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大学入試の戦後史 の商品レビュー

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2011/09/16
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とりあえず大部分は戦後史ではない。最後の7章ぐらいがいわゆる入試制度の戦後史。ここを先に読んだほうが前半も理解しやすいと思う。前半を含め大部分はこの20年ぐらいの入試制度について。大衆化した大学での多様な入試制度、とくに小論文入試やAO入試について個別の事例を、関係者への取材などを交えて紹介している。 ********************************** 入試を考える時、「選抜」と捉えるか、「教育」の一環としてとらえるか。ここが問題のようです。「選抜」となると目的は「落とす」こと。これならそれこそジャンケン大会でも良い(と受験生のときは個人的に思っていた)。実際、良問は出題されつくして入試に奇門・難問が増えて問題にされてきたが、これはまさに「選抜」なら許されることになる。一方、「教育」の一環となると、これは高校生活でどのようなことを身につけているかを判定、確認し、さらに入試によって大学で学ぶために書く大学が必要だと思われるものを高校生に学んで来てもらおう、という内容になる。つまり大学教育と入試は密接に関連することになる。現状のように進学率が上がり(50%が大学に進学)、大学が大衆化した状況では、振り落とすための選抜試験を行えば、ほとんどの高校は大学入試のための対策教育をせざるを得ない状況に行き着く。 ********************************** 著者は大学入試制度のみならず、日本の「ムラ社会」構造、つまりそれぞのムラ内部での横並びの公平・公正を求める構造について問題を感じているようである。それが例えば本質的な改革を断行できずに「現状維持」「先送り」として小手先の制度変更を重ねる状態を生み出していると指摘する。共通一次以降の大学入試の混乱と変遷もまさにそこに原因があると考えているようだ。 ********************************** 実は本書を通じてアメリカの大学入試制度(入学選抜)の仕組みに関して初めて知ることができた。これまで「アメリカの大学は入りやすくて出るのが難しい」的なぼんやりとした知識しか無かった。しかし、そもそもアメリカの大学で日本的な「学力選抜」は無いようである。アメリカは一足早く大学の大衆化が起こり、現状では「開放入学制」「資格選抜制」「競争選抜制」に分かれている。上位校だけが実質的な選抜を行っており、それ以下は資格があればほぼ全員入学できるそうだ。日本のような大学ごとの学力試験は無い。高校での全国的な学力テストの成績や高校の成績、その他の志願書などの書類によって、アドミッションオフィス(AO)(いわゆる事務室)が機械的に書類だけで判別する。教員は入学制の選抜にかかわらない。 日本は全大学で学力試験を行っており全く異なるように思えるが、しかし日本の現状は限りなくこれに近づいているようである。つまり全入時代を迎え、AO入試、推薦入試、センター1科目入試など多様な入試制度の出現で、上位校を望まなければ希望する大学にほぼ確実に入学できる。しかも大した試験も受けずに。

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2010/12/30

(2007年の時点で) 入試の選抜機能が働くのはMarchレベル。その中の法政は様々な教育改革・入試改革を重ねて志願者を保ち学力選抜を行っている。 AO入試・推薦千入試は資格選抜性・開放入学生の役割を果たしている。アメリカの例を見ながら日本は対処法よりその課題に目を向ける必要があ...

(2007年の時点で) 入試の選抜機能が働くのはMarchレベル。その中の法政は様々な教育改革・入試改革を重ねて志願者を保ち学力選抜を行っている。 AO入試・推薦千入試は資格選抜性・開放入学生の役割を果たしている。アメリカの例を見ながら日本は対処法よりその課題に目を向ける必要がある。 書名だけイメージからすると、第7・8章の内容がより幅広く・深く記述されているといいのかなと思った。

Posted byブクログ