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二十世紀旗手 の商品レビュー

3.1

40件のお客様レビュー

  1. 5つ

    5

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2024/03/13

作者の内側、精神世界に、正面から向き合った作品たち。作者の表現への理解が深まった。同時に、今を生きる我々の内なる苦悩、精神的な複雑さをも、戦前の時点で作者が表現し得ている。自分を見つめ直す折に、また読み直したい。

Posted byブクログ

2024/02/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

太宰は小説家というより、詩人みたいだと思う。 読んでいると、断片的な言葉がキラキラと辺りを舞うような感覚になる。 ●雌に就いて 2人の人物の会話のみの形式で進んでいく。 理想の女との妄想をくりひろげるはずが、話は妙に具体的。 ずっと会話のみが続くからこそ、最後の地の文の威力、余韻がすごい。 「女は寝返りを打ったばかりに殺された。私は死に損ねた。七年たって、私は未だに生きている」 ●喝采 演説形式の話。 独白体が得意な太宰の文と相性が非常に良く、好きだ。 ●二十世紀旗手 正直話のすべては理解できなかったが、言葉の巧みさが伝わる。最後のパラグラフがまるごと素敵。 「それも三十にちかき荷物のうち、もっとも安直の、ものの数ならぬ小さいバスケット一箇だけ、きらきら光る真鍮の、南京錠ぴちっとあけて、さて皆様の目の前に飛び出したものは、おや、おや、これは慮外、百千の思念の子蟹、あるじあわてふためき、あれを追い、これを追い、一行書いては破り、一語書きかけては破り、しだいに悲しく、たそがれの部屋の隅にてペン握りしめたまんま、めそめそ泣いていたという」

Posted byブクログ

2023/12/14

太宰治27〜28歳(1936〜37年)の頃の作品集。 かなりヘヴィーな時期に書かれた文章のはずなのに、どれもなぜかチャーミングに響いてくる。

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2022/12/25

「二十世紀旗手」という 華々しいタイトルに反して 太宰の苦悩や混乱が 感じられる 読みづらいけど 文章のリズムとか表現には ハッとさせられる 古本屋かえりみちにて購入 

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2022/08/03

『晩年』の作品群と似た雰囲気をもっている。 モラトリアム期の懊悩を抱えたことがある人なら、なんとなくこの太宰作品群のもつ雰囲気にそれを感じとり、自分が書いたわけでもないのに何だか恥ずかしいような気持ちになるのではないか。 懊悩しながらあっちへいったりこっちへきたり、その勇ましくな...

『晩年』の作品群と似た雰囲気をもっている。 モラトリアム期の懊悩を抱えたことがある人なら、なんとなくこの太宰作品群のもつ雰囲気にそれを感じとり、自分が書いたわけでもないのに何だか恥ずかしいような気持ちになるのではないか。 懊悩しながらあっちへいったりこっちへきたり、その勇ましくないクネクネのなかに、ふと美しいワンフレーズや、それはそうだよなと頷くような一文が現れてきます。 中学生の頃は、なんだかつらつら長々とまとまりのないことが書かれているなかに、むやみに魅力的な一節が出てくるなぁという印象だったが、30代の今読むと、つらつら書かれているようにみえて実はリズムよく計算されていることがわかる。 少し気持ちに余裕のあるときに読むのがおすすめ。

Posted byブクログ

2022/07/23

53冊目『二十世紀旗手』(太宰治 著、1972年11月、新潮社) 太宰治が1936年から1937年にかけて発表した、表題作を含む7編を収録。 20代後半だった太宰の苦悩や絶望が赤裸々に著されており、それは85年後の現代を生きる我々にも、身近な心の苦しみとして痛切に感じることが...

53冊目『二十世紀旗手』(太宰治 著、1972年11月、新潮社) 太宰治が1936年から1937年にかけて発表した、表題作を含む7編を収録。 20代後半だった太宰の苦悩や絶望が赤裸々に著されており、それは85年後の現代を生きる我々にも、身近な心の苦しみとして痛切に感じることが出来る。 描かれている内容は時代を越える普遍性を持っている。 しかし、この時期の太宰は精神的な混乱を抱えており、それが文章にも表れている。 端的に言って、非常に難解で読みづらい作品集である。 「笑われて、笑われて、つよくなる。」

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2021/09/30

ものすごく読みにくくてかなり時間がかかった。 手紙のやり取りが小説になっていたり文体が突然変わったりといろいろ試したりしているのだろう。

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2021/06/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

声に出したくなるようなとても心地の良いリズム。 歌のよう。 「苦悩高きが故に貴からず。」で始まる序章、"神の焔の苛烈を知れ" 「 罰だ、罰だ、神の罰か、市民の罰か、困難不運、愛憎転換、かの黄金の冠を誰知るまいとこっそりかぶって鏡にむかい、にっとひとりで笑っただけの罪、けれども神はゆるさなかった。 君、神様は、天然の木枯らしと同じくらいに、いやなものだよ。 峻厳、執拗、わが首すじおさえては、ごぼごぼ沈めて水底這わせ、人の子まさに溺死せんとの刹那、せめて、五年ぶりのこの陽を、なお念いりにおがみましょうと、両手合せた、とたん、首筋の御手のちから加わりて、また、また、五百何十回目かの沈下、泥中の亀の子のお家来になりに沈んでゆきます。」

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2020/02/11

久し振りの再読。短編7編収録。太宰の不安定な精神状態が滲み出ているような作品が多く、それでいて何か研ぎ澄まされた気迫のようなものも感じられる。太宰に送られた手紙だけで構成された(創作された手紙も含むまれるだろうとのこと)「虚構の春」の型破りな作風は見事としか言いようがない。全体的...

久し振りの再読。短編7編収録。太宰の不安定な精神状態が滲み出ているような作品が多く、それでいて何か研ぎ澄まされた気迫のようなものも感じられる。太宰に送られた手紙だけで構成された(創作された手紙も含むまれるだろうとのこと)「虚構の春」の型破りな作風は見事としか言いようがない。全体的に文章のリズム、走り駆け抜けていくような速度のある文章が読んでいて心地いい。太宰文学は語感のセンスが群を抜いてると思う。

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2023/02/28

2018年11月28日、読み始め。 2018年12月8日、「狂言の神」を13頁まで読んだ。 ほとんど読んでませんね。 ●2023年2月28日、追記。 本作に収録されているのは、 狂言の神 虚構の春 雌に就いて 創生期 喝采 二十世紀旗手 HUMAN LOST 狂言の神、...

2018年11月28日、読み始め。 2018年12月8日、「狂言の神」を13頁まで読んだ。 ほとんど読んでませんね。 ●2023年2月28日、追記。 本作に収録されているのは、 狂言の神 虚構の春 雌に就いて 創生期 喝采 二十世紀旗手 HUMAN LOST 狂言の神、虚構の春は、船橋に住んでいた時に書かれたもののようです。

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