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海峡のアリア の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2024/09/03

2007年発行。 翌年に発行された「禁じられた歌」を先に読んだ。そこでは、日本で、韓国で、北朝鮮で政治に翻弄されて禁じられた歌について書かれていた。   2冊の内容は似通っている。しかし、同書は在日(総連系)の両親のもとで生まれ、北朝鮮に「帰国」した4人の兄が政治犯収容所に連行さ...

2007年発行。 翌年に発行された「禁じられた歌」を先に読んだ。そこでは、日本で、韓国で、北朝鮮で政治に翻弄されて禁じられた歌について書かれていた。   2冊の内容は似通っている。しかし、同書は在日(総連系)の両親のもとで生まれ、北朝鮮に「帰国」した4人の兄が政治犯収容所に連行されて1人が死亡し(後にもう一人、収容所生活の後遺症で亡くなっている)、北朝鮮に疑問を持って韓国国籍を取るという複雑な生涯について比較的詳しく書かれている。 朝鮮半島(韓国・北朝鮮)と日本を共に「祖国」と考える著者の苦悩を通じて、「禁じられた歌」政治に翻弄される歌、そして朝鮮半島の作曲家、作詞家、音楽に関わる人々の苦悩をより生々しく感じることができる。

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2016/07/09

在日コリアンのソプラノ歌手・田月仙さんの半生記。在日コリアンの年代史を読むと必ずといっていいほど、身内や知人が楽園を目指してだったり祖国建設に一役買おうと北朝鮮に「帰還」したものの、前宣伝とはまったく異なる状況を知らされ苦しんだことが書かれており、この本でも月仙さんの兄弟のことが...

在日コリアンのソプラノ歌手・田月仙さんの半生記。在日コリアンの年代史を読むと必ずといっていいほど、身内や知人が楽園を目指してだったり祖国建設に一役買おうと北朝鮮に「帰還」したものの、前宣伝とはまったく異なる状況を知らされ苦しんだことが書かれており、この本でも月仙さんの兄弟のことが書かれていた。ほんと、在日コリアンの人たちって過酷ななかを生きている。 北朝鮮で歌ったり、韓国で歌ったりしてきた月仙さんだけど、北朝鮮で歌ったときのことより、ソウルの芸術の殿堂で「夜明けのうた」を歌えるかどうかという顛末のほうがドキドキした。日本文化解放前夜の最後の攻防ともいうべき緊張感のなか、我を通すのではなく「アー」で「夜明けのうた」を歌うという粋な判断。

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2014/06/16

無性に彼女の歌を聴いてみたたい。ハングルが分からなくとも、オペラに馴染んだことがなくとも、聴いてみたい。きっと彼女の心は伝わってくる。伝えてもらいたい。ただ素直にそう思う。自分の境遇をはっしと受けとめ、在日コリアンであればこそ培われた感性と音楽家としての天分を発揮し、日韓、そして...

無性に彼女の歌を聴いてみたたい。ハングルが分からなくとも、オペラに馴染んだことがなくとも、聴いてみたい。きっと彼女の心は伝わってくる。伝えてもらいたい。ただ素直にそう思う。自分の境遇をはっしと受けとめ、在日コリアンであればこそ培われた感性と音楽家としての天分を発揮し、日韓、そして南北の融和を願う姿はあまりに美しい。

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2009/12/03

在日2世の田月仙さんによる手記。 韓国出身の彼女の両親は,日本と韓国の不幸な歴史に翻弄されて日本にやってくる。 そして,彼女を含めた彼女の家族は,北朝鮮に翻弄されていくことになる。 日本・韓国・北朝鮮の各国首脳の前で歌を披露した経験や,各国での舞台を通して揺れ動く彼女の心境が鮮明...

在日2世の田月仙さんによる手記。 韓国出身の彼女の両親は,日本と韓国の不幸な歴史に翻弄されて日本にやってくる。 そして,彼女を含めた彼女の家族は,北朝鮮に翻弄されていくことになる。 日本・韓国・北朝鮮の各国首脳の前で歌を披露した経験や,各国での舞台を通して揺れ動く彼女の心境が鮮明に描かれている。 波乱万丈な人生を送ってきた彼女だからこそ,表現できることが多々あるに違いない。 音楽は,国境・人種・民族を越えるということを思い知らせてくれた1冊。

Posted byブクログ

2009/11/03

声楽家として成功している田月仙の人生が、実はこんなにドラマティックな(と言うより、見方によっては非常に過酷な)ものであったことを本書を読んで初めて知った。 田月仙が、朝鮮半島と日本の双方の音楽文化に造詣の深い声楽家として、これからもますます活躍されることを心から期待している。

Posted byブクログ