不毛地帯(1983年)(4) の商品レビュー
山崎豊子は綿密な取材でノンフィクションとも思える小説を紡ぎだしてゆく。本作は40年ほど前の作品になるだろうが、その詳細さは商社や世界企業となった会社に勤める者にとってかけがえのない資料を提供してくれる。 それはともかくも、シベリア抑留の体験、戦争の悲惨さを実体験したことが、...
山崎豊子は綿密な取材でノンフィクションとも思える小説を紡ぎだしてゆく。本作は40年ほど前の作品になるだろうが、その詳細さは商社や世界企業となった会社に勤める者にとってかけがえのない資料を提供してくれる。 それはともかくも、シベリア抑留の体験、戦争の悲惨さを実体験したことが、部分的に戦後高度経済成長の原動力になったこと、今のゆるい仕事のやり方や人との接し方のいい加減さなど、40年以上前には普通であったこと、今ではやり過ぎで企業戦士とも思えること、対照的に映る。 そういう機会があるのがいいのかないのがいいのか、なくったって、人生を楽しめる人は勝手に見つけるんだろうけど。 楽な反面、やり遂げたときの達成感が薄い。そういうのって、中学生が一生懸命やることをかっこわるいと思い、大人になると一生懸命やることこそがかっこいいのだと思うのと似ていたるするのかしないのか。
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尿管結石で入院した時にベッドの上で読んだ本。退院して仕事に復帰したら頑張ろうと遅れを取り返そうとそんな気持ちにしてくれた。
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大本営の参謀として終戦を迎え、10年もの長きにわたるシベリア抑留を経て、商社マンとなった主人公の壱岐が、 次世代戦闘機や自動車や石油をめぐって国内外と戦う話。。 社内の派閥闘争、政治家との裏取引などの泥臭い人間ドラマや、 二度と人生を誤ってはいけないと心に近いながら、自らの心を...
大本営の参謀として終戦を迎え、10年もの長きにわたるシベリア抑留を経て、商社マンとなった主人公の壱岐が、 次世代戦闘機や自動車や石油をめぐって国内外と戦う話。。 社内の派閥闘争、政治家との裏取引などの泥臭い人間ドラマや、 二度と人生を誤ってはいけないと心に近いながら、自らの心を切り刻みながらビジネスを推し進めていく主人公の心の葛藤がみもの。 ビジネスマン必読の書。
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読み終わっていたのは去年の年末。 大作4巻目。面白くて3巻まではすいすい読んでいたが、 4巻はなんだか失速してしまいなかなか終わらなかった。 石油をめぐる政治家の利権争いやら 大門社長引退をめぐる一連の社内政治やら 黒々とした世界に少し食傷気味。 世の中こんな壱岐さんみたいに信...
読み終わっていたのは去年の年末。 大作4巻目。面白くて3巻まではすいすい読んでいたが、 4巻はなんだか失速してしまいなかなか終わらなかった。 石油をめぐる政治家の利権争いやら 大門社長引退をめぐる一連の社内政治やら 黒々とした世界に少し食傷気味。 世の中こんな壱岐さんみたいに信念をもって生きられる人のほうが苦労が多いだろうなと思った。 主人公の中年の恋はちょっときれいに終わりすぎだったような気もするけどまぁ完全にサブストーリーだから下手にどろどろさすのもね。。。という具合かなぁ? Dec 2011
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エンディングに至る過程はシリーズでもっとも引きこまれた。主人公の生きざまはハードボイルドというか、やはり少し時代がかって見える。
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これは… 素晴らしいの一言。 組織と個人。国家と民間。そこで揺れる壹岐さんの描かれ方は、他の山崎豊子のどの主人公よりリアルかもしれない。 泣けるぜ。
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読み切った。「水滸伝」と並行してこの長編小説を読み進めていたが、約3ヶ月の旅が終了した。登場人物が多く、内容も難解なネタが多かったが、何よりフジテレビのドラマを観ていたお陰で人物や仕事内容のイメージがしやすかった。改めて、鮫島辰三を演じた遠藤憲一、里井副社長を演じた岸辺一徳、角田...
