芥川龍之介短篇集 の商品レビュー
芥川龍之介を腰を据えて読みたい、という人はこの本を買うべき。読むべき短編は全て収められているように思う。 それは、村上春樹の序文の素晴らしさでも分かる。これほどきちんと芥川について語られた、紹介された文章はなかなかないのではないだろうか。谷崎潤一郎についてもどこかで書いて欲しい...
芥川龍之介を腰を据えて読みたい、という人はこの本を買うべき。読むべき短編は全て収められているように思う。 それは、村上春樹の序文の素晴らしさでも分かる。これほどきちんと芥川について語られた、紹介された文章はなかなかないのではないだろうか。谷崎潤一郎についてもどこかで書いて欲しいものだ。 『地獄変』は恐ろしい小説で、実は読んだのは数年前なのだが、その凄まじさに驚いた。 一番好きな話は『竜』、そして最後の作品である『歯車』は好きとはとても言えないが、あまりにも生々しく、正確に亡くなる前の闇(狂気と書こうとしたがやめた)が描かれていると思う。 そうだ、装丁もすごく良い。僕は部屋に飾っている。
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おぎんの「いんへるの」という表現、面白ぅ。本自体にも工夫があり、芥川龍之介の短編作品を芥川龍之介自身が描いた時間軸に沿って並べていて、極めて独特な構成となっている。
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芥川龍之介の作品に苦手意識がある(好きなのは河童と歯車)。この本もやはり、特に初期作品が読み進めづらかった。それでも、まだ他の作品を読んでみたいし、過去に読んだものも読み直したい。芥川を知りたい。
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「現代のキリスト」を書こうとして毎回失敗するというお約束が 村上春樹の味だと僕は思っています 芥川龍之介は逆に、「日本の迷える子羊」ばかり書いてきた小説家なのだけど それがいつのまにか彼自身、気付いたら教祖的立場に祭り上げられていた …というのはおそらく 菊地寛が「文藝春秋」を...
「現代のキリスト」を書こうとして毎回失敗するというお約束が 村上春樹の味だと僕は思っています 芥川龍之介は逆に、「日本の迷える子羊」ばかり書いてきた小説家なのだけど それがいつのまにか彼自身、気付いたら教祖的立場に祭り上げられていた …というのはおそらく 菊地寛が「文藝春秋」を創刊したのに深く関わりあることで べつに芥川だけの問題ではなく 当時の流行作家はみんなそういうものだったはずなのだけど 彼の繊細な神経だけが、それに耐えられなかったのだ あるいは、自らの「文章」が人殺しを肯定する道具に使われてしまう そんな未来を「ぼんやりした不安」のように幻視していたのかもしれない
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- ネタバレ
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結構、本を読んでいたつもりだったけど、村上春樹の文学観に追いつくためには、まだしばらくかかりそうだ。しかし単なる序文なのに、いちいち上手いな。ほんと吸盤付の文章。
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シニカルに人間の俗物的なエゴを純粋に綴った作風は、なるほどこの生い立ちからなのかと。 現代では有り得ない時代背景を描いているのに、人物の心情にこんなにもリアリティを感じる。人間というのは、いつまでたっても成長しないし変わらない。そう思わされました。
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まるでビスケットの詰め合わせの缶を開けた時のように芥川龍之介の珠玉の小品が、四つのカテゴリーごとに読みやすくちりばめられている。 その作品はどれも、ほろ苦く痛々しさを伴って 胸に迫ってくる。 この短編集はワシントン生まれの英訳者、ジェイ・ルービン氏が編み、村上春樹氏が丁寧な序...
まるでビスケットの詰め合わせの缶を開けた時のように芥川龍之介の珠玉の小品が、四つのカテゴリーごとに読みやすくちりばめられている。 その作品はどれも、ほろ苦く痛々しさを伴って 胸に迫ってくる。 この短編集はワシントン生まれの英訳者、ジェイ・ルービン氏が編み、村上春樹氏が丁寧な序文を載せているという点で、実に画期的であり、 読者を喜ばせる作りになっている。 日本の文豪として確実にその名を知らしめた芥川龍之介。でも、私たちがその作品を目にするのは国語の教科書の教材としてである。日本人なのにあまりにも芥川を知らないことが恥ずかしい。 作家として活躍したのはわずか12年。自分で命を絶つその日に向かって、ひた走るような作品群である。好き・嫌いの次元ではなく、人生の折々に「あぁこのことだったのだ」と 気付くようなテーマを持っている。 大学2年の時に発表された『羅生門』の熟達した文体。発狂の恐怖に苦しみながら書かれた後期の作品の中のノスタルジックな背景。後に続く多くの作家たちに影響を与えたことが読み取れる。
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芥川龍之介、入門するならこの本から!! 「葱」が一風変わっていて面白い。「地獄変」には圧倒されます。
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