事変の夜 の商品レビュー
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『風の払暁』から間を空けずに読了。いよいよ満州事変が起こるのだが、その前段階での謀略、さらに事変決行後の謀略、さらには次の事変を起こす為の謀略。陰謀と策略と自暴自棄が交錯する。しかし一気に読ませるな。読み終えて最初に思ったのは、これは挫折の物語なのかという事。志を持った人間が簡単にそれを放棄し、いや陰謀によって捨てざるを得なくなる場合もあるのだが、要するに人間なんて頭だけで考えた事はすぐに変節出来て、その後は自己正当化をはかるか、はたまた、やけっぱちのルンバを踊るかしかないのだ。長男は軍の暴力と謀略に振り回される。無力だ。次男は、唯一、この物語の中でシンパシーを感じられ人物だが、金の為に捨てた筈の国家の手先に落魄れる。救いは子飼いに見捨てられた後、やり直しを決心したところ。三男はガチガチの帝国軍人、しかも憲兵だが所詮は謀略の駒。四男はカスである。典型的なマルクスボーイか。いや大杉栄に影響を受けていたからアナーキストシンパか。まあ堕ちるところまで堕ちたので次作でどうなるか。読んでいて知らなかった事が沢山出てきて、自分は歴史には詳しいなどと思っていた事を恥じた。しかし山上さんの無期懲役判決もしかりだが、検察や軍部の謀略機関、これが国のためになるなどという烏滸がましさは昔から変わらんのだな。お前らに与えられる未来なんぞろくなものじゃない。自分達の野望の為なら天皇の首の挿げ替えも辞さない。ま、明治維新の前から薩長は玉と呼んで利用していたが。さて第3作で4兄弟はどうなるか。例によって悲惨な死に方するんだろうな。
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2巻の地点でここまで重厚で、そしてまだ序章が終わっただけという事実。本当にとんでもない小説に手を出したと改めて思います。 たった100年前に事実として史実としてこういう時代があったというのが、若い自分では少し想像もつかず、韓国が日本だったという事実も、歴史では習いましたが改めて考えると、とても違和感があります。 満州の史実もそうですが、これから敷島兄弟は本当にどうなってしまうのか、既に4人とも様々な事が起こっていますが、まだ日中戦争に2.26事件なども残っている。最後まで行く末を読み切りたいです。
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ロンドン海軍軍縮条約から満州事変を経て上海事変までを描く。 満蒙領有論がいかに国民から支持を受けていたのかが分かる。 現在の平和主義的な国際感覚とはあまりにかけ離れている。 敗戦によるショックがいかに大きかったか。
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満州国演義シリーズ第2作。1巻の張作霖爆殺事件から始まって軍部の暴走がいよいよ止められなくなってきた頃。当時の総理大臣は濱口雄幸、若槻礼次郎。濱口首相はテロ事件に遭い後に死亡するがこの頃の日本はテロが頻発し、桜会事件や血盟団事件など、クーデタ未遂も起きた。そして起きる柳条湖事件、...
満州国演義シリーズ第2作。1巻の張作霖爆殺事件から始まって軍部の暴走がいよいよ止められなくなってきた頃。当時の総理大臣は濱口雄幸、若槻礼次郎。濱口首相はテロ事件に遭い後に死亡するがこの頃の日本はテロが頻発し、桜会事件や血盟団事件など、クーデタ未遂も起きた。そして起きる柳条湖事件、満州事変。そのような時代背景の中で4兄弟が大陸でそれぞれの道を行き、その道は時に交錯する。いよいよ3巻からは満州国建国が宣言されるようである。詳細→ http://takeshi3017.chu.jp/file9/naiyou10140.html
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危ういながらもかろうじて保たれていたタガが張作霖爆殺事件と田中義一内閣崩壊によって外れるまでが前巻。 二巻のメイントピックはサブタイトル通り、満州事変の勃発。 一般的には一部軍人達の暴走として結論付けられる満州事変が、はたして本当にそれだけだったかというと、正直よくわからない。...
危ういながらもかろうじて保たれていたタガが張作霖爆殺事件と田中義一内閣崩壊によって外れるまでが前巻。 二巻のメイントピックはサブタイトル通り、満州事変の勃発。 一般的には一部軍人達の暴走として結論付けられる満州事変が、はたして本当にそれだけだったかというと、正直よくわからない。 当時の多くの日本人は昭和恐慌で加速する生活の悪化を改善するため、少なからずこういう事件を求めていたではという気がする。 当時の人々にとって、地下資源豊富な満州は《近代化した日本が抱えた矛盾や経済的苦境を一挙に解決してくれる金脈のようなもの》であったのだから。 とりあえず感じるのは、軍部の暴走による満州侵攻を、日本国内においては歓迎する風潮があった。 おそらくこれだけは確かだろう。 事変を主導した参謀による「五族協和」「王道楽土の国家建設」というスローガンは、そういう明言しにくい欲望を誤魔化すための方便(もっといえばプロバガンダの一種)だったと思う。 満州を日本が占領するのではなく満州に誰もが安心して暮らせる平和な国家を築くのだ、という詭弁。 満州事変が太平洋戦争にまで至る日本の暗黒時代の引き金であったことは周知だけど、それをどう捉えるべきかを今の時代になって考えるのは難しい。 「明らかな間違い」という人もいれば「当時の日本にとってはやむを得なかった」という人もいるし、もっといろんなことを言う人もいる。 ただ言えることがあるとしたら、当時の空気は明らかに事変に向けて熱を帯びていて、制御できないものになっていたということ。 当時の暴走した軍部や、彼らを制御できなかった政治家や、彼らを賛美したメディア等を非難するのは容易いけど、でも何が彼らをそうさせたのか。 その背景まで考えないことには、本当に敗戦を振り返り、過去に学ぶことにはならないと個人的には思う。 誰が悪いとかそういう話じゃなく、もっと根源的なものがあったのではないか、ということ。
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間垣徳蔵を狂言回しに,敷島4兄弟にそれぞれの役を分担させて,満州事変へと突き進む.軍隊の自分勝手な理屈に押し流されていくのが,本当に怖い.
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関東軍の暴走が進行.満州事変が勃発.三郎は太郎に銃を向ける.「〜したのは〜の時だった.」「どういう意味ですか,それ」など船戸与一の決まり文句が少し花についてくる.
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相変わらず銜えたばこのシーンが多いのに閉口するのですが、ストーリーは満州事変や上海事変を中心に進んでいきます。支那人は、満州事変や錦州への無差別爆撃に遭遇しても、なぜかそのような状況に無縁に生きているように、三郎の眼には映っている。しかしながら一方では、抗日運動は日増しに激しくなるし、関東軍は馬占山軍や十九路軍の執拗な抵抗に苦戦を強いられる。そして、この上海事変の段階では、登場人物の一人に「支那の未来は支那人の民族意識を国民党と共産党のどっちが吸収するかに懸かっている」と語らせているのが印象的。
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西太后の思惑で即位させられ、袁世凱により紫禁城で宦官と共にある意味幽閉されてきた溥儀が、今度は関東軍によって弄ばれる歴史が紐解かれていく。それは、楽しみであるよりも恐ろしい。軍事国家であった日本の凋落は、ここに始まった。
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九月十八日、満州事変の日が近づいてきている。 満州事変から満州国建国前夜まで、 様々な意見、立場がある中での小説、 作者の後記「小説は歴史の奴隷ではないが、歴史もまた小説の玩具ではない」
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