序の舞 全 の商品レビュー
実在の女流画家・上村松園の一生。 めちゃくちゃひきこまれて一気に読んだ。 「女は早く嫁にいき、ただ家の仕事をしていればよい」 という明治後期~昭和という時代において 男社会の画壇に身を置いて 女性差別に苦しみながらも絵を描き続け 未婚で子も産んだ主人公もさることながら、 周囲...
実在の女流画家・上村松園の一生。 めちゃくちゃひきこまれて一気に読んだ。 「女は早く嫁にいき、ただ家の仕事をしていればよい」 という明治後期~昭和という時代において 男社会の画壇に身を置いて 女性差別に苦しみながらも絵を描き続け 未婚で子も産んだ主人公もさることながら、 周囲にどれだけ後ろ指をさされても娘を信じ、 自分の人生をすべて娘のために必死にささげた 松園の母こそが、この話の真の主人公だと心から思う。 この母親の姿が自分の母と重なって 胸が苦しくなった。
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上村松園をモデルとしたお話 松園が気になる存在だったのもあるし、単に筆者が読ませる人なのか、ぐいぐい引き込まれて読むことができた 津也、松翠等、登場人物たちの名前は少しずつ変えられている あくまで実際の人物・出来事をモデルにしたフィクションであることを忘れないように 幼いころから一家の父親に代わる存在として育てられ、女ながら男も顔負けの努力と根気で生きた津也にはとても憧れる 憧れるが、そのように行きたいとは思わないけれど…… 男のように生きてきたからこそ、結婚という幸せを何としてでも手に入れたく、醜い結果に終わってしまったのかと思うと哀れでもある 津也が、夫に守られながら幸せに暮らす女たちに向ける嫉妬と、そうした女たちから蔑まれた時の憎しみの感情には思わず身震いしてしまう 松渓という人が人たらしすぎてもうここまで来たら感心してしまう 明治から終戦直後のお話であるから、これほどまでかという女性蔑視に男性不信に陥りそうだけれども…… そうした風潮が松翠という美人画家を育てたという見方もできるのかな
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上村松園の日本画が美しかったので、作者の人生を知りたくて読みました。 子供の頃の話は楽しく読めたのですが、大人になってからの人生は読むのが苦しかったです。あまりに直向きであるが故、苦しみを正面から受けて傷ついていく様が生々しく、読んでいる私自身も相当に気力を使いました。その険しい人生によって、日本画が生み出されていたと知ると、また表情が深く見えるようです。
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女流画家上村松園(作中では島村松翠)の一生を書いた作品。父をしらずして育ち、幼い頃から絵一筋を貫き、炎のように恋をし、男社会の中で謂われない中傷に苦しみ、それでも絵を描き続けた。 特に後半は良く、分厚い本だが一気に読み通してしまった。きっと才能というのはその人の生き方そのものなん...
女流画家上村松園(作中では島村松翠)の一生を書いた作品。父をしらずして育ち、幼い頃から絵一筋を貫き、炎のように恋をし、男社会の中で謂われない中傷に苦しみ、それでも絵を描き続けた。 特に後半は良く、分厚い本だが一気に読み通してしまった。きっと才能というのはその人の生き方そのものなんだろう。一途な女性の生き方に涙を浮かべて読んだ。
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上村松園の画集を見ながら読んだせいもあり、彼女の生き方の激しさが心を打った。 女性らしい艶やかさと、芸術家らしい力強さが混在する主人公が良かった。
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久しぶりに骨太な本を読んだような気がする。いまどきの本ばかり読んでいると軽くて内容もある意味ではとても分かりやすいが、あまり「あぁ、本を読んだ」という感じにはならないが…今回は存分に本を読んだという感じがする。女流の画家としての松翆の一生、女として求め続けた幸福、そして子供。どれ...
久しぶりに骨太な本を読んだような気がする。いまどきの本ばかり読んでいると軽くて内容もある意味ではとても分かりやすいが、あまり「あぁ、本を読んだ」という感じにはならないが…今回は存分に本を読んだという感じがする。女流の画家としての松翆の一生、女として求め続けた幸福、そして子供。どれが手に入ってどれが手に入らなかったのではなく、ある意味では全てを手に入れたのだなという終わり方。どれをとっても流石は宮尾登美子である。結構な長編であったが読みづらいと一度も思うことなく、彼女の一生を鮮やかな絵巻で目の前に展開してもらったように思える。
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美人画の上村 松園をモデルにした宮尾 登美子の代表作。 「松風の家」もそうだが伝記ものではモデルの人生に沿っての物語となれば起承転結はむつかしいものだろうし、さらに家族が現在も健在となればそれなりの配慮も必要であろうからにぎやかなドラマというわけにもいくまい。読者としてはそこに...
美人画の上村 松園をモデルにした宮尾 登美子の代表作。 「松風の家」もそうだが伝記ものではモデルの人生に沿っての物語となれば起承転結はむつかしいものだろうし、さらに家族が現在も健在となればそれなりの配慮も必要であろうからにぎやかなドラマというわけにもいくまい。読者としてはそこに少し物足りない気分が残る。 しかし妖艶な「焔」の創作の秘密などおもしろく読んだ。 画集と「青帛の仙女」を手元に天才画家の画業を俯瞰しいっとき楽しんだ。 なるほど画「序の舞」は松園達観の境地の名作である。
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物語の主人公は、日本画家、島村松翠。 小さいころから絵を描くことが好きで、さまざまな困難、苦行を乗り越え、画家の道を貫く。 女手一つの貧乏所帯ながら二人の娘を育て上げる母の芯の通った愛情が素晴らしい! 歳をとったせいか、この頃は主人公よりも脇役である母親に感銘を受けることも...
物語の主人公は、日本画家、島村松翠。 小さいころから絵を描くことが好きで、さまざまな困難、苦行を乗り越え、画家の道を貫く。 女手一つの貧乏所帯ながら二人の娘を育て上げる母の芯の通った愛情が素晴らしい! 歳をとったせいか、この頃は主人公よりも脇役である母親に感銘を受けることも多くなった。 この母あっての島村松翠だなと思った。 後で、彼女の絵をネットで探したが、出てくるものは名取裕子主演の映画「序の舞」の映像ばかり。 お色気たっぷりすぎて、レンタルDVDをカウンターに差し出すのがちょっと恥ずかしい気もするが、頑張って借りて観よう! さらにネットサーフィンして、「島村松翠」のモデルは「上村松園」だということが分かった。(絵の画像も沢山ありますよ。) 日本人女性初の文化勲章受章者である。
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感情移入がしずらかったです…。 いまいち松園さんの思いに共感できないところがあって、松園さんの悲しみが私の中で上滑りしてました。 胡散臭さの漂う描写のされ方にちょっと受け付けないものがあったためです。 本の中に出てくる作品を一度に全部を時代順に見てみたいなって思いました。 図...
感情移入がしずらかったです…。 いまいち松園さんの思いに共感できないところがあって、松園さんの悲しみが私の中で上滑りしてました。 胡散臭さの漂う描写のされ方にちょっと受け付けないものがあったためです。 本の中に出てくる作品を一度に全部を時代順に見てみたいなって思いました。 図録的なのを横におきながら読みました。 生だとぼかしの部分が全然違うんだろうなって思います。
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日本画家の上村松園をモデルに描いた物語。 この時代、男社会で修業するのは大変だっただろうなぁと思うと 松園がたおやかで美しく描いた女性像が違って見えてくる。
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