眠れる美女 の商品レビュー
理解しようとしても、今は無理だろう... 江口老人が、夜毎娘たちの元へ訪れる所業にである。彼は「生の交流、生の誘惑、生の回復」だと言う。恥も外聞もなく、その枕元に立つ事が死を目前にした者たちの死生観なのか...若い柔肌への関心は「生の執着」ではなかったか...
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年老いた男のロマンやフェチシズムを文学にすればこうも評価されるのか、と少し憤りはしたものの、三島由紀夫の解説での表現が的確過ぎて納得。 ー「眠れる美女」は、形式的完成日を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。 ー6人とも眠っていてものも言わない...
年老いた男のロマンやフェチシズムを文学にすればこうも評価されるのか、と少し憤りはしたものの、三島由紀夫の解説での表現が的確過ぎて納得。 ー「眠れる美女」は、形式的完成日を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。 ー6人とも眠っていてものも言わないのであるから、様々な寝言や寝癖のほかは、肉体描写しか残されていないわけである。その執拗綿密なネクロフィリー的肉体描写は、およそ言語による観念的淫蕩の極致と言ってよい。 ー作品全体が、いかにも息苦しいのは、性的幻想に常に嫌悪が織り込まれているためであり、また、生命の讃仰に常に生命の否定が入り混じっているためである。
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美しい気持ち悪さ メモ 忘れられない過去の女にみた「きれいさ」 小さい虹を見つける子だったから、どれだけ年月が過ぎても忘れられないって、そのきれいさに気づく江口老人自身も当時きれいだったんだろうな。
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読了。 ううんフェチ小説…!! これは性愛の悦びから肉体的な快感を取り除いたらのこるもの、というような。 緻密に美しい筆致で浮かび上がっていく少女たち。 そしてその中で五体満足で動き回る生き生きとした彼女たちの描写はほとんどないのである。 しかし川端康成の手によって、 それは...
読了。 ううんフェチ小説…!! これは性愛の悦びから肉体的な快感を取り除いたらのこるもの、というような。 緻密に美しい筆致で浮かび上がっていく少女たち。 そしてその中で五体満足で動き回る生き生きとした彼女たちの描写はほとんどないのである。 しかし川端康成の手によって、 それはなんとも生々しく、艶やかに、そして危なっかしくこちらへしなをつくる。
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私には合わなかった。 描写は本当に素晴らしいけど、内容がまるで人から「昨日見た夢」をずっと聞かされているようだった。 眠って起きない少女の横に添い寝をする老人の話。 ある女から腕を1本借りる話など。
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デカダンス文学という言葉と意味を初めて知った。こういった作品が好きだと思っており表現方法を知らずにいたが、知ることが出来て良かった。また、川端康成の文書表現においてひらがなを多用していたりカタカナの使い方が独特であった。他の作品を読んでいないのでこの小説だけのものなのか判断はつか...
デカダンス文学という言葉と意味を初めて知った。こういった作品が好きだと思っており表現方法を知らずにいたが、知ることが出来て良かった。また、川端康成の文書表現においてひらがなを多用していたりカタカナの使い方が独特であった。他の作品を読んでいないのでこの小説だけのものなのか判断はつかないが魅力的だとおもう。内容に関しても全てを明らかにせずミステリアスな世界観が現実的で読み入ってしまうものだった。
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天才とナントカは紙一重と言うけれど、脳みそのどこをどう押したらこんなストーリーを思いつくのかと驚愕しました。女性の描写は美しくただそれだけで読み応えがありますが、いかんせん私としては主人公の気持ちと同化することが出来ず。 『片腕』が3編の中で1番好きです。シュール感強めでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
眠れる美女と片腕、そして散りぬるを。 一読して感じたこと。いずれの作品にも共通すると思ったのが"眠り"と"生と性、そして死"だと思った。 表題作に関して。 深く深く眠っている女と、深紅の天鵞絨のカーテン。 それが女の肌に映った様子や、女たちの肉体とパーツの描写がとても細かく耽美的で美しくもあったが…最後の宿の女の一言に、背筋がピリッとなる思いだった。 ここで出てくる女たちは、老人たちの性の対象ではなく、観賞用オブジェみたいな感じで、ただただ眺めたり添い寝をすると言うものなんだけど、触れずに添い寝だけ眺めるだけと言うのが、堪らなく良い。 お恥ずかしながら、川端康成は他は雪国しか読んだことはないが、私はこちらの作品の方が好きだ。
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「眠れる美女」 川端康成(著) 1960〜61年 雑誌「新潮」掲載 1967 11/25第1刷 (株)新潮社 2019 6/5 第80刷 2020 2/4 読了 ノーベル文学賞作家 川端康成のデカダンス文学の傑作と言われる本書。 FMサンサンきらら8周年記念 「BIBLI...
「眠れる美女」 川端康成(著) 1960〜61年 雑誌「新潮」掲載 1967 11/25第1刷 (株)新潮社 2019 6/5 第80刷 2020 2/4 読了 ノーベル文学賞作家 川端康成のデカダンス文学の傑作と言われる本書。 FMサンサンきらら8周年記念 「BIBLIO RADIO サンきら読書部」特別編の 課題図書に本書が選ばれ 初めて手に取った「川端康成」でした。 恥ずかしながら^^; ぼく如きが評価することもはばかられながら 高級な貴腐ワインをいただくように ありがたい事この上ないんですが 1,500円(税別)のチリ産ワインの方が 美味しく感じるぼくには ちょっと口に合わないような^^; なんとも言われぬ…醸造臭の漂う作品でした。 また これでもか!と言わんばかりの 三島由紀夫の解説もくど過… あ、いや。 素晴らしかったです。 調子に乗って一緒に買った 「雪国」「伊豆の踊子」「古都」は とりあえずキレイに飾って 第162回直木賞受賞作品 「熱源」川越宗一(著)を読もう。
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「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」の短編集。短編集とは知らずに「眠れる美女」を読みたくて購入した。「眠れる美女」では川端康成の文章から、眠って決して起きない美女と寝る老人の2人の空間が少し気味悪く感じられるほど想像できた。「片腕」は、女の腕を自分に取り付けたりと、個人的に理解に...
「眠れる美女」「片腕」「散りぬるを」の短編集。短編集とは知らずに「眠れる美女」を読みたくて購入した。「眠れる美女」では川端康成の文章から、眠って決して起きない美女と寝る老人の2人の空間が少し気味悪く感じられるほど想像できた。「片腕」は、女の腕を自分に取り付けたりと、個人的に理解に苦しむシーンが多かった。最後の「散りぬるを」では、三郎の寂しさ故の悪戯が大事になってしまったのでは無いのか?と考える作者が、「居眠りしたとは、三郎のただ一つの嘘だ。」「でも、これもまた私が自分の虚栄のために…」と述べている所で、2つの視点から作者の心の複雑さが出ていて、その複雑さに共感できた。 「眠れる美女」が1番読みやすかった。 解説は三島由紀夫。
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