シンセミア(3) の商品レビュー
深い・・・
舞台は「神町」。とある田舎の小さな街である。そこを牛耳っている一族を中心に、数十人の人物が交差する。何気ない日常に潜む癒着と確執と歪み。読後感が良い、とは言いがたい物語だが、惹き付けられる。深い。
abtm
台風による水害という、自然災害まで絡んできた第3巻。それが上手い流れで殺人事件とも繋がってきて、街に流れる不穏な空気の真相が、少しずつ垣間見えてきた感じ。不倫やら売春やらのドロドロ人間関係も、幸せな結末はあまりないんだろうけど、行きつく先が定まってきているようでもあり、色んな流れ...
台風による水害という、自然災害まで絡んできた第3巻。それが上手い流れで殺人事件とも繋がってきて、街に流れる不穏な空気の真相が、少しずつ垣間見えてきた感じ。不倫やら売春やらのドロドロ人間関係も、幸せな結末はあまりないんだろうけど、行きつく先が定まってきているようでもあり、色んな流れがとりあえずの収束に向かってきた感はあり。次の最終巻、どんな大団円を迎えるんでしょうか。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【本の内容】 <1> 20世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか? 『ニッポニアニッポン』や『グランド・フィナーレ』につらなる“神町クロニクル”の壮大な幕が開く。 伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した本作は、デビュー10年にして到達した著者最高の傑作長篇である。 文庫オリジナルの神町地図と年表を収録。 <2> 神の町に“神”は存在しないのか。 自殺、事故死、行方不明と事件が相次ぎ、放火や地震が住民たちに追い打ちをかける。 町に流れる不気味な噂、ひそかに張り巡らされる監視網、そして訪れる審判の時とは? 伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した傑作長篇第2弾。 <3> 大型で強い台風8号が神町を直撃した。 大雨、土砂崩れ、道路冠水、さらに床上浸水へと進み、町の商店街は水没する。 未會有の洪水のさなかに発覚した忌まわしい事件の真相とは? そして荒廃する人の心はいったいどこに向かうのか? 待望の文庫化第3弾! 文庫オリジナルの人物相関図と年表と収録。 <4> 不穏な事件が相次ぎ、未會有の災害にも見舞われて、神町の夏は悪夢のうちに過ぎようとしていた。 暴かれる秘密の関係、呼び戻される恐るべき過去…いったい誰が神の怒りに触れたのか?“神町クロニクル”は大団円に向け疾走する。 著者最高の傑作長篇、ついに全4巻完結。 [ 目次 ] <1> <2> <3> <4> [ POP ] 劇的に滅びるのではなく、誰も気付かないところで少しずつ壊れていく町が描かれる。 俯瞰的な描写はほとんどないので、読者はさまざまな登場人物たちの目を通して滅び行く町の光景を目にすることになる。 ビデオ撮影サークル(実態は盗撮サークル)のメンバーたち、ロリコン趣味の警察官、夫を愛さずに結婚した妻……。 彼らは自らの欲求に従って行動しているだけなのだが、町に組み込まれたどうしようもない歪みに知らず知らずのうちに影響されているようにも見える。 そして、大きな事件が起きる。もはや何が狂っているのかもわからないまま、人々は目の前のことを懸命に片付けようとする。 おかしいと気付いても何もできない無力感。 暗い部分から目を背け、うしろめたい趣味に夢中になる人々。 どこか他人事のように起きる数々の事件。 このやるせなさ、絶望感が精緻な描写を通して伝わってくるように思った。 私たちが今生きているこの国も、いつかこのような滅びを迎えるのだろうか。 [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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阿部氏再読第7弾。 広げた風呂敷を畳みながらも、違うところに広げていくみたいな、不思議な展開。 ひたすら混迷するストーリーに、どうなっていくんだろうとハラハラ。 (再読なので、結末知っているんだけど・・・) ただ、エピソードが多すぎるあまり、一つ一つが断片化してしまっているよ...
阿部氏再読第7弾。 広げた風呂敷を畳みながらも、違うところに広げていくみたいな、不思議な展開。 ひたすら混迷するストーリーに、どうなっていくんだろうとハラハラ。 (再読なので、結末知っているんだけど・・・) ただ、エピソードが多すぎるあまり、一つ一つが断片化してしまっているようで、なんというか、文中の展開と時間を共有したような気分になれない。 あらすじを追っているだけ、という気分になるというか・・・。 そういう寄せ付けない感じが、またいいのですが。
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神町のむごい過去が語られる第3巻。 夢に出てくるのではないかと心配になる程の衝撃だった。 阿部さんの文章は脳内でかなり鮮明に映像化されるから、残酷な場面は読んでいて本当に辛い。 そもそもこの物語には思い浮かべたくない場面が多いから困る…。 困るのだけど、同時にそれが魅力でもある...
