ケンブリッジの卵 の商品レビュー
内容を完全に理解するには専門的な知識がある程度必要だが、それが分からずとも大きな謎に立ち向かう科学者の奮闘記として楽しめた 合間に提示されている素朴な疑問の例などは、文系物理を教える教授ならではの題材だと思えるものが多く、普段口にしないまでも不思議に思うことに物理は深く関わってい...
内容を完全に理解するには専門的な知識がある程度必要だが、それが分からずとも大きな謎に立ち向かう科学者の奮闘記として楽しめた 合間に提示されている素朴な疑問の例などは、文系物理を教える教授ならではの題材だと思えるものが多く、普段口にしないまでも不思議に思うことに物理は深く関わっているのだということを改めて強く認識した 卵が立ち上がる研究については慶應義塾大学の公式You Tubeチャンネルにおいて著者の公演の様子が配信されているため、そちらも一見の価値がある 数学的知識を蓄えた上で、本書を再度読んでみたいと思う
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研究とはこういう風に進めるのか、というのがわかる、しかも英国の余裕を持ったやり方で、興味の赴くままに。 とても爽やかな読後感。 特に英国の教育のあり方は大きくうなづく内容であった。 積み上げ型のトレーニングも重要だが、ずっと後になって幸福になる教育が英国にはあるように思える。
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序盤は正直、興味の無い自伝的記述が続き、いかにも学者の硬い文章と相まって読むのがつらい。 テーマとなる卵の回転の研究になってからは文章もこなれてくる。それでも、日本の学者の悪い癖「わかったことを書くので勉強して理解しなさい」という姿勢が続き、「何とかして人に理解してもらえるように...
序盤は正直、興味の無い自伝的記述が続き、いかにも学者の硬い文章と相まって読むのがつらい。 テーマとなる卵の回転の研究になってからは文章もこなれてくる。それでも、日本の学者の悪い癖「わかったことを書くので勉強して理解しなさい」という姿勢が続き、「何とかして人に理解してもらえるように工夫して伝える」努力の見られない文章が続く。解説も数式も無い専門用語の羅列は「何かわからないけど凄い」という、権威にとって誠に都合の良い反応しか生み出さない。 全編通じて、面白いテーマがドラマチックに展開しているので、このような日記プラス報告書のような形でしか残らないのはもったいないように思う。
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ゆで卵をテーブルで毎秒30回転程度の速さ回転させると、しばらくして卵は立ち上がってくる。しかも0.1mm程度ではあるが時々ジャンプするんだとか。これは昔から知られた現象(!)らしいのだが、その理由を流体力学の観点から明らかにしたものがNature 416,385-386、2002...
ゆで卵をテーブルで毎秒30回転程度の速さ回転させると、しばらくして卵は立ち上がってくる。しかも0.1mm程度ではあるが時々ジャンプするんだとか。これは昔から知られた現象(!)らしいのだが、その理由を流体力学の観点から明らかにしたものがNature 416,385-386、2002の記事。著者はサバティカルでケンブリッジにいる間に、共同研究者としてこの研究に関わっており、英国留学記と卵の謎の研究過程が一章毎に語られる。卵の謎についてはそもそもモーメントとか剛体とか、私の時代の高校物理にはなかった基礎知識が必要とされる上、「動径の球面調和関数による展開」みたいな記載も多くさっぱり理解できないが、「自動卵回転機」を開発したり、こういう狭い領域の特殊な課題を二年も研究できる環境というのはうらやましくもある。
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★爽やかだがもうひとつ欲しい★慶応大の物理の先生が英ケンブリッジに留学し、ゆで卵を回すとなぜ立ち上がるのかを解明するまでの留学記であり研究記。題材は身近だしケンブリッジでの研究室や暮らしなど下世話な話も多くて読みやすく、科学読み物として清々しいのだが、何かもうひとつひねりというか...
★爽やかだがもうひとつ欲しい★慶応大の物理の先生が英ケンブリッジに留学し、ゆで卵を回すとなぜ立ち上がるのかを解明するまでの留学記であり研究記。題材は身近だしケンブリッジでの研究室や暮らしなど下世話な話も多くて読みやすく、科学読み物として清々しいのだが、何かもうひとつひねりというかコクが欲しい。それがなんだかよく分からないので編集者にはなれそうもないが。
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回転楕円体が立ち上がる際にその重心が重力に反して上昇する理由は、物理の世界では長年の謎とされていました。しかし、長年の研究の結果、ついにその謎が解明されたのです!この本には、著者である下村裕が共同研究者のキース・モファットと過ごしたケンブリッジ大学での日々や、慶應義塾大学の同僚と...
回転楕円体が立ち上がる際にその重心が重力に反して上昇する理由は、物理の世界では長年の謎とされていました。しかし、長年の研究の結果、ついにその謎が解明されたのです!この本には、著者である下村裕が共同研究者のキース・モファットと過ごしたケンブリッジ大学での日々や、慶應義塾大学の同僚と取り組んだ実証実験の内容などが生き生きと記されています。実際に下村先生の講義を受けたこともあるのですが、知らないことを解明していくことの楽しさや喜び、また仲間と協力することの大切さを深く感じることが出来ました。合言葉は、「諸君よ、懐疑的であれ」!
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