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部屋にて の商品レビュー

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2017/08/01

気持ちを穏やかにしたいときには石田さんの本を読む。 絶妙なひらがなの使い方、句読点の置き方、言葉の選び方、 どれも独特で、今の時代に書いているとは思えない雰囲気をもっている。 この話は日常雑記と思ったけど、艶めいた印象を感じる文章も入っていて 小説風な、切り取ったような話を並べて...

気持ちを穏やかにしたいときには石田さんの本を読む。 絶妙なひらがなの使い方、句読点の置き方、言葉の選び方、 どれも独特で、今の時代に書いているとは思えない雰囲気をもっている。 この話は日常雑記と思ったけど、艶めいた印象を感じる文章も入っていて 小説風な、切り取ったような話を並べて行ったようなものなのかな?とも感じた。 これまで読んでいた本でも、静かな文章の中で、 けっこう外を出歩き、ふらふらと飲んで歩き、いろいろな人と会っていたりするのが、 少し意外に感じつつ楽しんで読んでたけれど、 この本はもう少し自分に入り込んだような、 外よりも内を向いて、より小さな場所で動いているような感じがしたなー。 随筆であっても小説風のものであっても、 石田さん本人の輪郭がはっきりとしないところはさすがの文章。

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2014/03/27

読後、何気なく目次を見返していたら、 くすっと笑いが込み上げてきた。 電球。 蛇口。 石鹸。 ねじ。 ボタン… なんという無機物。 部屋にはおそらく完璧な沈黙。 語っているのは千さんだが、 彼女があまりにもじっ…、と見つめすぎるので、 耐え切れなくなったモノ達が もじもじと...

読後、何気なく目次を見返していたら、 くすっと笑いが込み上げてきた。 電球。 蛇口。 石鹸。 ねじ。 ボタン… なんという無機物。 部屋にはおそらく完璧な沈黙。 語っているのは千さんだが、 彼女があまりにもじっ…、と見つめすぎるので、 耐え切れなくなったモノ達が もじもじと(実は)代弁してた。 たった今、読み終えたばかりの頭には そんなヘンテコな絵が残っていて 妙に可笑しかった♪

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2012/04/15

『ないしょばなしのような、高めの声が流れている。ギターのつまびきにのって、ふたりの青年が、so longとくりかえす』-『ボタン』 『宙ぶらりんで飲む酒はやわらかく、このままでいいやと酔って過ぎる。それですませて、いいのかな。ときおりふつふつと思うのが片っぽうだけではないと、き...

『ないしょばなしのような、高めの声が流れている。ギターのつまびきにのって、ふたりの青年が、so longとくりかえす』-『ボタン』 『宙ぶらりんで飲む酒はやわらかく、このままでいいやと酔って過ぎる。それですませて、いいのかな。ときおりふつふつと思うのが片っぽうだけではないと、きのう雨にとじこめられながら知った』-『窓』 石田千を読み継ぐ。晴耕雨読。そんな言葉が頁の紙からゆらゆらと陽炎のように立ち上る。ぽつぽつと間引きされたような日常は、似たような風景、似たような出来事を通して過去とゆるやかに結びつく。いつまでも忘れ得ぬ思いというものに突き当たり、日常に埋もれてしまう感情の案外の大きさに少し驚いたような心持ちがする。 男女の間がらのこと、と限定された訳ではないけれど、このエッセイ集の中にはどうもその気配が濃い。 料理を作る、食べる、あの時は、その後で。過去は殺風景に描写された部屋の中には大したものを残してはいかないが、一つの料理、一つのボタン、開け放たれた窓の外の景色が、ひゅうと過去を連れ戻す。時間の流れと同じように心の動きも停滞する。曇り空が広がるように頭が重く押し付けられる。そんな石田千の気持ちのうねりが見えてくる。 そんな時、石田千は身体を使う。ねじを回し、包丁を研ぎ、窓を開け、部屋を片付ける。象徴的に心はかるくなり、身体の動きに促されるように時間の流れは元に戻る。 買い物にゆく、友達と会う、酒飲みに出かける。案外と行動的な石田千の日常が細かに見えてくる一方で、彼女の気持ちは古い部屋から出ていく気配が一向に見えてこない。同じ部屋の一つところをぐるぐると回り、ああでもない、こうでもない、と言いつのる。その誰にも見せる必要のない自分というものを、石田千はどこまでも大切にするようにみえてくる。案外とそんな風に自分を大切にすることを忘れてしまっていたような気になってくる。 Frank Lloyd WrightのようにNever change point of view。一つ一つものごとは過ぎてゆき、一日一日時は深まる。

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2011/07/16

これはスケッチ風の訪問記とは一線を画して、著者の内面の声をひっそりと吐き出すかのような少し重たいエッセイ集。「野生時代」の2005年3月号から2007年2月号まで2年に渡って連載された24編が収録されている。著者得意の時制の転換(記憶の挿入)が頻繁に行われ、読み手はその飛躍に翻弄...

これはスケッチ風の訪問記とは一線を画して、著者の内面の声をひっそりと吐き出すかのような少し重たいエッセイ集。「野生時代」の2005年3月号から2007年2月号まで2年に渡って連載された24編が収録されている。著者得意の時制の転換(記憶の挿入)が頻繁に行われ、読み手はその飛躍に翻弄される。そして、その論理も越えた記憶の飛翔に慣れれば、あたかもほろ酔い時の頭の働きに似た酩酊気分となる。この麻薬にも似た叙述マジックが著者らしさなのだと、のっけの「黒猫」から感じ入る。今回のエッセイでは、覚悟を込めたように他者とのかかわり合いについて、自己の気持ちをより赤裸々に吐露している。世間を観察するような一文の後で、自分の心の内を覗きこむ姿には、思わずぞくりとさせられる。どのエッセイも心に残るものだが、なぜか一番心に残ったのは「ボタン」か。

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2011/04/26

再読。 二日酔いや風邪っぴきが多い千さんの文章に誘われるように、 私ものどを腫らしてしまい、臨場感が増してしまった。

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