九マイルは遠すぎる の商品レビュー
20世紀アメリカの推理小説家ハリイ・ケメルマン(1908-1996)の短篇集。 白眉はやはり表題作。まず思いつきの言葉だけが脈絡もなく与えられて、そこから推論の力だけで或る物語を導出し、最後にそれが現実と結びつけられていく。所与の状況に依存したやや強引な推論が見られるのも確かだ...
20世紀アメリカの推理小説家ハリイ・ケメルマン(1908-1996)の短篇集。 白眉はやはり表題作。まず思いつきの言葉だけが脈絡もなく与えられて、そこから推論の力だけで或る物語を導出し、最後にそれが現実と結びつけられていく。所与の状況に依存したやや強引な推論が見られるのも確かだが、論理性以外の要素を極力排して純化された無条件的な知的遊戯のこの展開の仕方がなんとも心地よい。 「たとえば十語ないし十二語からなるひとつの文章を作ってみたまえ・・・そうしたら、きみがその文章を考えたときにはまったく思いもかけなかった一連の論理的な推論を引きだしてお目にかけよう」 「序文」に書かれた本作品誕生までの経緯も面白い。なお、有名な文句「九マイルは遠すぎる、雨の中ならなおさらだ」の原文は、次の十一語からなる。「A nine mile walk is no joke, especially in the rain.」 名のみ知っていたこの作品を手に取ろうと思ったきっかけは、2019年7月10日の朝日新聞朝刊に掲載された四コマ漫画『ののちゃん』。作者のいしいひさいち氏に感謝。
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安楽椅子探偵ものでよく引き合いに出される「九マイルは遠すぎる」今回初めてこの話が14年間も練られて完成したストーリーであることを知りました。推論を重ねてたどり着いた先に、出題者にも思いもかけないラストが待っているところなどはやりすぎと思えるほど見事です。この本はこの話で探偵役だっ...
安楽椅子探偵ものでよく引き合いに出される「九マイルは遠すぎる」今回初めてこの話が14年間も練られて完成したストーリーであることを知りました。推論を重ねてたどり着いた先に、出題者にも思いもかけないラストが待っているところなどはやりすぎと思えるほど見事です。この本はこの話で探偵役だったニッキィ・ウェルト教授の短編集ですが時代背景と異国ということから多少想像しにくい面はあるもののニッキィとわたしとの掛け合いも楽しく言葉遊びも含め翻訳はかなり読みやすいと思います。好みは「エンド・プレイ」「時計を二つ持つ男」。
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なんか急に翻訳もののレジェンドミステリが読みたくなりまして。有栖川有栖が著作で薦めていた本書を読んでみました。 作者実体験による「九マイル」から著作に落とし込んだって経緯がそもそも興味深いですね。内容は・・・若干無理矢理じゃないか?と思ったりもしたものの、一種の思考実験と思うとこ...
なんか急に翻訳もののレジェンドミステリが読みたくなりまして。有栖川有栖が著作で薦めていた本書を読んでみました。 作者実体験による「九マイル」から著作に落とし込んだって経緯がそもそも興味深いですね。内容は・・・若干無理矢理じゃないか?と思ったりもしたものの、一種の思考実験と思うとこれもまた面白い。そこから徹底した安楽椅子探偵のニッキィが大活躍。表題作を読みたくて選んだんですが、むしろそれ以外の方がだんだんと話がこなれてきているようでとても楽しめました。
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文句なしの星5つ。 タイトルだけは知ってたけど、今まで読んでなかったのが悔やまれるような、むしろもっととっておきたかったような素晴らしい短編集。 ミステリによけいなものはいらないとばかりに削ぎ落とされた文章なのに、どうしてこんなに魅力的な人物を描けるのだろう。表題作でニッキィが大...
文句なしの星5つ。 タイトルだけは知ってたけど、今まで読んでなかったのが悔やまれるような、むしろもっととっておきたかったような素晴らしい短編集。 ミステリによけいなものはいらないとばかりに削ぎ落とされた文章なのに、どうしてこんなに魅力的な人物を描けるのだろう。表題作でニッキィが大好きになり、この本におさめられている物語以外にはニッキィはいないと知り、大事に大事に一話ずつ読んだ。 ほんと好き…
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
書店の棚で見つけ、背表紙のあらすじを読んで、面白そうなので買った。 ミステリの短編集である。 面白いのだが、やはり短いものばかりなので、物足りない。 「金曜日ラビは寝坊した」はおそらく品切れか絶版だろう。
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本のタイトルにもなってる「九マイルは遠すぎる」が特に面白かった。 ただ、あらすじにかなり重要なネタバレが書いてあるから、これから読む人は気をつけて欲しい。
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ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」読了。ニッキィ教授が活躍する推理小説の短篇集。1話目が秀逸。何気に思い浮かんだ文章”九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ”から引き出される論理的な推論がまさかの展開にとても驚いた。
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よく聞くタイトルだったので読んでみなくてはと思っていました。安楽椅子探偵ものですね。面白かったです。読めて良かった(^^)
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父が貸してくれた本。 読んだらめっちゃ好きなやつでした。主人公のニッキィと語り手である「わたし」のやり取りに、最初はイギリス人かと思いましたがアメリカが舞台でした。ウィットに富んだ登場人物の会話、少ない手がかりから導き出される意外な答え。オチの付け方もオシャレ。お父さん素敵な本を...
父が貸してくれた本。 読んだらめっちゃ好きなやつでした。主人公のニッキィと語り手である「わたし」のやり取りに、最初はイギリス人かと思いましたがアメリカが舞台でした。ウィットに富んだ登場人物の会話、少ない手がかりから導き出される意外な答え。オチの付け方もオシャレ。お父さん素敵な本をありがとう!
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「9マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となると尚更だ」という何気ない一文から推論の末、殺人事件の真相を暴き出す、という裏表紙のあらすじに惹かれて手に取った短編集。 表題作を含めどの話も、常にちょっと上から目線のニッキイ・ウェルト教授がその場にいないにも関わらず、ほん...
「9マイルもの道を歩くのは容易じゃない、まして雨の中となると尚更だ」という何気ない一文から推論の末、殺人事件の真相を暴き出す、という裏表紙のあらすじに惹かれて手に取った短編集。 表題作を含めどの話も、常にちょっと上から目線のニッキイ・ウェルト教授がその場にいないにも関わらず、ほんの些細な手掛かりで表面上分からない犯行(ほとんど殺人)を解き明かすという“安楽椅子探偵”の作りで構成されています。 狭い世界で登場人物も少ない中なので犯人はすぐ分かりますし、トリックも難しいものではなく、ハラハラドキドキはありません。 ニッキイ・ウェルト教授のキャラクターを楽しめるかどうかで好き嫌いが分かれそうな。 個人的には裏表紙のあらすじに勝手に騙されたなぁという気がしました。
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