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死刑制度の歴史 の商品レビュー

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2014/08/06

死刑制度はどこからやってきて、どこへ行くのか。特に、どこからやってきたのかが知りたかった。 その起源をさかのぼれば個人が犯した罪は同じもので埋め合わせるという同害報復から始まった。死刑制度につながる遺伝子の祖であるようにも思える聖書でも旧約と新約の間で人の罪に対するとらえ方も違う...

死刑制度はどこからやってきて、どこへ行くのか。特に、どこからやってきたのかが知りたかった。 その起源をさかのぼれば個人が犯した罪は同じもので埋め合わせるという同害報復から始まった。死刑制度につながる遺伝子の祖であるようにも思える聖書でも旧約と新約の間で人の罪に対するとらえ方も違う。(前者は目には目をの同害報復推奨vs後者は罪を赦す推奨)その後、振り子のように、死刑制度の廃止と存続の間を触れ動きながら歴史は流れてきた。賛成派は、犯罪抑止の効果・人間の更生の可能性の無さ・やった事には責任を取らせるという因果応報理論・被害者の感情の重なる国民感情等を引き合いに出し、反対派は、抑止効果の無さ・同害報復理論の野蛮さ・死刑の不可逆性と冤罪の問題・人間の生命の絶対的な価値等を主張する。 今日ではヨーロッパでは死刑はほとんど絶滅し、南米でも廃止が目立つ。アメリカは約半数の州で廃止(=半数で存続)ただ、中東・アジアで、まだ死刑は存続し続けている。日本も人権先進国をうたってはいるものの、いまだに死刑制度がある国である。 私はこの本を読むまで、死刑の不可逆性と冤罪の危険性から死刑は廃止すべきと思っていたが、この本では、護身の危険性について認めてはいるものの、現行犯等のやったことが明らかである犯罪行為等に対しては、必ずしも私の主張が絶対的な価値を持つわけではないという指摘もあった。著者は様々な理由にも超えて、人間の生命の貴重さこそがこの死刑廃止論の主張の唯一の支えになるとしている。それは、功利主義というよりも、何に代えても生きている命を奪ってはならないという規範主義的な考え方である。 二人の人の命を奪ったことが確実な人間がいるとして、その人が生きているなら、二人の命と一人の命を天秤にかけてその埋め合わせをどうするとかするのではなくて、とにかく存在する命を守ることが何にも優越されるのだという事。 これは一つとして納得のいくものではある。ただ、その殺されたのが自分の家族や配偶者や友人やなどの近しい人でも納得がいくのか、そのあたりは少し考えてみたいと思う。

Posted byブクログ

2010/05/30

[ 内容 ] 国家は、殺人犯やその他の危険な犯罪者を殺す権利を有するのか、否か? この重い問いについては、長年にわたって議論が重ねられてきた。 本書は、古代から現代までの死刑制度の歴史と現況を、わかりやすく解説する。 死刑制度存廃問題を考えるための必読書。 [ 目次 ] 第1章...

[ 内容 ] 国家は、殺人犯やその他の危険な犯罪者を殺す権利を有するのか、否か? この重い問いについては、長年にわたって議論が重ねられてきた。 本書は、古代から現代までの死刑制度の歴史と現況を、わかりやすく解説する。 死刑制度存廃問題を考えるための必読書。 [ 目次 ] 第1章 古代の死刑―聖書、ギリシア、ローマ(聖書の遺産 ギリシア思想 ほか) 第2章 中・近世における死刑(中世盛期の逡巡 理論的深化(十二~十七世紀) ほか) 第3章 啓蒙からギロチンへ(啓蒙の曖昧さ 立法と判例の進化 ほか) 第4章 十九世紀と二十世紀の死刑(十九世紀の大論争 法の進化 ほか) 第5章 現代の死刑(法の現状 変わらぬ論点) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

Posted byブクログ