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地獄の使徒(上) の商品レビュー

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2017/05/11

猟奇的な殺人をテーマにした小説は、読者の感じる恐怖を臨場感に置き換えることから意外とプロットや緻密さよりも心理的なインパクトに重点を置いて書かれる傾向があるように思え、個人的には物足りなく感じることが多いが、グレン・ミードはやはり名うてのストーリーテラーであり本作でもこの偏見を見...

猟奇的な殺人をテーマにした小説は、読者の感じる恐怖を臨場感に置き換えることから意外とプロットや緻密さよりも心理的なインパクトに重点を置いて書かれる傾向があるように思え、個人的には物足りなく感じることが多いが、グレン・ミードはやはり名うてのストーリーテラーであり本作でもこの偏見を見事に裏切ってくれた。 本作の始まりは、主人公であるFBI女性捜査官モランが長年追い続けてきた猟奇犯罪犯人ガマルの死刑執行に立ち会う場面から始まる。それは捜査官と犯人という関係の他に自分のフィアンセと彼の連れ子を残虐に殺された被害者という二つの立場で彼の死をもって終止符を打ちたいという彼女の思いからである。そして、刑の執行が行われいよいよ次の章の人生を歩もうとした矢先にガマルが犯した犯罪と同じ犯罪が発生する。 果たして、死の淵からガマルは蘇ることが出来たのか、それとも模倣犯なのか。大いなる疑問符から物語は動きだす。

Posted byブクログ