサンした画家が突然死んだ。 そしてデッサンは何者かに盗まれ、行方がわからない。久美子の周りで何かが起こっている。 謎の手紙で京都に呼び出された彼女は、更に銃撃事件へと巻き込まれていく。 --------------------------------- 下巻に入ってからどんどん物語が加速していくのがわかる。 今まで点と点だった事象が像を結び始める。 物語の行く末を自然と予想する。 当たるともちろん嬉しい、でも外れてもその驚きが嬉しい。 これぞ読書の喜び! スピーディーなら展開とは打って変わって、ラストは穏やかで切なさが込み上げる… 【球形の荒野】。 このタイトルの意味が分かった時の切なさ… 第二次世界大戦中の外交の苛烈さ 父の娘を思う気持ち 奈良・京都・横浜などの美しい風景描写 これらの対比がもう! ニクいというかオシャレというか(語彙力) 異なる魅力を美しくまとめきったストーリーに さすが!!と唸るしかなかった。
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外務省一等書記官の工作。自分を捨て大義をとる。この硬質なストーリーに女性と自然を掛け合わせ完成させた。清張凄い!14.3.12
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