読み切った。「水滸伝」と並行してこの長編小説を読み進めていたが、約3ヶ月の旅が終了した。登場人物が多く、内容も難解なネタが多かったが、何よりフジテレビのドラマを観ていたお陰で人物や仕事内容のイメージがしやすかった。改めて、鮫島辰三を演じた遠藤憲一、里井副社長を演じた岸辺一徳、角田業務本部長を演じた篠井英介はまさにハマリ役だと思った。 本作品から学んだのは仕事への執念である。どの登場人物も、それぞれが自身の仕事に誇りを持ち、身を賭して闘っており、ともすればぬるま湯を求めがちな私にとっては良い刺激を得られた。 最もお気に入りの登場人物はイランはサルベスタン鉱区で世界を相手に丁々発止の闘いを繰り広げ、激戦の末落札し、見事原油を掘り当てた、兵頭信一良。彼の仕事への執念は素晴らしい。 そしてもう一人、東京商事の鮫島辰三。本作品では壱岐のライバルとして設定されており、ヒールの位置付けではあるが、個人的には好きなキャラクターだった。何しろ「臍の緒を切ったときから商社マン」の心意気が凄い。彼の行動力と突進力、鮫のような嗅覚は見習いたいものだ。 ラストは綿花市場で46億円の損失を出した大門社長に勇退を促し、自らも引退、シベリア抑留者の親睦会である朔風会の世話役を引き受け、シベリアに向かう。次期社長を示さず、恋人の秋津千里との関係は曖昧なまま作品は終了。こうした、読者に想像を預けるような締め括り方は、通常は尻切れトンボのように感じられてストレスが溜まるものだが、本作品においては不思議とすっきり書を閉じることが出来た。巨匠:山崎豊子先生の為せる技である。そして何より、山崎豊子先生の取材力には舌を巻いた。中東産油国の習慣、入札制度、原油掘削の技術…、どれをとっても綿密な取材のもとに描かれており、とても真似出来るものではない。作品をじっくり読み、妥協のない取材をしっかりと感じることが出来た。
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シベリア抑留の事、石油の事、商社の事、たくさん知らない事が書いてあって勉強になった。 石油でろ~と、応援してしまった。 けれど、壱岐さんと陶芸家の下りは要らないです。 私が新婚だから、そう思うのでしょうか。中年男を本に釘付けにする為に書いてるような気がします。ヒーローは絶対モテ...
シベリア抑留の事、石油の事、商社の事、たくさん知らない事が書いてあって勉強になった。 石油でろ~と、応援してしまった。 けれど、壱岐さんと陶芸家の下りは要らないです。 私が新婚だから、そう思うのでしょうか。中年男を本に釘付けにする為に書いてるような気がします。ヒーローは絶対モテるなんて、司馬遼太郎をマネしてるみたいです。 山崎先生の本だから!と期待し過ぎたのかな~。。
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出だしのシベリア抑留の話が重すぎたのと、帰国後の商社の話がとっつきにくかったのとで途中何回も脱線してしまい、うまく読み進めることができなかった。 あと、主人公の壱岐正に共感できるところが少なかった。
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元陸軍参謀の壱岐正の生き様を通し、シベリア抑留の苦悩、 そして再就職先での近畿商事にて熾烈な商戦の暗部を描く。 前半のの1巻・2巻で、シベリアでの強制労働、 後半の3巻・4巻で砂漠での石油開発といった、 二つの「不毛地帯」を描いている。 二つの祖国、大地の子と合わせて、山崎豊子...
元陸軍参謀の壱岐正の生き様を通し、シベリア抑留の苦悩、 そして再就職先での近畿商事にて熾烈な商戦の暗部を描く。 前半のの1巻・2巻で、シベリアでの強制労働、 後半の3巻・4巻で砂漠での石油開発といった、 二つの「不毛地帯」を描いている。 二つの祖国、大地の子と合わせて、山崎豊子の戦争三部作と 言われる中の一つ。沈まぬ太陽を読んでから、二つの祖国を 読んだので、次はこれでしょうということで、読み始めたもの。 かつては商社マンの必読書とも呼ばれたというこの本。 一応、俺も商社マンの端くれとしては、感じるものもありました。 繊維商社から始まった近畿商事が重工業化を図っていますが、 俺の会社も分野が違うところもあるけれど、同じような 構造を抱えています。 社内各部門での風通しがよくないところも含めて。 もちろん、壱岐の視線とまだまだペーペーの俺の視線は 違うんだけどね。 とは言え、まだまだモノを買って売ってに毛の生えた程度の ことしか出来ていない商社マンの俺としては、 耳の痛いところもありました。 前半のシベリア抑留のところでは、ただのキーワードとして しか知らなかったシベリア抑留のことを具体的イメージとして 知ることが出来ました。 それは中国残留日本人孤児だってそう。 旧満州に終戦時にどれだけの日本人がいて、 どのようにしてその地を追われていったのか。 その歴史の一端をしっかりと心に刻む必要があると思います。 http://teddy.blog.so-net.ne.jp/2009-01-23
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