裁判と社会 の商品レビュー

ダニエル・H.フット【著】,溜箭将之【訳】

2010/08/02

［　内容　］
日本人は訴訟嫌い？
日本の裁判官は消極的？
日本の司法は政治的？
アメリカ人の東大教授が誤解だらけの日本人論を脱神話化。

［　目次　］
１　「常識」再考（ずれた常識；訴訟行動と訴訟意識；制度と文化の再検討―具体例を中心に；契約行動と契約意識）
２　裁判所による政策形成（制度的要因・政治的環境・裁判哲学；日本の裁判所による規範の生成と政策形成；裁判所による政策形成に関する考察）

［　ＰＯＰ　］

［　おすすめ度　］

☆☆☆☆☆☆☆　おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆　文章
☆☆☆☆☆☆☆　ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆　メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆　冒険性
☆☆☆☆☆☆☆　読後の個人的な満足度
共感度（空振り三振・一部・参った！）
読書の速度（時間がかかった・普通・一気に読んだ）

［　関連図書　］

［　参考となる書評　］

2010/07/13

ハーバード・ロー・スクールを卒業後、連邦地方裁判所ロー・クラークを経て、現在東京大学大学院法学政治学研究科教授を務めている米国法社会学者が分析した日本の裁判と社会を研究分析した成果を著した著作である。

日本の法社会学の大家である川島武宜の著した「日本人の法意識」で示された文化論に対する意義を唱えながら、各国の制度の違い、また、合理的選択思考などさまざまな観点から「裁判と社会」「司法の常識を再考するよう促している。

また、交通事故における裁判外紛争解決制度の創造については、法曹界における多様なステークホルダーを巻き込みながら新たな制度を構築した裁判官の功績は多大であると評価している。

最後に裁判所による政策形成を論じられている。

いずれの分野でもそうであるが、外部からの視点・考察が新たな価値・制度を創造していくのであろう。

2010/09/02

ゼミ合宿の課題の文献でした。東大教授の本なので難しいかなーと思いきやすごく読みやすくて、二日もあれば読めます。内容も分かりやすくて、日本法についての「常識」を深く考えさせられました。

2013/08/13

NDC分類： 327.1.

裁判所は単に法を解釈し適用するだけのところか？アメリカの裁判所では政策形成に積極的か？Yes。日本は消極的か？違憲かどうかについてはYes。私人間の秩序形成（解雇、借地借家、離婚、交通事故等）についてはNo。日本人は訴訟嫌いという美徳をもつか？疑問（通説の文化要因とともに制度要因がある）。副題が「司法の「常識」再考」とあるようにアメリカの司法制度との比較を通じて通説の丁寧な見直しをする。行政の役割が大きいことについてはサラッと書かれているだけ。もう一回読まねば