ハイエクの政治思想 の商品レビュー
ハイエクの議論は「経済による救済」を約束するものでは決してない。「政治による救済」を夢想することなく、あくまでもその厳しい現実に踏みとどまることを、自由主義社会に住まう人々の従うべき「自由の規律」として人々に強く迫る議論である。そしてハイエクは市場の論理があまりに人々の自然感情に...
ハイエクの議論は「経済による救済」を約束するものでは決してない。「政治による救済」を夢想することなく、あくまでもその厳しい現実に踏みとどまることを、自由主義社会に住まう人々の従うべき「自由の規律」として人々に強く迫る議論である。そしてハイエクは市場の論理があまりに人々の自然感情に反するものであることを認めていた。そこにハイエクの苦悩があった。
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本書は日本語で書かれたハイエク論としては出色で、特にハイエクの自由論における利己主義と部族感情の葛藤を整理した手際は鮮やかだ。しかし後半の現代的意義を論じる部分は、ありきたりな「市場原理主義」批判になっていて、同じ著者が書いたとは思えないほど凡庸である。
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市場経済は部族感情に反するし、それを克服する道をハイエクも見つけられなかった点が印象的。反グローバリズムの根深さを痛感させられる。
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