近衛文麿「黙」して死す の商品レビュー
ちょっと難しくてイマイチ理解できていない。近衛、木戸ともに対米和平を模索した政治家、という程度の理解だったが。 明治の政治制度が分権、細分化され機能不全である以上、内大臣の職責が非常に重いことを指摘する。その木戸は無作為を重ねたと断ずる。さらにその遠因が皇道派と統制派の争いに依る...
ちょっと難しくてイマイチ理解できていない。近衛、木戸ともに対米和平を模索した政治家、という程度の理解だったが。 明治の政治制度が分権、細分化され機能不全である以上、内大臣の職責が非常に重いことを指摘する。その木戸は無作為を重ねたと断ずる。さらにその遠因が皇道派と統制派の争いに依るという。 官僚的な発想というか、無誤謬性、自己否定ができない日本人気質の悪い面の積み重ねが破滅的な結末に繋がったものと理解した。うーん、今も何も変わらない気がする。
Posted by
図書館 前に読んだ「近衛文麿の戦争責任」とは打って変わり、近衛に責任は無く、というか近衛だけに責任があるという認識は間違っていると指摘した内容。歴史の事実を書物から知ろうとすると、こういったトリックに引っかかることがあるのですね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者鳥居民氏についてはこの本ではじめて知った。歴史の見方がまるで塗りかえられた気がしている。たしかに証拠となる文献などがとぼしく、著者の推理による洞察・知見と言ってよいもので、学問としての歴史学の批評にどれだけ耐えうるかということはあるけれども、歴史にはえてして何も証拠が残っていない事実のほうがはるかに多いということも肯んじなければならない。文献資料がなければ歴史が語れないなどと言えば、語れないことが圧倒的に多くなるだろう。本書が指摘した、「木戸・ノーマン史観」による近衛の戦争責任のなすりつけが真実であるのかないのか、私自身、これから意識して学びたいとこころである。 ところで、鳥居氏は、控え目ではあるが、木戸幸一がなすべき進言を聴かされてはなかったにせよ、昭和天皇自身、中国からの陸軍撤兵について誤った判断をしていたことを指摘している。ある意味天皇の戦争責任なきにあらずという結論なのは興味深い。
Posted by
- 1