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システム生物学がわかる! の商品レビュー

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2009/10/04

いわゆる「システム生物学」の解説書というよりは、著者らのグループが開発した生物回路のシミュレーション・ソフトウェアである「セル・イラストレータ」の入門者向け解説(宣伝?)を、非常に分かりやすく記した本と考えたほうがよいだろう。 わかりやすい本とは言っても、基礎の基礎から、か...

いわゆる「システム生物学」の解説書というよりは、著者らのグループが開発した生物回路のシミュレーション・ソフトウェアである「セル・イラストレータ」の入門者向け解説(宣伝?)を、非常に分かりやすく記した本と考えたほうがよいだろう。 わかりやすい本とは言っても、基礎の基礎から、かなり高度で複雑なシミュレーションモデルの構築やソフトの応用例までと、わりと幅広い内容を含んでいる。したがって、様々な領域の生物学研究者(細胞生理、分子生物、転写調節、さらには進化・多様性に興味をもつ人まで)の興味を惹く可能性があるだろう。そして実際の研究現場で、このセルイラストレータが、データ解析&解釈、仮説の生成や検討に役立つシチュエーションが、あるかもしれない。 実際に筆者自身も、この本によってセルイラストレータの存在を知り、自分の研究(分子進化学)で活用して、システムズバイオロジー関連の国際誌に論文を掲載することができた(Feb 2009)。その研究では、複数のタンパク質&小分子間の相互作用のシミュレーション解析に基づいて、生物種間の違いや進化プロセスを考えるという、今までなかなか手が出し辛かったようなテーマに挑むことができた。つまり、セルイラストレータなどのパスウェイシミュレーターが、人間の思考支援ツールとして大変に有用であることを、身を持って知った次第である。 「システム生物学」そのものについては、同著者グループが出している訳本「 システム生物学入門 -生物回路の設計原理-.Uri Alon (著), 倉田 博之 (翻訳), 宮野 悟 (翻訳),共立出版,2008/10/23」も参考になるだろう。

Posted byブクログ