さぶ の商品レビュー
去年の夏、沖縄の書店で「山本周五郎賞があるのに山本周五郎の作品が面白くないはずがない。」という文句に惹かれ購入した。なかなか読む気になれず放置していたが、1年越しに私は強く同意したい。 江戸を舞台に、一人前の表具職人を目指す2人の男の子の成長を描いた作品だ。 1人は弱虫で何事に...
去年の夏、沖縄の書店で「山本周五郎賞があるのに山本周五郎の作品が面白くないはずがない。」という文句に惹かれ購入した。なかなか読む気になれず放置していたが、1年越しに私は強く同意したい。 江戸を舞台に、一人前の表具職人を目指す2人の男の子の成長を描いた作品だ。 1人は弱虫で何事にも消極的なさぶ、もう1人は常に勝ち気でやや傲慢さが目立つ英二だ。対照的な2人だが、それが2人の強く結びつけ、不可分の関係であった。 弱気なさぶを強気の英二が支え、共に成長していく王道ストーリーのよう構えてしまうが、実は正反対である。とある事件をきっかけに、英二はドン底まで落ちてしまい、何もかも自暴自棄になってしまう。 何事も優秀な人間がどのように自分を見つめ、成長していくのか。彼は社会の理不尽とどう戦っていくのか、周りの人とどう接していくのか。時代小説のようでとっつきにくいかもしれないが、時代は変わっても人や社会は変わらないことを強く感じさせてくれる一冊だ。
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瀬尾まいこさんの本の「図書館の神様」に出てきた本で気になったので読んでみることに。 きっと文面を見たら諦めていたかもしれないけど読み上げてもらえると風景が思い描けてすごく面白かった。古いお話なんて思わなかった。すごく新鮮な時代物の話だった。
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時代小説に苦手意識持ってたけど、読んでよかった。 栄ニタイプもさぶタイプも現代でも、生きてると損するのは、変わらずだな。 そしておすえタイプの女、昔からいたんだな。 栄ニとさぶの男の友情物語としては美しいけれども、そこに厄介な女が絡んでたんですね、という、そんな私の大敵みたいな女が絡んでて、おもしろかった。
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読み終えて一言。 『えええええぇぇぇーーーーー‼︎』 しばらく驚いた後、 驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。 これだから小説は面白い‼︎ そしてこの最後の場面はどうして、こんな風に終わるんだろうと考えると… やっぱり最後の場面があるからこそ、主人公が過去の出来事を本当に乗...
読み終えて一言。 『えええええぇぇぇーーーーー‼︎』 しばらく驚いた後、 驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。 これだから小説は面白い‼︎ そしてこの最後の場面はどうして、こんな風に終わるんだろうと考えると… やっぱり最後の場面があるからこそ、主人公が過去の出来事を本当に乗り越え、怒り怨み復讐の気持ちを昇華できた事が、より伝わってくる気がする。 ブク友さんの感想を読むのがとっても好きだ♪ 読んでいると"いいね"を5個ぐらいつけたくなる感想に出会う事がある。 『さぶ』はそんな素敵な感想がきっかけで手に取った作品。 その感想を書いたのはブク友の"おびのり"さん。 感想がいつも自然体で文章が知的でなんだか格好良い! おびさんのイメージは、どんな難解な本にも果敢に向かっていく感じから、 "本の荒野"に立つ腕利きの女ガンマン!(←私の中の格好良いって意味です!) タイトルの『さぶ』は主人公ではなく 主人公、栄二の心の拠り所となる人物。 『頭のいい、おとこまえの、苦労知らず。』そんな栄二は身に覚えのない盗人の罪で人足寄場に送られる。怒り、怨み、絶望の中、心を固く閉ざし、復讐を誓う。 けれど徐々に、寄場の仲間との関係や命を落とすような危険な体験、 そして、さぶやおすえ、おのぶの変わらない思いが栄二を変えていく。 まるで人生の教科書を読んでいるような 感覚だった。 誰の人生にも突然起こり得る、裏切りや不幸の連続を栄二の人生を通して追体験しているよう。大切な言葉に全部蛍光ペンでマークしたい! 中盤から、色々な登場人物が繰り返し栄二に、一人ぼっちじゃないと伝える。 『もしも栄さんが、わたしたちの恩になったと思うなら、わたしたちだけじゃなく さぶちゃんや、おのぶさん、おすえちゃんのことを忘れちゃあだめだ。おまえさんは決して1人ぼっちじゃあなかったし、これから先も、1人ぼっちになることなんかあ決してないんだからね。』 『…自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない、能のある1人の人間が、その能を生かす為には、能のない幾十人という人間が、目に見えない力をかしてるんだよ…』 たったひとりで生きてるんじゃないんだよね。 家族や大切な人への感謝、忘れないでいたいな(^^)
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山本周五郎の胸つまる時代小説。 女子高生時代からの久々の再読。(いつの話よ) 江戸下町の表具屋で、少年時代からの職人仲間の、栄ニとさぶ。栄ニは、利口で器用、さぶは、愚鈍だが誠実。お互いを支え合い生きていた。 栄二は盗みの濡れ衣をかけられて、仕事を失い自暴自棄となり、人足寄場で...