神町のむごい過去が語られる第3巻。 夢に出てくるのではないかと心配になる程の衝撃だった。 阿部さんの文章は脳内でかなり鮮明に映像化されるから、残酷な場面は読んでいて本当に辛い。 そもそもこの物語には思い浮かべたくない場面が多いから困る…。 困るのだけど、同時にそれが魅力でもあるから読み続けられるんだろうな。 箱が流れてくる場面はもうドキドキだったし‥。 山頂で博徳さんが和歌子さんに「夫婦を続けたい」と話す場面はとても良かった。 初めてこの物語の登場人物を応援した。 うまくいくといいなぁ。コカインなしで笑いあえる関係を作って欲しい。
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フィクションなんだけど、地元を知っていると何だか実際に起こっても不思議ではないと感じてしまう...。方言がわからない人たちは読みづらいのでは?
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撮影サークルの中でさらに孤立を極め、妻との関係も意外な方向へ転がりだす田宮。いよいよ大きな波乱に向けて物語が動き始める…、のだが、大洪水で一気に隠れていた死体が流れだすことによって加速する展開は演劇的!冒頭に描かれていた戦後の忌まわしい事件までつながる全体像が明らかに。
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このブログに書いてはいないが、阿部和重は過去に『アメリカの夜』、『ニッポニアニッポン』などを読んだことがある。正直ちょっと退屈でよくわからないところもあり、私には合わないのだろうかという印象を持っていた。それに何か解説本みたいなのを読まないと理解できないようなものはあまり好きで...
このブログに書いてはいないが、阿部和重は過去に『アメリカの夜』、『ニッポニアニッポン』などを読んだことがある。正直ちょっと退屈でよくわからないところもあり、私には合わないのだろうかという印象を持っていた。それに何か解説本みたいなのを読まないと理解できないようなものはあまり好きではないし・・・ 友人の薦めもあったので、文庫になったところをIからIVまでまとめ買いした。 これは、面白い!今まで読んだ阿部和重の中で一番面白いし、1つの長編作品として珠玉である。登場人物が異様に多いのだが、作品が進むに連れて各個性が埋もれずに際立っている。どんな人間にも暗闇があり、悪の部分の物語が随所に描かれているのだが、全てがよくあるドラマ的な展開を遂げるわけでもなく、現実の人生のように、あっけない幕切れだったりするところがなかなか素晴らしいと感じた。 阿部和重のファンでもそうでなくても、読んで損のない長編。小説が好きだという気持ちが少しでもあるなら試してみてはいかがかな。
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総じて“クロニクル”、と括られうる長大な小説を私は好むのだ、という傾向を改めて解悟。 すべての伏線が緻密に張られていてそれがクライマックスで一気に明かされ余すところないカタルシスに至る、といった作品では決してない。 破綻、とまでは言わないけれど、どっかでパズルに組み込むことを忘れ...
総じて“クロニクル”、と括られうる長大な小説を私は好むのだ、という傾向を改めて解悟。 すべての伏線が緻密に張られていてそれがクライマックスで一気に明かされ余すところないカタルシスに至る、といった作品では決してない。 破綻、とまでは言わないけれど、どっかでパズルに組み込むことを忘れてしまったのかな、なんて感じられる微少なパーツもあるにはあるが、あらゆる事情が陰惨で破滅的で暗澹たる結末に向かって加速してゆく物語そのものが持つ悪魔的な魅力は、そうした細かな瑕を殊更問題にはしない。 つまりは、作者のストーリーテラーとしての才能、文章を産み出す純然たる能力の為せる業に違いない。 正直、オチはあまり好きではなかったが、一晩1冊のハイペースを崩さずに読み切らざるをえなかった、という観点から、星5つ。 少しだけ、奥田英朗の「最悪」を想起させた。
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阿部和重の話題の長編小説『シンセミア』 これを読むために、処女作の『アメリカの夜』『無情の世界』『ABC戦争』をまず読んだ上でかなりの期待とともに読み始めました。。。 面白いことに変わりはないし、これだけ複雑に入り組んだプロットを矛盾なく重厚に書ける作家はそう多くない、と...
阿部和重の話題の長編小説『シンセミア』 これを読むために、処女作の『アメリカの夜』『無情の世界』『ABC戦争』をまず読んだ上でかなりの期待とともに読み始めました。。。 面白いことに変わりはないし、これだけ複雑に入り組んだプロットを矛盾なく重厚に書ける作家はそう多くない、と言うのもすごく感じます。。 でも、俺が『無情の世界』を読んで感じた彼のセンスみたいのがこの作品ではあまり感じれなかった。。きっと桐野夏生とかが書いたら純粋に「良かった」って思えたのかも知れない・・・。とは言えやはり文体は阿部和重であり、変にステレオタイプを抱いて読んでしまった俺としては少しその矛盾が気持ち悪かったです・・・。 文庫版だと全4巻からなるのでかなり長い。だからいいところも嫌なところ見えて長編の感想は難しいと改めて感じた。 なんだかんだ言って面白いけどね。
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