蝶の小径 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
雨の翌日、ふと側溝に目をやると、一匹のチョウがいた。モンシロチョウ。雨水の流れの中に叩き落され流れて来たのか。仰向けになり左右の翅は土にぴったり貼りついていた。かわいそうに。著者は、何気なく翅から砂をはがしてみた。当然干からびて死んでいると思っていたチョウがピクリと動いた。私は、掌にのせて空高く投げ上げてやった。三木卓(2023.11.18没、88歳)「蝶の小径」、2007.7発行、エッセイ集。蝶に対する観察の眼がとても優しいです!
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高々度を素晴らしい速さで飛翔し、獰猛なあごをもつ残忍な雰囲気さえ漂わせるギンヤンマの意外な脆さ。羽根越しに見える空。 寝床の中で夢想するシンジュサンの飛翔。 からみあいながら羽ばたき、上昇し、やがて空に消えるアオスジアゲハ。 春、都心にある小さな庭にあふれる生き物たちのざわめき。...
高々度を素晴らしい速さで飛翔し、獰猛なあごをもつ残忍な雰囲気さえ漂わせるギンヤンマの意外な脆さ。羽根越しに見える空。 寝床の中で夢想するシンジュサンの飛翔。 からみあいながら羽ばたき、上昇し、やがて空に消えるアオスジアゲハ。 春、都心にある小さな庭にあふれる生き物たちのざわめき。 夏、熱気渦巻く地表に空を求めて立つ木や草のたたかい。 地球の上にある物質と太陽の光。それだけのものを使って作られる昆虫と植物。そして多様になる。 他の生き物にとっての価値。自らが必要とする価値。誰かつくるための価値。その組み合わせが、春を迎え、進行していくと自然的現実のなかに人間には見えない構成物としてそそり立つ。そして、秋になると崩れる……。 過去の作品の中から、蝶・蛾にまつわる31篇を抜き出し構成したエッセイ集。
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