人間はどこまで動物か の商品レビュー
動物昆虫植物を知れば知るほど、人間とのあまりの違いに驚きが増す。しかしそれと同時にどんどん彼らが身近に感じてくる。 人間の色眼鏡を取り去るのは難しいが、この本は眼鏡拭きの役割をしてくれた。小さい頃、庭の中央に咲いたポピーが翌日父親に抜かれていてとても悲しかったことを思い出した。
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タイトルに惹かれて読んだが、動物学の話が大半でこのタイトルの内容について深く掘り下げているというわけではなかった。 ただ、農業が人間の原罪だという発想は大変面白い。確かに農業や牧畜ができてしまったことが人間をここまで発展させる要因になっていたわけだし、それがなければここまで生態系...
タイトルに惹かれて読んだが、動物学の話が大半でこのタイトルの内容について深く掘り下げているというわけではなかった。 ただ、農業が人間の原罪だという発想は大変面白い。確かに農業や牧畜ができてしまったことが人間をここまで発展させる要因になっていたわけだし、それがなければここまで生態系のバランスは崩れていなかっただろう。
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日本の動物行動学の第一人者が新潮社のPR誌『波』に連載したエッセイをまとめ、文庫化したものである。 著者は、1982年に設立された日本動物行動学会の初代会長で、『春の数え方』で日本エッセイスト・クラブ賞(2001年)を受賞しているほか、コンラート・ローレンツによる世界的名著『ソロ...
日本の動物行動学の第一人者が新潮社のPR誌『波』に連載したエッセイをまとめ、文庫化したものである。 著者は、1982年に設立された日本動物行動学会の初代会長で、『春の数え方』で日本エッセイスト・クラブ賞(2001年)を受賞しているほか、コンラート・ローレンツによる世界的名著『ソロモンの指環』やリチャード・ドーキンスのベストセラー『利己的な遺伝子』の翻訳を手掛けている。 40篇のエッセイでは、生存戦略などの昆虫の様々な生態、タヌキの子育て、外来生物、花粉症などの自然や動植物に関するテーマから、自らが学長を務めた琵琶湖畔の滋賀県立大学の建設と自然の問題や教育などについて、ユーモアを交えて語られており、読み易い。 書名である「人間はどこまで動物か」と題する一篇では、「人は、「イヌはどこまでネコか?」という問いを発することはない。それは人々が無意識のうちに、イヌとネコはまったく違う動物であることを知っているからである。・・・それなのに人は、なぜ「人間はどこまで動物か?」と問い続けるのだろう?そこには常に一本のスケールの上での到達度を問題にしようとする近代の発想の呪縛があるようにしか思えない」と、近代の人間の(動物学の分野に留まらない)あらゆるものの捉え方に対して強い疑問を呈している。 (2014年1月了)
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穏やかな筆致で動物たちの行動原理を説くとこによりヒトの生き方を鋭くえぐる。 ショウジョウバエの一節などは目が覚めた思いで読ませて頂いた。 グラスに小バエがとまった、という私なら「邪魔だ!シッシッ!」で終わる日常のひとコマを豊かに広く展開していく。 単に話が面白いにとどまらず、知...
穏やかな筆致で動物たちの行動原理を説くとこによりヒトの生き方を鋭くえぐる。 ショウジョウバエの一節などは目が覚めた思いで読ませて頂いた。 グラスに小バエがとまった、という私なら「邪魔だ!シッシッ!」で終わる日常のひとコマを豊かに広く展開していく。 単に話が面白いにとどまらず、知性の意義を考えさせてくれた一冊。
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普段、花を見ても虫を見てもなんとも思わない。そのなかでも蜂やゴキブリがいれば逃げるし、夏の暑い時期の蚊や蝉はとても鬱陶しく思う。 そんな思いでしか見ることのできなかった植物や動物、虫たちに対するきもちが、本書を読んで少し変わったように思う。 蝶の話し。 モンシロチョウの翅とアゲハ...
