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哲学の歴史(第4巻) の商品レビュー

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2012/04/29

キリスト教がユダヤ教の凝り固まった律法主義からのいわば修正であったように、ルネサンスがキリスト教の教会主義とプラトン主義と結びついた理想主義からの修正だった。神からの視点ではなくて、人間本来の視点からキリスト教や世界を見ていこうとする機運が高まった。それがキリスト教では宗教改革で...

キリスト教がユダヤ教の凝り固まった律法主義からのいわば修正であったように、ルネサンスがキリスト教の教会主義とプラトン主義と結びついた理想主義からの修正だった。神からの視点ではなくて、人間本来の視点からキリスト教や世界を見ていこうとする機運が高まった。それがキリスト教では宗教改革であり、自然哲学ではフランシス・ベーコンを契機とする経験論による科学の誕生である。キリスト教と科学は対極にある。皮肉なことには対極であるからこそ、その反動としての科学の生まれる素地もあったということである。  中途半端に空実一体であった佛教・儒教では科学的思考への飛躍とするには作用反作用の力は作用しなかった。

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2010/06/24

かつて3世紀にディオゲネス・ラエルティオスは、『ギリシア哲学者列伝』を著し、16世紀にジョルジョ・ヴァザーリは、『ルネサンス芸術家列伝』を著した。前者はディオゲネスが、今日ではその多くが散逸した先行するさまざまな文献資料から集成した、ギリシア哲学者の生涯と学説の列伝で、その本格的...

かつて3世紀にディオゲネス・ラエルティオスは、『ギリシア哲学者列伝』を著し、16世紀にジョルジョ・ヴァザーリは、『ルネサンス芸術家列伝』を著した。前者はディオゲネスが、今日ではその多くが散逸した先行するさまざまな文献資料から集成した、ギリシア哲学者の生涯と学説の列伝で、その本格的なラテン語訳は、ルネサンス期の人文主義者アンブロージョ・トラヴェルサーリにより初めてなされた。また後者は、今日のフランス語の「Renaissance」(再生)という語とも関連の深い、イタリア語の「Rinascita」という語を、著書の中で印象的に使ったことで名高い。 これらの古典と比較すると、本書はあたかも「ルネサンス哲学者列伝」といった趣がある。とり上げられる人物も、ペトラルカ、クザーヌス、フィチーノ、ピコ、マキアヴェッリ、エラスムス、ルター、モンテーニュ、ブルーノ、ガリレオ、ベイコンなど、汎ヨーロッパ規模である。750頁の大著だが、年表・参考文献も完備していて、初学者から上級者まで、幅広く万人が読むことのできる、優れた「ルネサンス哲学者列伝」となっている。まずは本書をじっくりと読み、気になった哲学者を選定したら、その哲学者に関する原典・専門文献を徹底的に読み進めることをお勧めする。わが国のルネサンス研究もここまできたかと思わせる好著である。

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