格差が遺伝する! の商品レビュー
格差の再生産をデータで見る本、といえば分かりやすいだろうか。見出しやグラフだけひろって見るだけでも、ほぉぉ、とかやっぱりぃ、みたいな感慨がある。基本的には父親の収入の高さと母親の高学歴に支えられるような「生活の質」がこどもの生活様式の決め手となってこどもの学力が決まり、それによっ...
格差の再生産をデータで見る本、といえば分かりやすいだろうか。見出しやグラフだけひろって見るだけでも、ほぉぉ、とかやっぱりぃ、みたいな感慨がある。基本的には父親の収入の高さと母親の高学歴に支えられるような「生活の質」がこどもの生活様式の決め手となってこどもの学力が決まり、それによって次の世代の格差が固定される様子を描いている。それを理解したとしても、今の社会、とくに労働の構造が、父母が望むような生活様式をとらせないようになっていると、富裕層の一人勝ちになっちゃう、てところが、単なるブルデュー風教育論に終わらないところ。いまの多くのこどもに欠けている教育の「教養部分」をNPOなどの「生活体験スクール」にやらせよう、というところはなんかまゆつば。今後、今専業主婦でいるような高学歴主婦層は正社員主婦層になっていくのだとすれば、そうした活動がなされても、その価値に気づいている富裕層に利用され、稽古事などの学校外活動は値崩れして品質も下がってしまいかねない。あとがきで、「下流社会を書いたあと、もう1本下流ネタを、とドジョウ狙いの編集者が押しかけたなかで、では格差の再生産について新しく書いてください、調査費用は負担します、と言った編集者」と意気投合したくだりは、何事につけ、安全なものを安易に求めない姿勢って大事だなと感心した。
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教育と生活全般に関するアンケート結果報告。全般的に「○○の家庭は成績上位の子が△△%だ」という報告になっているが、多くの項目はそれぞれ相関があると思う。たとえば「旅行に行く家庭は成績が良い」とあるが、であれば「旅行に行けば成績が良くなるのか?」と言えば、そうではないと思う。旅行に...
教育と生活全般に関するアンケート結果報告。全般的に「○○の家庭は成績上位の子が△△%だ」という報告になっているが、多くの項目はそれぞれ相関があると思う。たとえば「旅行に行く家庭は成績が良い」とあるが、であれば「旅行に行けば成績が良くなるのか?」と言えば、そうではないと思う。旅行に行く余裕のある家庭は、両親の学歴が高く収入も多い傾向があるので、結果的に旅行に行く余裕が生まれると解釈すべきだろう。
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