ああ正妻 の商品レビュー
こういう結婚もアリだな!と思いつつそこまで割り切れないことを痛感した24歳の私。実際こういう女の人いるよね。幸せってなんだろう。
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待望の姫野カオルコ。読み出してすぐああ姫野カオルコの文章と思う。この理屈のもってき方この展開、この人だけのもの。ストーリーだけじゃなく文の中に作家個人が見え隠れするような文章。誤読だ、と言われるかもしれないが。これは本当の話なんです、嘘のようだけど本当の話なんです、と何度も言われ...
待望の姫野カオルコ。読み出してすぐああ姫野カオルコの文章と思う。この理屈のもってき方この展開、この人だけのもの。ストーリーだけじゃなく文の中に作家個人が見え隠れするような文章。誤読だ、と言われるかもしれないが。これは本当の話なんです、嘘のようだけど本当の話なんです、と何度も言われると本当の事のような気がしてくる。でもかなりデフォルメされているからうそ臭く感じるが、何を隠そう家だってこの小早川家とそんなに変わりないような気もする。だって職場結婚だし、出来ちゃった結婚ではないけれど何か引越しもせねばならぬ的に結構してきたし。休日に特に理由なく外にいこうとされるとなんでといいたくなるし、買い物に行けば荷物預けてちょっと見てくるからと待たせちゃうし。お互いの呼び名はいつの間にか「お父さん」「お母さん」で住んでるし、でもそんな状況って普通、ごくごく平凡な幸せの光景よ、ホホホ、と言いたい。「女性人気ナンバーワン」と言う言葉から連想するする男性、残念ながら私は姫野言うところの「女として怠惰な人生を送ってきた女の劣等品」が想像する男性を想像してしまった。本体のヴィジョンを気にするのは、麻疹や百日咳やおたふくかぜのようなもので、思春期以前(十五歳以前)に、一度だけ罹る。大人になれば罹らない。(略)青春期以降(十六歳以降)になれば、まともな女性なら男性の外見など見ないに等しい。健やかな蛹が健やかな蝶になるように、男性の外見に目がいかぬようになった女を、発育したとか、成熟したとか、大人びたとか、花開いたと言うのであって、十六歳を過ぎて男の外見にかかずらわっているような女は、発育不全の、女の劣等である。思い浮かべたのは女の劣等が想像する男性でも実際には自分につりあう範囲でよりそれに近い男性を選ぶのでなはいだろうか、、そこはそれなりに・・・。そして優等な女性は、種の保存と言う目的を遂行する能力に長けている女性だという。そういいながらも、「負け犬の遠吠え」ならぬ「しこめのいいわけ」と言う本のことで、「彼女たちは負けたとは思っていない。負けた女ですと自らいう事で社交のバランスを保つことが出来るゆとりとセンスがある。」と書いている。結婚した男の心情も「10÷3であまりは無視して生きる」とある。「結婚においては、個は眠らせておくべきである。個の消滅、これこそ家庭円満。」こんなふうに結婚を皮肉な視線で見ているが、この作家は結婚願望がないのだろうか。ないんだろうな、瓶野比織子だもの。とくに「第6章 川田教授の藁半紙」が面白かった。川田教授による新しい新書を書くための小早川夫妻の分析、座標軸に自分も当てはめてみると面白い。結局はバランスなのだと思う。主人公の妻の名前を雪穂としたり、「白い夜を行く」と言う名の本のことが出てきたり、お茶目ですねえ。さりげなく既刊の自作の事も売り込んでいたり。ユーモアと皮肉たっぷりに世の中の夫婦像が姫野流に書かれている、これはごくごくありふれた家庭の話です。2007・7・20
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2007.08.23. 私は今まで、姫野さんの小説のおもしろさを全然理解できてなかった。いつも、なんだかおもしろいけどしっくりこない文体だ、と思っていたもん。これは、損をしていた。こんなにユーモアにあふれて皮肉ってるのに嫌味じゃないなんて、すごいよ。そして、理論的なところもしっか...
2007.08.23. 私は今まで、姫野さんの小説のおもしろさを全然理解できてなかった。いつも、なんだかおもしろいけどしっくりこない文体だ、と思っていたもん。これは、損をしていた。こんなにユーモアにあふれて皮肉ってるのに嫌味じゃないなんて、すごいよ。そして、理論的なところもしっかりあるし。「しこめのいいわけ」というタイトルにセンスが光ってるよ(本物よりずっといい)。正妻ってすごいねーこんな人、どっかにいそう。。。
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「お嬢さま」は「不条理な悪妻」だった!? 大手出版社に勤める小早川。妻はミッションスクール卒の「お嬢さま」、娘 二人も妻の母校に通い、恵まれた結婚だと人は言う。しかしその驚愕の実態 とは!? 「ふつうの結婚」のシュールさを突く快作!
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“女の「勝ち組」「負け組」”を姫野カオルコが描くとこうなる?カリカチュアされた「勝ち組」の実態を、妻雪穂からではなく、夫である小早川正人を主人公にし描くという視点の逆転が、なんとも新鮮で痛快な作品だ。 作品の中で小早川の妻雪穂は、極悪非道の悪妻と見えるよう描かれているが、その雪...
“女の「勝ち組」「負け組」”を姫野カオルコが描くとこうなる?カリカチュアされた「勝ち組」の実態を、妻雪穂からではなく、夫である小早川正人を主人公にし描くという視点の逆転が、なんとも新鮮で痛快な作品だ。 作品の中で小早川の妻雪穂は、極悪非道の悪妻と見えるよう描かれているが、その雪穂のデタラメな主張に共感できてしまえる部分が私の中にもあって(親との同居問題とか)、胸に手を当てて反省したくなる部分も(汗)。うーん。私も悪妻なのかもしれない(滝汗)。 女である私にとって、「結婚って何だろう?」「女の幸せって何だろう?」じっくり考えてみたくなる作品だった。作者の分身のような瓶野比織子のようにその枠組みの外に居られれば楽なんだろうなあ。ま、もしこの作品に登場する男性の中から、誰か一人結婚相手に選べと言われたら、川田教授を選んでしまう私も、女の劣等品なんでしょうが。 「しこめのいいわけ」(ふふ。あの作品よね)がベストセラーになった理由も知れて、嬉しかったり。ふふふ(黒い笑み)。 それにしても本当に実話なのかな?作品の中で小早川正人はしょぼい反撃しかできなかったけど、リアル小早川正人の健闘を祈る!
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