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江は流れず(下) の商品レビュー

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2022/02/03

中古本を入手して読んだが、中々手に入らなかった。流通量が少ないのかと人気なのか。日本軍との戦いが始まる。清の末期で国自体がもうすぐ終わりを迎える状況で軍の整備はままならない。おまけに西太后が浪費して軍費が調達できず、折角の艦隊にも弾がない。一方で日本は維新直後で国の体制としては青...

中古本を入手して読んだが、中々手に入らなかった。流通量が少ないのかと人気なのか。日本軍との戦いが始まる。清の末期で国自体がもうすぐ終わりを迎える状況で軍の整備はままならない。おまけに西太后が浪費して軍費が調達できず、折角の艦隊にも弾がない。一方で日本は維新直後で国の体制としては青年期。ただ国力はまだ厚みがないので、深追いは出来ない。良い形で講和に持ち込まないと列強が干渉してくる。戦争は始めるのも終わらせるのも難しい。下関でやっと講和への道筋を開いたら今度は日本人の壮士が李鴻章を襲撃する。国際世論を気にしながら何とか伊藤博文と陸奥宗光で講和をまとめる。色々な事情が重なった中での幸運もあっての日本の勝利だった。この時の状況が清の没落、日英同盟、日露戦争に繋がっていくのだな。読み応えのある作品だった。

Posted byブクログ

2019/03/17

日清戦争を主に清側から描いている。19世紀末の東アジアの動きがリアルに理解できる。李鴻章、袁世凱、伊藤博文、陸奥宗光の日清両面から詳細な記録に基づいてフェアに記述されていると感じる。 アヘン戦争、太平天国、江は流れず、と読み進めた。陳舜臣の本を引き続き読み進めたい。

Posted byブクログ

2017/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ネタバレ 全3巻中最終。◆遂に戦端が開かれるが、そもそも清国は戦争できるシステムも、準備も、国民的含意も有しないまま。満州族王権なんぞ滅びればいいのにと考える民衆、李鴻章の私兵戦争と考える政治家たち、軍備を揃えるのに必要な資金を自己の宴席に用いた西太后ら王宮中枢。◇が、かかる相手にすら楽勝ではなかった現実。多くの人間を死に至らしめる戦いの分析は丁寧に、慎重に、そして兜の緒を締める意識の重要性が、小説からですら感得できる。◇勿論、朝鮮王朝内も問題を多々包袋。地政学的に弱者の戦略の展開が不可避(特に対清関係)。 ならば、情報の多元性と、多面的協力・援助体制の構築が必要だが、だとすると、鎖国・冊封体制の盲目的な追随の危険性は理の当然。少なくとも情報収集に努力した形跡がなく、先の危険性の自覚すらないのは為政者の悪徳であろう。◆本書の感想から外れるが、かかる意味で、不十分ながらも洋書の一部解禁を実現した徳川吉宗のプラグマティズムが、日本を救ったのではないかという穿ちも生まれる。◆本書はキャラの感情は描かないが、沈みゆく船の中での李鴻章の奮闘物語の感。加え、後代に清朝を滅ぼす人物(孫文・袁世凱)の黎明期の印象も残る。

Posted byブクログ