1,800円以上の注文で送料無料

美徳のよろめき の商品レビュー

3.7

117件のお客様レビュー

  1. 5つ

    19

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

    31

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

現在では、この価値が…

現在では、この価値が美徳とさえ考えられていないので、主人公の迷いに感情移入ができないのですが、その点をのぞけば、非常に面白い小説です。

文庫OFF

「美徳のよろめき」と…

「美徳のよろめき」とはつまり不倫を表わしているようです。男である三島由紀夫が倉越夫人の心理を見事に描いてます。一方、男である旦那については特に何も無し、いつも寝てます(笑)

文庫OFF

フローベール『ボヴァ…

フローベール『ボヴァリー夫人』の影響が濃いです。「不倫」を「よろめき」と表現するのは、当時流行しました。

文庫OFF

 恋から始まるわけで…

 恋から始まるわけではなく不倫をしているうちに恋をしていく。主人公は自分で作る物語に熱中し、また物語を作っていく。果たして主人公は男に恋していたのか。三島は耽美的と言われるけれど、表現されているのは美ではなく、三島の好みであると思う。美は価値でありどこにでも偏在するものではないの...

 恋から始まるわけではなく不倫をしているうちに恋をしていく。主人公は自分で作る物語に熱中し、また物語を作っていく。果たして主人公は男に恋していたのか。三島は耽美的と言われるけれど、表現されているのは美ではなく、三島の好みであると思う。美は価値でありどこにでも偏在するものではないのだ。 それでも本書には読んでいて面白いところもある。男性である私にはこれが女性の気持ちをよく描けているのかはわからない。ただ不倫相手や旦那の行動には身に覚えもある。作家には人間をしっかりと捉えることが要求されるが、三島は確

文庫OFF

2024/10/24

貞節と美徳の本質について良心の呵責がひとよりもあるからこそ思い悩む節子。 太宰治と似ている気がする。 人よりもそのことについて永遠に考えているくせに、本能には逆らえない自分。 不倫の小説の話なのにいやな気持ちにならない。 昔の小説なのに女を卑下するところもないので読みやすい。

Posted byブクログ

2024/06/06

とても読みやすかった。不倫の話なのに文章がとても綺麗で純粋な気持ちで読むことができた。節子と土屋が旅行へ行った場面はとても初々しく気持ちが高まった。節子が土屋にはまっていくのに失いたくないという気持ちから本心を言えず心に留めてしまう気持ちはすごく共感した。土屋にはそれほどの気持ち...

とても読みやすかった。不倫の話なのに文章がとても綺麗で純粋な気持ちで読むことができた。節子と土屋が旅行へ行った場面はとても初々しく気持ちが高まった。節子が土屋にはまっていくのに失いたくないという気持ちから本心を言えず心に留めてしまう気持ちはすごく共感した。土屋にはそれほどの気持ちがないことも態度や言葉に出ておりまた良人も節子を心から愛していない様子をみて節子を不憫に感じた。

Posted byブクログ

2023/09/10

読んでる途中で、ん?谷崎作品を読んでたっけ?って思ったら、解説で北原武夫氏も谷崎潤一郎と実によく似ていると書いている。 裕福な家庭の奥様が、ある独身男性と姦通するのだけど、現代にある不倫というドロドロしたものとは似ても似つかない何とも優美な印象を受ける。 恋愛とは最初は盲目的だけ...

読んでる途中で、ん?谷崎作品を読んでたっけ?って思ったら、解説で北原武夫氏も谷崎潤一郎と実によく似ていると書いている。 裕福な家庭の奥様が、ある独身男性と姦通するのだけど、現代にある不倫というドロドロしたものとは似ても似つかない何とも優美な印象を受ける。 恋愛とは最初は盲目的だけど、徐々に相手に疑心暗鬼になり嫉妬心が湧いてきたりする。でも、可愛らしい嫉妬にとどめ皆まで言わない。そういう所が最後まで耽美的で優雅な印象を与えるのかもしれない。 こういう恋愛なら経験してみたいなぁ。

Posted byブクログ

2022/03/07

不自由なく暮らす暇な主婦節子が土屋に夢中になる不倫物語。 節子語りで節子目線で進む話、土屋に夢中で酔ってる節子と楽しく女の子と遊びたい土屋、本気だったのは節子だけだし悩んでたのも節子だけ。 あと、夫は気づいてるよ絶対に。

Posted byブクログ

2021/07/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

通勤の電車では集中できなかったのか文章があまり入ってきませんでした。 評価は良いのでいつかもう一度読もうと思います。

Posted byブクログ

2021/06/13

この作品の主題は、一瞬愚鈍で蒙昧とも言える清廉すぎる人妻節子が、姦通という不貞によって世俗的な嫉妬、憎しみのような感情へと堕ちてゆく過程を描くことではなかろうか。文学的作品を嗜む機会があまりなかったゆえ自信がないが、おそらくそうなのだろうと私は解釈した。 すでに述べたとおり、物...

この作品の主題は、一瞬愚鈍で蒙昧とも言える清廉すぎる人妻節子が、姦通という不貞によって世俗的な嫉妬、憎しみのような感情へと堕ちてゆく過程を描くことではなかろうか。文学的作品を嗜む機会があまりなかったゆえ自信がないが、おそらくそうなのだろうと私は解釈した。 すでに述べたとおり、物語当初、節子は「聖女」と評されるばかりに清廉潔白な人妻であった。生まれがよく、何不自由なく暮らしてきた彼女には、元来人が成育するにつれ経験する恋愛感情はもちろん、嫉妬や強欲といった醜い感情からも縁遠い存在であった。一見して、それは素晴らしき美徳であるように思われるが、しかしその感性が酸も甘いも知らぬ無知によってもたらされるものならば、つまり美徳とは悪に疎いことを差すのであろう。そしてそれは、どんなものよりも穢れなく、そして陶器のように美しく映るのである。その汚れなき純白を染めたいと願うのは、人間生来の気質ではなかろうか。 このような作品を引き合いに出すのはいかがなものかと思いながらも、過去にプレイしたノベルゲーの登場人物Mが節子とよく被って映った。Mは大家族の農家出身で、人の悪意を信じないような純真無垢な心を持っている。主人公であるAはヤクザモノに育てられた悪党で、常々Mを堕としてやろう(世俗に塗れさせてやろう)とするのである。時代も感覚もまったく違う時代に描かれた二作が、まったく同じテーマを扱っている。非道徳的なのであろうが、人間の心を擽る本質的事柄であろう。 最後に一つ。美しいものを汚したいという人間的悪徳を描き切ったものながら、作中に散りばめられた含蓄を忘れてはならない。助言する松木老人への節子の言葉がひどく印象的である。 「男ってあんなにまで孤独になれるんだわ。——男は一度高い精神の領域へ飛び去ってしまうと、もう存在であることをやめてしまえる」 実際に女が孤独に成れないのかは不明だが、男に関しては理解できるような気がする。人は誰かと関わり合いなしに生きていくことなどできないが、それと精神的孤独はまったくの別物である。人生の孤独、それを述べた深い言葉であるように思われた。 細部の細部まで芸が凝らされた本作。ちょっとエロティックな部分もあるので、文芸作品初心者にはおすすめだろうと思う。どうぞ皆も一度手にとってみては?

Posted byブクログ