山本周五郎の胸つまる時代小説。 女子高生時代からの久々の再読。(いつの話よ) 江戸下町の表具屋で、少年時代からの職人仲間の、栄ニとさぶ。栄ニは、利口で器用、さぶは、愚鈍だが誠実。お互いを支え合い生きていた。 栄二は盗みの濡れ衣をかけられて、仕事を失い自暴自棄となり、人足寄場での生活となってしまう。 栄二の頑なな態度と心を、取り巻く人々の人情が和らげていく。 「一人では生きていけない」悟った彼は、過去の遺恨をたち、さぶと新妻との生活を始めるー で、本当のラストは、読んで泣いてほしい。 ストーリーの主人公は「さぶ」ではない。だが、自身の能力・生い立ち全てを受け入れて誠実に愚直に生きるさぶが、心揺さぶる。 物語の流れが上手い。エピソードごと、の栄二の心情変化の積み重ねが読み止まらない。 初読の時、平日の就寝前、ちょっとだけと読み始め、明け方まで泣きながら読んでしまい、大変なことになった一冊。
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山本周五郎の名作。楽しく読了しました。タイトルは「さぶ」だが主人公として活躍するのは、さぶとは対照的なヒーローとしての英二である。不思議な演出だが、物語の進行に伴い、この二人は二人で一つの人間、どちらか一方でもダメだし、陰陽・光と暗のように、どんな人でも両面を持っている。また、親...
山本周五郎の名作。楽しく読了しました。タイトルは「さぶ」だが主人公として活躍するのは、さぶとは対照的なヒーローとしての英二である。不思議な演出だが、物語の進行に伴い、この二人は二人で一つの人間、どちらか一方でもダメだし、陰陽・光と暗のように、どんな人でも両面を持っている。また、親ほど歳の離れた人、妻、師匠のような存在など、さまざまな支援者がいることでようやく一人前になれるし、それで社会が成り立っていることがわかる。理不尽な運命も、人生の成長の糧になることを教えてくれる。山本節を長編で堪能できる一冊。
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またいい本に出会えた。 題名は「さぶ」であるが、内容は、盗みの罪を着せられ、怒りのあまり自暴自棄になり、人足寄場に流れ着く栄二の悪戦苦闘が主である。 人足寄場での命にも及ぶ大事故、大事件との遭遇、与平や岡安喜兵衛といった人物との出会いと交流を通して、栄二は人間的に大きく成長してい...
またいい本に出会えた。 題名は「さぶ」であるが、内容は、盗みの罪を着せられ、怒りのあまり自暴自棄になり、人足寄場に流れ着く栄二の悪戦苦闘が主である。 人足寄場での命にも及ぶ大事故、大事件との遭遇、与平や岡安喜兵衛といった人物との出会いと交流を通して、栄二は人間的に大きく成長していく。さぶと栄二の友情もさることながら、栄二と岡安の語らいに心を惹かれた。 -おまえが気づかず、また興味がないにしても、この風には秋の爽やかな味がするし、もくせいの花の香が匂っている。 岡安が栄二に語った「風」と「花の香」との関係性は、「命」と「業」との関係性に似ているのではないかと感じた。 絶体絶命の危機を乗り越えた栄二の中に、「懺悔」とともに「報恩感謝」の心が芽生えた。 時にはさぶになり、時には栄二になり、時には岡安になりながら、この物語を読み終えた。
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そういえば……「山本周五郎賞」は良く聞くけど、山本周五郎さんの作品をちゃんと読んだことはなかったなー、と手に取る。 「赤ひげ~」の作者くらいにしか印象がありませんでした。 これもブグログでどなたかがお勧めされていた本。 紹介してくれた方々に感謝。 江戸時代。 一人前の職人になるために共に奉公をする英二とさぶ。 英二は男前で賢くて腕も度胸もあるが、対照的にさぶは見栄えも悪く愚鈍で小心で腕もパッとしない。 ある日、英二は得意先で盗人の濡れ衣を着せられ、怒りのあまりに暴れてしまい、人足寄場送りとなってしまう。そして……。 小難しく、説教臭い話なのかなと思いましたがそんなことはなく、とても読みやすくておもしろくて、ほとんど一気に読んでしまいました。 さすがは大衆文学。 最後は少し驚かされましたが、嫌な終わり方にならずに良かった。 タイトルは「さぶ」ですが本書の主人公は英二です。 