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にっぽん怪盗伝 66版 の商品レビュー

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2022/10/06

なんとも面白い作品集だった。 「江戸怪盗記」 役者の子、葵小僧市之助。 周囲から煽てられた子役時代から一転、自分の鼻の低さゆえに芸の道に挫折。 転落人生の末、強盗団の首領、天野大蔵に拾われ盗賊となり大蔵の跡を継ぐ。 鼻の低さを理由に女性から見限られた過去から女に恨みを抱き盗みの...

なんとも面白い作品集だった。 「江戸怪盗記」 役者の子、葵小僧市之助。 周囲から煽てられた子役時代から一転、自分の鼻の低さゆえに芸の道に挫折。 転落人生の末、強盗団の首領、天野大蔵に拾われ盗賊となり大蔵の跡を継ぐ。 鼻の低さを理由に女性から見限られた過去から女に恨みを抱き盗みの現場で女を犯す事を繰り返す。 ついに火盗改めの長谷川平蔵に捉えられる。そして女性に対する恨みをはらすため自分が盗みの現場で女性を犯したことを名をあげて自白し、その事が公になって女性が不幸な秘密を白日の元に晒されることを目論んだが平蔵の一存で自白の記録はおもてに出さず葵小僧は首を刎ねられる。 「白浪看板」 盗賊・夜兎の各右衛門、金に困るものからは盗まず、殺傷せず、女を犯さずの三か条を頑なに守り盗賊の看板としたが手下がこの禁を破ったために自分が火盗改めの長谷川平蔵に自首をした。 しかし平蔵にその三か条を守ることで盗賊の美学を守ったと考える事の愚かさを教えられる。 後に火盗改めのために働いたため、昔の仲間から恨みをうけて殺害される。 同じ年に長谷川平蔵も病死する。 *白浪とは盗賊の別称。語源は中国、黄巾族。 「四度目の女房」 美人で気のきく女房。夫に情熱を持ち、何から何まで申し分のない女房。 亭主はそんな女房が重荷になる。 なんとも贅沢。 突然姿を消した亭主を忘れることをせず あくまでも亭主と決めた男のため自分の身体を売っても金を貯める、またそれを言い訳にして女盛りの体の火照りを冷やす。 「市松小僧始末」 掏摸の市松小僧こと又吉は木綿問屋のひとり娘おもよに惚れられ一緒に。 おもよは美形であるが巨漢なうえ、剣の腕前がかなりのものということで男ができない。 実家の財産目当ての男は出てきても気が乗らず、亭主をもらうことなど諦めていた。 そんなおもよが又吉と良い仲になり親の猛反対も受け付けず夫婦となって仲良く暮らす。 しかし又吉は掏摸から足を洗う約束を破り死罪が決定的になるが、おもよは又吉の右手の指を薪割りで切り落とし同心の永井与五郎に目をつぶってくれと懇願し叶う。 「喧嘩あんま」 又吉とおもよ夫婦 「ねずみの糞」 13歳の妹を蹂躙したうえ無礼打ちにした永山吉十郎を打ち果たす為に剣術に励んだおふくは敵討ちの旅をするが果たせず金のために身体を売るようになる。 「熊五郎の顔」 火盗改めの手先を務めていた亭主を殺した男、洲走の熊五郎と知らずに身体を許してしまった女房。 女と亭主の敵討ちの狭間で苦悶するが火盗改めに男の所在を告げる。 しかし身体を許したその男は熊五郎の双子の男であった。 「鬼坊主の女」 大盗賊として死ぬ間際まで見栄を張る。 磔にされる時に辞世の句を読んで度肝を抜くのだと信頼していた手下と妾を頼りに有金600両を託して辞世の句を作らせる。 なんとも豪気なやり方と思うが、 盗みの罪は兎も角それまでの行いや人間性のゆえか信頼していた二人には欺かれる。 辞世の句はできて死の間際に間に合ったのだから本人としては文句無いだろうが、600両を猫ババされたのはいただけない。 「金太郎蕎麦」 不幸な生い立ちの上に男に騙され捨てられたお竹。 しかし女は強い。 自分一人で生きていくために春をもひさぎ蓄財に励む。 そこへ身体の客である盗賊から思いもよらぬ20両を渡された。 願いであった蕎麦屋を持ち、流行らぬ店を自分の肌に金太郎の刺青を入れて肌ぬぎで出前する事で客を寄せ大成功する。 なんとも天晴れだ! 「正月四日の客」 自分の両親を思って年に一度正月四日にだけ出す客が頼む事のない「さなだそば」。 ただ一人この蕎麦を注文する男が自分の両親を殺害し母を凌辱した盗賊だという事を店の亭主は知ることとなった。 「おしろい猫」 大店「岩戸屋」の入り婿平吉は幼馴染の娘お長とバッタリ出会い、懐かしさと同情から二人は男女の仲に。 けれど女性は恐ろしいなあ。 子供ができた、店の大旦那にも嫁にも認めさせてくれと迫る。 困り果て、これも幼馴染の栄次郎、実はお手玉小僧と呼ばれる掏摸、に相談を持ちかけるのだが。 幼馴染でも親友と思う相手でもいざ金が絡むとなかなか一筋縄ではいかなくなるという寂しさが残る。 「さざ浪伝兵衛」 因果応報とはこの事か。 初めて殺めた男の亡霊に取り憑かれて御用の縄にかかったさざ浪伝兵衛。 実は亡霊ではなく初めて殺めた男の瓜二つの息子だった。

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2013/04/23

江戸の闇に生きる哀しい怪盗を描いた12編。「江戸怪盗記」「白浪看板」には鬼平・長谷川平蔵が初めて登場。 私のおすすめは「江戸怪盗記」、「金太郎蕎麦」、「正月四日の客」かな?

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2010/12/02

江戸時代の泥棒にまつわる短編集。 怪盗といっても義賊の話ばかりではなく、非道な悪党の話もあり。 お互いに関連してる話もいくつかありました。 火盗改の長谷川平蔵が出てくる話もあって、鬼平の原型とも言えそう。 中盤以降のマンネリ化した鬼平とくらべると、断然面白かったな。 初期の鬼平...

江戸時代の泥棒にまつわる短編集。 怪盗といっても義賊の話ばかりではなく、非道な悪党の話もあり。 お互いに関連してる話もいくつかありました。 火盗改の長谷川平蔵が出てくる話もあって、鬼平の原型とも言えそう。 中盤以降のマンネリ化した鬼平とくらべると、断然面白かったな。 初期の鬼平好きにはお薦めです!

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2009/10/04

 12の短篇が収められているが、そのどれもが面白い。一つ読むと次へ、次を読むとさらにその次へと、止まらなくなってしまう。しかし、終わりに近づくと読み終わるのがもったいないと思わせる。まさに傑作短篇集だと思った。  植草甚一の解説も味があって良い。

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2009/10/04

絵がないが、池波正太郎作品なので仕方ない、硬派と思って忍ぶ。 葵小僧だとか鬼坊主だとか、痺れるような悪党の盛りだくさんな話。

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2009/10/04

久々に池波作品を読みたくなって手に取った1冊。江戸時代のさまざまな怪盗たちと火付け盗賊改たちとの攻防や人間模様が楽しい短編集。

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