人生は、だまし だまし の商品レビュー
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「恋愛小説もいいんだろうけどまた今度。。。」と後回し後回しにしていた作家。 小説じゃなくてエッセイなら読めるかもとタイトルだけで借りてきた。(ジャケ買いCD的な 著者が70代の頃のエッセイ集。無駄話のように進むのに無駄がない。誰でも書けそう誰もが経験してそう誰でも言えそうどこかで聞いた台詞のよう、それでいて読んで新たに言葉を得たような気になる。すっきりとまとまりのあるダラダラ話。 回想あり会話形式あり。1話め1ページで「ラ・ロフシュコー箴言集に親昵してんですよねー」と始まり、いたるところに名文句が散りばめられてあるがさらにその上に和歌や川柳のように前後の余裕を持たせてアフォリズム(箴言)が差し込んである。紙の本だから当然無音なんだけどその書かれ方は講談師がババンと机叩くやつ(あれなんて名前なんですかね)を伴って紹介されるよう。音は優しいけどね。 どの箴言も「いやほんとその通りです」って感じなんだけど、2024年5月27日現在の私にとって「んむむむむ」と笑い唸りしてしまうのはこのあたり。 「下品な人が下品な服装行動をする、これは正しい選択であって下品でない。但し身にそぐわない上品なものをつけるのは下品。上品な人がその上品さを知っていれば下品。下品な人が自身の下品さに気づいていれば上品。」(上品・下品) 「スピーチ・講演・恋の告白、上手すぎるのはイモ」 (ほんものの恋) 「目立つな」(人間のプロ) そして最後の最後「ま、人生はだましだまし保ってゆくもの。ゴチャゴチャしてるうちに、持ち時間、終わるわよ」で閉じる。 ですよね。 彼女は小倉百人一首や源氏物語を現代語訳してるんですね。これから読んでみます。
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感想 自分を、他人を。騙し続ける。何も持っていないと嘆く前に。自分には何もないと開き直ってみる。楽しい人生はそこから始まる。
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年前くらいに読んだ時はよく分からなかった文章が今はすごく共感できるものに変わっていて、自分も少し成長したのかしらと思う。 あと、関西弁って読むとあったかい感じがして良い。
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田辺聖子のエッセイ集。独特の、大阪のおばちゃんのアフォリズム、名言集である。 苦労は忘れてしまえば苦労でなくなる。 達観、というのは、心中、まあ、こんなトコやな、とつぶやくことである。 人生を楽に、楽しく生きていく知恵が詰まっている。それにしても、大阪弁とは、なんとも味わい深いも...
田辺聖子のエッセイ集。独特の、大阪のおばちゃんのアフォリズム、名言集である。 苦労は忘れてしまえば苦労でなくなる。 達観、というのは、心中、まあ、こんなトコやな、とつぶやくことである。 人生を楽に、楽しく生きていく知恵が詰まっている。それにしても、大阪弁とは、なんとも味わい深いものであろうか。
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人間も金属疲労が出てからがホンモノ。金属疲労は劣化の結果だが、先が読めるという利点ももたらす。見逃す、聞き流す、知らぬふりという新手の生きかたの発見。(阿呆ではできない。w)田辺聖子(1928.3.27~2019.6.6、享年91)「人生は、だましだまし」、2003.3刊行、2005.3文庫。
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なかなかいい。ほどほどにいい 人生の指南書にしてみっか。 「多くの事を中途半端に知っているより、何も知らないほうがいい」サルトル
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タイトルに魅かれて手に取りました。 タイトルからイメージした内容とは違いましたが、なるほど、そうだなと思ういい言葉がたくさんありました。 知らない単語がいっぱいあって、その都度、辞書を引きました。勉強になりました。
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わかるところもあるが、親より上の世代の作者さんは時代が違いすぎて合わない そういう考えがあるのだなと 思うだけだった
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おせいさんの随筆を読んだのは初めてでした。ナアナアな中年、イチブン氏と理想高きOL、フィフティちゃん、おせいさん、ときどきカモカのおっちゃんを混じえて語られる「いい塩梅」の大人の随筆集。おせいさんの著作は小説もそうですが、カドがなくて心がまあるくなる感じ。合間合間に挟まれるアフォ...
おせいさんの随筆を読んだのは初めてでした。ナアナアな中年、イチブン氏と理想高きOL、フィフティちゃん、おせいさん、ときどきカモカのおっちゃんを混じえて語られる「いい塩梅」の大人の随筆集。おせいさんの著作は小説もそうですが、カドがなくて心がまあるくなる感じ。合間合間に挟まれるアフォリズムが印象的でした。そっかー「可愛げのある男」に尽くしてる間にアッという間に人生は幕を下ろしてしまうから野心のある女性は気をつけないといけないのね。結婚ってなかなかふしぎなもんです。おせいさんのほかの随筆も読むつもりです。
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読売新聞の広告で「この国は、本を読まない大人が増えた。だから子供みたいな国になってしまった」という内容を語ったのは、田辺聖子である。 本書は、エッセイ仕立てだが、飲み仲間の「フィフティちゃん」と「イチブン氏」との会話を通じ、人間の生態、特に男女のあれこれを通じて、著者がアフォリ...
読売新聞の広告で「この国は、本を読まない大人が増えた。だから子供みたいな国になってしまった」という内容を語ったのは、田辺聖子である。 本書は、エッセイ仕立てだが、飲み仲間の「フィフティちゃん」と「イチブン氏」との会話を通じ、人間の生態、特に男女のあれこれを通じて、著者がアフォリズムを導き出す示唆に富んだ1冊である。 私は田辺聖子をあまり読んだことがないため感じるのかもしれないが、 とにもかくにも、難しい熟語が夥しい数登場する。 辞書を引かずにこの本を読み通せる人は、相当博識な人だと思う。 先日作詞家の松本隆が出演したテレビ番組でこんなことを言っていた。 「作詞家を志す若い人がやっておくべきことは何かありますか」 「本を読んで語彙を増やすことです」と発言。 言葉を知らないと表現などできないという。 至極当たり前のことだが、意外と見過ごされがちな事実ではないだろうか。 絵の具の種類が多いほうが、より色彩豊かな絵画を創造することができるのと同じで、ボキャブラリーが多いほうが、人生の機微に気づき豊かな表現が可能になるだろう。 細かなこぼれ話ではあるが、辞書を引く楽しみも紹介されている。 目的の言葉だけではなく、周辺の言葉の意味も知ることもできると。 言語化できることは、物事を相対化して認識できるということ。 つまり、様々なことを客観視できるということだといえる。 とかく窮屈で他人に不寛容になってしまうことも多い世の中。 大先輩の言うことにじっくりと耳を傾けながら、語彙を増やしていくと一味違う人生が待っているかもしれない。
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