英二の目を通して「さぶ」を表す、とかではなく、あくまで英二の物語であることに少々落胆しました。 なぜなら自分はどちらかと言えば「さぶ」側の人間だからです。 なぜタイトルを「さぶ」にしたんだろう? そこに意味があったのだろうか。 ここからレビューを追加します。 あの場面をもう一度読みたいな。あそこはどうだったろう。と、パラパラ再読しました。 やっぱり名著。惹き込まれます。あとをひきます。 かなりのネタバレにもなるので、未読の方は絶対に読まないでください。 解説にもあるとおりこれは、主人公英二の受難と再生の物語。その過酷な過程を通じて再生をはたした彼は、人間として厚みを増すこととなります。 英二は長く「この首にかけても」と復讐を誓い、そのことだけにとりつかれてしまうが、時が癒していきます。 人足寄場送りになった人たちとの交流が癒していきます。 英二は自分の才覚で人足寄場で中心的な存在となり、多くの人に慕われるほどになります。 そこにさぶの存在はありません。 しかし、人足寄場で事故に遭い、死にかけたときに彼が呼んだのはさぶでした。 「助けてくれ、さぶ」と。 「さぶ、助けてくれ」と。 普通であれば「おっかあ、助けて」とでも言うところでしょう。 幼いころに家族を火事で亡くした彼が最後の最後に呼んだ者は、さぶでした。 うすのろで、あほうで、能無しで、気が弱くて、英二も心の中でよく罵倒しているさぶです。 英二に対して異常なまでの献身ぶりをみせるさぶ。 彼の心の中ではさぶは、絶対に揺るがない味方。一本の太い柱となっているのでしょう。 英二の再生の手助けとなるのは先に述べたとおり、時と人足寄場で出会った人々です。 しかし、さぶというしっかりした足場があったればこそ、だったのではないでしょうか。 いずれは再生したとしても、少なくともさぶの存在が英二のそれを早めたのは間違いないでしょう。 わからないのは英二の妻となるおすえのことです。 よくもまあ……。 最後の最後まで秘密にできたものです。 彼女はじぶんのせいで過酷な目に遭う英二をどう見ていたのでしょう。 それでも、と願う女心なのでしょうか。 愛しい男を得るために、愛しい男を奈落へと落とし、口をつぐむ。 もしもそれで英二が再生をはたせずに的外れな復讐にはしり、火付けや、人を殺めてしまったりしたなら。 彼女はどうしていたのだろう。 そうはならずにほんとうに良かった。
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まるで人生訓の様な小説だなあ。 終始説教されている様な感じを受けたのは自分の生き方に後ろめたさがあるからなのか。 何故タイトルが「さぶ」なのだろう? ほぼ「栄ニ」の目を通した人間模様が描かれているのに。
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とても良かった。 無実の罪で人生転落してしまった栄二が度重なる受難に遭う姿は読んでいてとても胸が痛かったけど、人との関わり合いの中で大事な事に気づき立ち直り復活していく姿に心打たれます。 そして、どこまでも栄二を信じ尽くしてやまない愚図で優しいさぶと言う人物、その存在がかけがえの...
とても良かった。 無実の罪で人生転落してしまった栄二が度重なる受難に遭う姿は読んでいてとても胸が痛かったけど、人との関わり合いの中で大事な事に気づき立ち直り復活していく姿に心打たれます。 そして、どこまでも栄二を信じ尽くしてやまない愚図で優しいさぶと言う人物、その存在がかけがえのないものであると栄二が気づいていく事に感動し、タイトルが「栄二」ではなく「さぶ」である事に納得する。 寄場人足・与平の言葉は生きていく上で誰にでもいつの時代にも当てはまる事だけど、とかく自分の事で精一杯で忘れがちな事だけに、心にずっしりと残りました。 「ー生まれつきの能力を持っている人間でも、自分ひとりだけじゃあなんにもできやしない。能のある一人の人間が、その能を生かすためには、能のない幾十人という人間が、眼に見えない力をかしているんだよ、ここをよく考えておくれ、栄さん」 時代劇をあまり読んだことがないので、江戸の日本橋界隈の今も残る土地名などがたくさん出てくるのも楽しい。
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