ポケット解説 柳田国男の民俗学がわかる本 の商品レビュー
柳田國男がどうやって民俗学と関わってきたかについて記述。 当時の背景と合わせて語られており、 その時代の中で民俗学がどのように成立してきたかについて分かる。 また読み返したい。 次、「故郷七十年」。
Posted by
一人の人間と、その人の打ち立てた学問を批判検証することの難しさと危うさを感じさせてくれる本です。 この本は、柳田国男の打ち立てた「民俗学」について解説してくれています。そしてその解説はいちいち時代背景と照らし合わせながらなされているので実に分かりやすい。 しかし少し考えてみれ...
一人の人間と、その人の打ち立てた学問を批判検証することの難しさと危うさを感じさせてくれる本です。 この本は、柳田国男の打ち立てた「民俗学」について解説してくれています。そしてその解説はいちいち時代背景と照らし合わせながらなされているので実に分かりやすい。 しかし少し考えてみれば、一人の学者と、その学者の打ち立てた学問が常にある特定の時代背景を背負っているというのは当然のことです。そのような視点で見てみると、この本はごくありきたりの「柳田国男の正体暴き」をやっているだけで、ある程度この手の論述を見てきた身としては物足りません。 しかもこの本は、構成が実にしっかりよく出来ています。あたかも柳田批判という一つの学問体系が既に完成しており、タイトルにあるような「柳田国男の民俗学」が分かるようになるにはこの教科書をまず押さえておけば良いといった自信が感じられます。 その点、あまりにも自信たっぷりなので、読む方としては「本当にここまで断言していいのかね」と首を傾げたくなる箇所もしばしば目に付きました。この、首を傾げたくなるポイントこそが、僕が次に柳田國男の学問を調べ、考える際のポイントになるのかなと考えています。 まああそのポイントというのは、どういう観点から扱うべきものなのかは漠然と分かっているつもりです。柳田民俗学というひとつの体系は、いったんその成立した時代背景に向かって投げ返されました。今度はさらにそこから投げ返し、柳田民俗学そのものに再び立ち返るような観点に立つべきなのです。何故と言って、それが未来に向かって進んでいくということだからです。
Posted by
- 1