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現代に生きる幕末・明治初期漢語辞典 の商品レビュー

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2009/10/07

 佐藤亨さんという人は、独力でこれだけの辞書を編むのだから、ほんとうにこつこつ用例を採集してきたと思う。実際、『近世語彙の歴史的研究』『近世語彙の研究』以来何冊もの著書の索引の語彙をあつめるだけでも一冊の辞典になると思っていたが、ついにそれをなしとげた。今後、この辞典を基礎に多く...

 佐藤亨さんという人は、独力でこれだけの辞書を編むのだから、ほんとうにこつこつ用例を採集してきたと思う。実際、『近世語彙の歴史的研究』『近世語彙の研究』以来何冊もの著書の索引の語彙をあつめるだけでも一冊の辞典になると思っていたが、ついにそれをなしとげた。今後、この辞典を基礎に多くの、よりつっこんだ研究が期待される。ただ、氏の方法に問題があるとすれば、それはこの10年来の日中での近代語研究と距離を置いてやってきたことである。実際、ここでは沈国威、陳力衛、朱京偉、鄒振環、荒川清秀といった近代漢語に関する専著をまったく無視している。言い方を変えれば、唯我独尊、人の研究に無関心なのである。(同じことは杉本つとむ氏についても言える。人の研究を批判する前に、最近の研究も見ておく必要があると思うのだが)中国語は読めないとあきらめたのか、こうした人々からのつっこみが怖かったのか。ともかく、この10年来の研究を全く無視したことで、この辞書にはとんちんかんな記述が各所にみえるのである。

Posted byブクログ