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吉野葛・盲目物語 の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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吉野葛は少々難しかっ…

吉野葛は少々難しかったけれど、盲目物語は織田信長の妹、お市の方の物語。潤一郎ワールドといいうのですかね。流れるようなタッチの運びは戦国絵巻そのものですね。

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吉野葛は著者が小説に…

吉野葛は著者が小説にする資料を調達するために奈良にでかけるという紀行文的なものに捉えがちですが、やはり最後にはこれもひとつの小説作品といえるのではないでしょうか。

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「盲目物語」は、題名…

「盲目物語」は、題名のとおり、盲目の男が語る戦国時代の物語です。流れるような古文調の語り言葉がとても綺麗です。

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2023/07/14

旅エッセイ風の小説「吉野葛」と、お市の方を描いた歴史小説「盲目物語」の中期二篇。 「母」に「主」‥‥初期のマゾヒリズムとは少し趣が変わっていても、「従属する」という部分で変わらない作者の嗜好を感じてしまった。好きだ〜っ

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2022/05/02

ある理由から谷崎潤一郎氏の吉野葛を読む必要ができた事から読んだのであるが、思いの外地元奈良を書き写すことに成功しており引き込まれた。 国栖の紙漉きや義経千本桜の初音の鼓、津村の母が嫁いだ島之内と奈良を結び付けるのに暗がり峠が持ち出されたり、と奈良の歴史を理解する上でも重要な要素要...

ある理由から谷崎潤一郎氏の吉野葛を読む必要ができた事から読んだのであるが、思いの外地元奈良を書き写すことに成功しており引き込まれた。 国栖の紙漉きや義経千本桜の初音の鼓、津村の母が嫁いだ島之内と奈良を結び付けるのに暗がり峠が持ち出されたり、と奈良の歴史を理解する上でも重要な要素要素が上手に散りばめられており谷崎氏の才覚が遺憾なく発揮された所であることがわかった。地元奈良は何故にこれに触れぬのか理解しがたい。 舞台、アニメにしても味わえそうだわ◎

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2022/03/18

随筆的小説と称される「吉野葛」。和歌か俳句を一篇の小説にしたような、わび・さびのある珠玉の短篇。大和の吉野の地に伝わる歴史伝説と、友人津村の「親の在所が恋しゅうて」という心もちが織り重なって綴られる。葛の葉、熟柿、蔦、櫨、山漆……秋の吉野は偲ばれる母の双眸。「春琴抄」を発表する前...

随筆的小説と称される「吉野葛」。和歌か俳句を一篇の小説にしたような、わび・さびのある珠玉の短篇。大和の吉野の地に伝わる歴史伝説と、友人津村の「親の在所が恋しゅうて」という心もちが織り重なって綴られる。葛の葉、熟柿、蔦、櫨、山漆……秋の吉野は偲ばれる母の双眸。「春琴抄」を発表する前の作品。 豊臣秀吉の側室である茶々の母であり、織田信長の妹、お市の烏孫公主を、「めくら」の三味線ひきが語る「盲人物語」。按摩ついでに語ったものなのか、ひらがな多めで記されており、寥々とした唄のように染み入った。 この盲人、しわしわの爺やと思いきや、32歳ということが終わりころ判明。人生50年の時代だもんね。 お市を慕い、長年女房らにまじって仕えてきたこの三味線ひきが、茶々を背負って逃げる際(秀吉の小谷城攻めで)、茶々の肢体から伝わる温もりでお市のなまめかしさを思い出し、お市らと共に自害するはずであったのに、今度は茶々の慰みとなるため生き長らえようと即座に意を固めるあたり、谷崎らしさが爆発していた。

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2022/01/30

白州正子の『かくれ里』に谷崎の『吉野葛』の話が出てきたので吉野葛目当てに買ってみた。 奈良には行ったことがあるが、吉野には行ったことがない。行ってみたい土地だ。谷崎の美しい文章で吉野の地が広がる。とはいえ行ったことのない土地は想像が付きづらいので、Googleマップやネットを駆...

