新しい天体 の商品レビュー

開高健【著】

2013/05/19

美味しい物を食べて飲むことは 楽しく生きるための基本である様に思う。
せっかく食事するのであれば、美味しい物でお腹をいっぱいにしたい。
もちろんすべて大御馳走である必要はないと思うが、きちんと作られた食材をきちんと料理して 心して食べたい。
そう感じさせられた一冊でした。

2013/04/30

胃をやられちまう読書

はじめての開高健でございます。やられました。見事に。胃をやられちまいました。
正直なお話、ワタクシ、食事のシーンを描くだけでこんなに凄いことになるとは存じませんでした。
料理レポーターのように表情や音を駆使することもなくただ文字だけで「食べたいわーどて焼きとか白魚の踊り食いとか松坂牛とか食べまくりたいわー」などとヨダレを方々に撒き散らしながら叫び出したくなるとはそんなこと夢にも思いませんでした。
ところがこれがあったのでございます。やってのけているのでございます。
曰く「おいしいおっさん」だの「美味の中の虚無」だの食をセックスに例えてみたりだのあらゆる手練手管を駆使してワタクシの胃を刺激しまくったのであります。
これが1976年発行。文学は奥が深くてございます。ご馳走様でした。

2011/07/25

「税金を食いつぶす」という言葉があるが、まさにその概念のパロディである。書名はもちろん、かの有名な美食家ブリアサヴァランの「新しい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。」に因っている。昔、今もかもしれないが、年度末で役所の予算が余る。余ってしまうと、翌年の予算を削られる。ために役人は、予算をいらない仕事を作って食いつぶす。主人公は、上司から食べる事で予算を食いつぶすことを命じられる。たこ焼きから松坂牛まで、網走から四谷の名店まで。ひたすら食べる､食べる。
開高健は、「おいしい」という単語を使わず、その食物がどのように食べた人の語感を刺激するか。。。という実験をして、見事に成功している。
４０年以上前に書かれた本と、内容とは思えない。

2009/10/04

ひとりの公務員が予算消化のために、景気調査と称して日本中の美味、珍味を食べ尽くすことを命じられる。食のエッセイと飽食への批判が絶妙な筆致で描かれる。

2011/09/15

官庁の予算が余ったのでそれを全部「食う」ためになら使っていいらしい。そういう夢物語のような美味珍味食紀行の話。ボクは食通でもグルメでもなんでもない。その証拠に先日久しぶりに食べたメガマックが異常に旨かったし。その証拠に先月食べた懐石料理の味もいまだ忘れがたい。旨いと思う条件ってぴったりハマると何百円だろうが何万円だろうがウマイ。よく旨い店の紹介本で実際に行って食べてみると「それほど・・いうほど・・」という時がしばしばある。これをどう説明しようか。飲んだ後のラーメンは旨い。これをどう説明しようか。畑仕事の後塩むすびが幾らでも食べれる。これをどう説明しようか。一生懸命作ってくれたケーキが硬かったけどなんかやっぱウマかった。これをどう説明しようか。