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の商品レビュー

3.8

181件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2022/08/29

序盤に園子さんの肩書きが書いてあったことをすっかり忘れて読み進め、感情が揺り動かされたラストでした。情緒の細かいところまで語られているので何ともリアリティがあり、読者の私も光子さんに翻弄されました。最初は女学生の百合だ!って喜んでいたのに…(笑) 生まれ持った性質で人を自然と堕と...

序盤に園子さんの肩書きが書いてあったことをすっかり忘れて読み進め、感情が揺り動かされたラストでした。情緒の細かいところまで語られているので何ともリアリティがあり、読者の私も光子さんに翻弄されました。最初は女学生の百合だ!って喜んでいたのに…(笑) 生まれ持った性質で人を自然と堕としてしまう魅力の女性というのは、こういう人なんでしょうか。会ってみたいような、恐ろしいような、そんな感じがします。 大阪弁の口語調で綴られているので、関西弁になじみがない人には読みにくいかもしれません。時間はかかりますが、心の中で音読しながら読むのが何とも楽しく、日本語の美しさを感じます。 中村さんの解説も、谷崎氏の作品のなかでどういった位置付けなのかが書かれていて、参考になりました。

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2022/08/16

「刺青・秘密」の次に好きでお気に入り。 美しくて残忍な、悪魔な女を描く谷崎潤一郎はやはり凄いし素晴らしい作家だと再認識できた本。

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2022/04/21

戦前の小説のわりに、ストーリーに起伏があって二転三転する。作者は事実そのままを描く自然主義には反対の立場だったらしい。

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2021/12/21

故郷の祖母と話しているような文体が懐かしかった。 内容はスキャンダラス、だけどはっきりとは書いていないから上品でもあった。後半の薬を多用する辺りからはヤベーな・・・と思って読んだ。

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2021/10/10

関西を舞台にしている作品で、物語の中のやり取りも大阪弁で交わされており親近感が湧く。女のバトルはいつになっても恐ろしいものだ。

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2021/10/09

おばけとかそういう特殊なもの使わなくてもこんなホラーが描けるんだなぁ...というお話。 柿内夫人は女子技芸学校に通い、日本画を勉強していた。ある日観音様を描く勉強をしていた時にその観音様の顔が同じ学校に通う徳光光子に似ているのではないか?と言われ、同性愛者の噂を立てられる......

おばけとかそういう特殊なもの使わなくてもこんなホラーが描けるんだなぁ...というお話。 柿内夫人は女子技芸学校に通い、日本画を勉強していた。ある日観音様を描く勉強をしていた時にその観音様の顔が同じ学校に通う徳光光子に似ているのではないか?と言われ、同性愛者の噂を立てられる...柿内夫人は光子を見かけたことはあるものの実際に喋ったことはないのだがその噂をきっかけに光子と喋るように。 そして光子の魅力に取り憑かれてしまい、光子も光子で柿内夫人を「姉ちゃん」と呼び慕う仲に...嘘から出たまことになってしまう。夫に内緒で光子に会う柿内夫人、そのうち周りの人間関係が複雑になっていき、それぞれの情念が渦巻く。この「愛したい、愛されたい」の愛憎のタガが外れていくのが怖い。猜疑心が猜疑心を生み正常な判断がどんどんできなくなっていく...。 周りにいる人を狂わせていく存在...これほど怖いものはないなと思った。

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2021/07/24

何故かここ数日、朝の爽やかな時間帯に、このねっとりとした話を読んでいた。 婦人が体験した奇妙な同性愛の顛末について語る。 語り口が軽やかな関西弁で、言葉の一つがなんともひらひらと漂うように響いてくるせいか、起きていることの湿気のようなものが薄まっていく。 でも、だんだん面では被...

何故かここ数日、朝の爽やかな時間帯に、このねっとりとした話を読んでいた。 婦人が体験した奇妙な同性愛の顛末について語る。 語り口が軽やかな関西弁で、言葉の一つがなんともひらひらと漂うように響いてくるせいか、起きていることの湿気のようなものが薄まっていく。 でも、だんだん面では被害者を装いつつ、自分の利益を常に考えている人、ただただ人を振り回す癖のあるネチっこさみたいなものが同じ関西弁で濃く嫌らしく響いてくる。 谷崎潤一郎さんは「痴人の愛」を読んで以来で久しぶり。 またもや一人の女性に振り回される話、この人Mだな。 追記:江戸川乱歩さんも新潮文庫の夏カバー(赤一色)に惚れて購入し読み、いつのまにか命日に読んでいた。 この「卍」も2018年の夏カバー(赤一色)そして読了した本日(2021年7月24日)は谷崎潤一郎さんの誕生日…なんかカバーの魔力とかあるのかな?

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2021/05/16

あまり読み慣れない文体(関西弁、昔の言葉)だったので、最初の方は読みづらかったが、慣れるとテンポよく読めた。 1回2人が離れたとき、このまま夫と幸せになれと思ったがそうもいかず(笑)、まさか夫まであんなことになろうとは…。 私も、園子と同じように、最初は光子さんは好きで綿貫と付...

あまり読み慣れない文体(関西弁、昔の言葉)だったので、最初の方は読みづらかったが、慣れるとテンポよく読めた。 1回2人が離れたとき、このまま夫と幸せになれと思ったがそうもいかず(笑)、まさか夫まであんなことになろうとは…。 私も、園子と同じように、最初は光子さんは好きで綿貫と付き合っているのかと思ったけど、綿貫のことが分かってきてから状況が一変。 光子さんはどこまで計算していたのか、本当は園子とその夫のことをどう思っていたのか…。 光子さん側の独白も見てみたかった。 物語には関係ないが、2人が園子の夫のことを「ハズさん」と呼んでいるのが可愛くていいなと思った。

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2021/05/16

関西の文語のような表現で、いささか理解力が無いと苦労しました。主人公が欺かれる所は何とも言えない虚無感があり、読者にとっての読み応えのあるものにとって代わった様です。嫌らしい綿貫の誓約書により破滅まで追いやられる様子や、最後に夫までもが光子に靡いてしまうという設定は見るに堪えませ...

関西の文語のような表現で、いささか理解力が無いと苦労しました。主人公が欺かれる所は何とも言えない虚無感があり、読者にとっての読み応えのあるものにとって代わった様です。嫌らしい綿貫の誓約書により破滅まで追いやられる様子や、最後に夫までもが光子に靡いてしまうという設定は見るに堪えませんが、それこそ人間のいやらしさを描いていて良かったです。最期の盛り上がりに欠けたような気もしましたが、園子が実は冷静な女だった事が分かったので安心しました。

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2021/04/24

ひと昔前の昼ドラを思わせる、衝撃の展開。 四人の感情が複雑に絡まりあっていく。 独占したくて、欺く。 信じるがゆえ、欺かれる。 光子が本当に愛したのは誰だったのか。

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