白州正子の『かくれ里』に谷崎の『吉野葛』の話が出てきたので吉野葛目当てに買ってみた。 奈良には行ったことがあるが、吉野には行ったことがない。行ってみたい土地だ。谷崎の美しい文章で吉野の地が広がる。とはいえ行ったことのない土地は想像が付きづらいので、Googleマップやネットを駆使して実際の情景を見ながら読むのもまた一興。 『盲目物語』は浅井長政の奥さんであるお市の方に仕える座頭による語り。ひらがなが多くて正直読みづらいため、若干うっとなってしまうが、読み始めるとこれが滅法面白い。時は戦国時代。織田信長、浅井長政、豊臣秀吉、明智光秀など錚々たる面々が登場するが、座頭はただ1人お市の方の身を案じる。一昨年、麒麟がくるでちょうどこの時代をやっていたこともあり登場人物が大河メンバーで想像できてしまった笑 戦国時代は裏切りで出来ている。死を覚悟する浅井長政や柴田勝家が本当に切ない。 盲目物語を読んで、谷崎の書く歴史小説の面白さを知った。吉野葛では材料負けで書けなかったとあるが、南朝時代の自天王の話も読んでみたかったなあ。

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2021/05/10

『吉野葛』は随筆形式の旅行記。秋の澄んだ空気と光が差すみずみずしい果物と紅葉、吉野は実際に訪れた場所なので、美しい古典文体で思い出の情景に深みが増したのが良かった。歴史探訪から亡き母の面影を巡る話へと繋がる話。『盲目物語』はお市の方につかえた盲目の按摩師を語り部にした歴史小説。盲...

『吉野葛』は随筆形式の旅行記。秋の澄んだ空気と光が差すみずみずしい果物と紅葉、吉野は実際に訪れた場所なので、美しい古典文体で思い出の情景に深みが増したのが良かった。歴史探訪から亡き母の面影を巡る話へと繋がる話。『盲目物語』はお市の方につかえた盲目の按摩師を語り部にした歴史小説。盲目ゆえの五感でお市の方の心情を感じ取ることができ、それが細かな心理描写に見られる。壮絶な人生に感情移入してしまい、今とは時勢も倫理観も違うけど、自分の生き方死に方を考えてしまった。両作とも母親像が描かれており、めっちゃ谷崎って感じ。

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2020/09/27

まあふつうなら読まない本だけれど、谷崎をまとめ買いしていて、たまたま他に読む本もなく、手を出してみた。読める。平成14年に改版になっており、たぶんそのときに字を大きくしたのか、そのせいもあってか読みやすかった。吉野へは行ったことがない。奈良は明日香村より奥に入ったことがないのだけ...

まあふつうなら読まない本だけれど、谷崎をまとめ買いしていて、たまたま他に読む本もなく、手を出してみた。読める。平成14年に改版になっており、たぶんそのときに字を大きくしたのか、そのせいもあってか読みやすかった。吉野へは行ったことがない。奈良は明日香村より奥に入ったことがないのだけれど、なんとなく全編光景が目に浮かんだ。静御前の伝説はいろいろな地方にあるのだろうか。学生時代に中静という姓の友人がいたが、彼の郷里である越路町でもそういう伝説があったそうだ。盲目物語の方は、ひらがながやたら多く、漢字で書いたりひらがなで書いたりで統一性もなく(何か意味があるのか)読みにくいと言えば読みにくいが、なんとなく流し読みをしてしまった。こちらは、たまたま観ていた大河ドラマ「真田丸」をイメージしながら読み進めた。まあたいがい退屈しながら読んでいたが、終盤、三味線にメッセージを込めている話でぐんと印象が盛り上がった。絶対音感がないと無理だな。ところで、本日、竹内結子の訃報が入った。茶々を演じていたが、とても好印象だっただけに、残念でならない。

Posted byブクログ

2020/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

吉野葛・盲目物語 (和書)2010年02月14日 22:39 1951 新潮社 谷崎 潤一郎 思っていたより随分良作だった。 二作品ともとても良くオススメします。 吉野葛の取材日記というかなんと言ったら良いか分からないが不思議な感じに感動。 盲目物語の歴史小説もなかなか戦国の中での盲目である語り部の取り合わせが絶妙だと感じた。

Posted byブクログ