普段、花を見ても虫を見てもなんとも思わない。そのなかでも蜂やゴキブリがいれば逃げるし、夏の暑い時期の蚊や蝉はとても鬱陶しく思う。 そんな思いでしか見ることのできなかった植物や動物、虫たちに対するきもちが、本書を読んで少し変わったように思う。 蝶の話し。 モンシロチョウの翅とアゲハチョウの翅の違いなんて、考えたこともない。この本を読まなければ、この先ずっと知りたいとも思わなかっただろうことがたくさん綴られている。そうだったのかと驚くことばかり。 人間には計り知れない、動植物、昆虫たちの生活や生き方が、筆者の自然に対する謙虚な姿勢と共に綴られたエッセイ集です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
動物行動学者によるエッセイ集。セミの泣き声や、秋に舞うチョウ、タヌキのオスの子育てといった生き物の行動の「なぜ」をユーモアを交えて解き明かしている。飽くことのない好奇心と観察者としての冷静な視点、それでいて観察対象である生き物への愛情を感じる。 気軽に読めて詩情のある文章なので、少し疲れた夜にゆっくりしたいときにお勧めです。
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(推薦者コメント) 人間、つまり「ヒト」は、何が人間であって、何が動物なのか。「ヒト」という生物の種は、どこまで動物なのか、動物でないのか。そんなことを考えたことがある“ヒト”なら、おすすめできる本。
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「人間はどこまで動物か」4 著者 日高敏隆 出版 新潮社 p195より引用 “情報はそれを求めているものにとってのみ情報なのである。 あらゆるデータを情報と呼ぶのは、やはり何か間違っていると思 えるのだが。” 動物行動学者である著者による、動物たちや人間について書か れた...
「人間はどこまで動物か」4 著者 日高敏隆 出版 新潮社 p195より引用 “情報はそれを求めているものにとってのみ情報なのである。 あらゆるデータを情報と呼ぶのは、やはり何か間違っていると思 えるのだが。” 動物行動学者である著者による、動物たちや人間について書か れたエッセイ集。 町中の音についてからセミが何故鳴くのかまで、穏やかな文章で 綴られています。 上記の引用は、情報と信号について書かれた項の一文。 自分にとって本当はどうでもいいことであっても、どんどんと目 から耳から入ってくる御時勢なので、それらにふりまわされない ように気を付けたいと思います。 ーーーーー
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題名が気になり購入しました。進化論に関する内容かと思いきや、この本は植物記であり昆虫記であり、人間を含む動物記です。紹介されているエピソードはとても楽しくて、先生の目線と考え方に感心させられつつも、遊び心が見え隠れするやわらかい文章から人柄と自然に対する敬愛が感じられ、いつもより...
題名が気になり購入しました。進化論に関する内容かと思いきや、この本は植物記であり昆虫記であり、人間を含む動物記です。紹介されているエピソードはとても楽しくて、先生の目線と考え方に感心させられつつも、遊び心が見え隠れするやわらかい文章から人柄と自然に対する敬愛が感じられ、いつもより噛み締めながらゆっくりと読んでしまいました。これぞエッセイという本を久しぶりに読んだ気がします。環境破壊を伴う開発などは影をひそめましたが、ヒステリックにエコを唱える人にも是非読んで欲しい、押し付けではない自然に寄り添う環境保護とはどういうモノかを教えられる一冊です。
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「春の数え方」に続いくエッセイ集。大学開学準備室の頃から目を配ってられた大学周辺の自然のこと、川の増水対策と生き物たちの棲息環境を守るために心配りをすべき視点が、ごもっとも、と頷きながら読みました。言われてみれば至極当たり前なことなのだけれど。 虫たちの観察について綴っておられ...
「春の数え方」に続いくエッセイ集。大学開学準備室の頃から目を配ってられた大学周辺の自然のこと、川の増水対策と生き物たちの棲息環境を守るために心配りをすべき視点が、ごもっとも、と頷きながら読みました。言われてみれば至極当たり前なことなのだけれど。 虫たちの観察について綴っておられる文章は、実に楽しそうですね。
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