トム・ゴードンに恋した少女 の商品レビュー
スティーブン・キングが楽しみながらサラサラと書いたであろうこの小説は、適度な緊張感が心地よく、ピンチに陥った主人公の少女に寄り添うように読んでいける、上質な娯楽小説でした。 9歳の少女、トリシアの両親は離婚したばかり。彼女は母と兄と一緒に暮らしている。 教育熱心で父親役も果...
スティーブン・キングが楽しみながらサラサラと書いたであろうこの小説は、適度な緊張感が心地よく、ピンチに陥った主人公の少女に寄り添うように読んでいける、上質な娯楽小説でした。 9歳の少女、トリシアの両親は離婚したばかり。彼女は母と兄と一緒に暮らしている。 教育熱心で父親役も果たそうと頑張る母親は、毎週末、子供たちをいろいろな場所に連れて行く。 思春期にさしかかった兄は、母親に反抗する毎日。 その日も、森林公園の遊歩道を二人は口げんかをしながら歩いていた。 後ろをついていくトリシア。 トイレに行きたくなった彼女は、遊歩道からはずれ、そして迷子になってしまう。 大好きなトム・ゴードンのサインがあるボストン・レッドソックスのキャップをかぶって。 9年の人生を生きてきたそれなりのタフさを抱えて、それでももちろん非力で無力な子供に過ぎない少女と、広大で圧倒的な存在の森。 家族や友人、そして何よりもトム・ゴードンを心の支えに、必死に前へ進み続けるトリシア。 「動かないほうがいいのに~」とか思いながら、悲惨な状況になっていくばかりの、彼女のサバイバルをどきどきしながら見守る。 果たして彼女は、クローザーのトム・ゴードンがチームをセーブ(save=救う)するように、自分自身をセーブすることができるのか。 ストーリーテラーとしてのキングの素晴らしさを、手軽に味わえる作品。 野球を知らなくてもたぶん大丈夫。
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これといって大きなクライマックスがあるわけでもないが、道に迷ったり怪我をしたりする描写が痛々しいほどリアルで、そのリアルさがラストの感動を高めてくれた。
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最後は泣いてしまった。 自分に負けなければ大丈夫だと私も思った。 信じるものがあれば、大好きなものがあればがんばれるんだとも。 そういうものを見つけたい。
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家族でハイキングにきた9歳の少女が、道に迷う。 そして彼女のサバイバルが始まる。 結論からいいますと、ものすごーーーーーーーっくいいです。 も、最後号泣だったもんね。それも、ネガティブじゃなくてポジティブに。いいもの読んだよ。 キングって、最後が「ああああ」ってなるの...
家族でハイキングにきた9歳の少女が、道に迷う。 そして彼女のサバイバルが始まる。 結論からいいますと、ものすごーーーーーーーっくいいです。 も、最後号泣だったもんね。それも、ネガティブじゃなくてポジティブに。いいもの読んだよ。 キングって、最後が「ああああ」ってなるのが多いんだけど、これは大丈夫だからねっ<誰に言ってるww 迷う前に彼女の家族のことが描かれるんだけど、も、彼女の健気さに胸が熱くなる。 でもって、トム・ゴードン(アメリカの野球選手)に対する彼女の純粋な思い。読んでる時、とくに始めの頃は、このタイトルはちょっとねぇと思ってたんだけど、最後にきたら、このタイトルしかないなって思った。 人を動かすのは、人だし、強い思いは、糧になり理由になり意味にもなる。 キングらしい、ホラーチックなところもあるけど、かなりトーンは落ちてる。が、そのトーンの落ち方がリアルで、怖いんだけどね。(幻を見るにしても、オヤジが作家である「シャイニング」の主人公とは全然違う。9歳の子供の考えるものっていうのは、やっぱり限界があるわけで…。 このペンの制御の仕方が、キングをキングたらしめてるんだろう。 キングの根底に壮大に流れているリアリズム。 うん、キングは、リアリズムの作家なのだ。 にしても、私は常々、子供はボーイスカウト&ガールスカウトに1.2年は入るべきだと思っている。それは、礼儀作法もあるけど、アウトドアでのサバイバルや救急措置なんかを勉強できるからだ。 実際、それを知っていてもそうやって動けるか、というのは別問題だ。けれど、何も知らないことはパニックをもたらす。知識があれば、少なくとも落ち着いて行動できる。 同じように、子供だって護身術を知っておくべきだと思う。 何かあった時、一番怖いのはパニックになって自分で自分を制御できなることなんだ。 という気持ちをさらに強くした本書。 ちなみに彼女は、キノコはよく知らない、けど、毒があると半端じゃない、ってことでキノコは食べませんでした。 9歳なのに、エライ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある野球選手を愛する、ごく普通の少女が森で一人きりで遭難して、色んな不思議やら恐怖やらを体験しながらも、誰かに見つけてもらうために頑張る話。 …って書くと、なんか普通に普通の児童文学くさいのですが、キングですから、それはもう恐怖は本当に恐怖。野生の動物の声、肌のかぶれ、食料の確保、虫が顔のまわりをブンブン飛び回る…。ファンタジックな冒険ものなんかにはない、リアルで大変で、だからこそ応援したくなる、手に汗握る物語です。 子どもからしたら、とんでもなく理不尽な不幸だと思うんです。 なんで私がこんな目に?って。だってお腹すいたし、家に帰りたいし。ああ、もう嫌だ。虫の音で眠れない。足が痛い。方向はこれでいいの?なんでこんなことになったのよ。何で道をそれたの? でも泣いていられない。どうにかしなきゃならない。あまりにも等身大で普通な少女のとっても緻密な心理描写にのめりこみすぎました。
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物語を通して主人公の少女のがどんどん成長していくのがありありと分かる。 実は少し前に読んだものなので記憶は明確ではないのですが。。。。 幼い少女 ↓ 少し成長した少女 ↓ 肉体>精神 ↓ 更に成長した少女 ↓ 生と死のはざまで限界に達する少女 ↓ 成長はしたが、また純...
物語を通して主人公の少女のがどんどん成長していくのがありありと分かる。 実は少し前に読んだものなので記憶は明確ではないのですが。。。。 幼い少女 ↓ 少し成長した少女 ↓ 肉体>精神 ↓ 更に成長した少女 ↓ 生と死のはざまで限界に達する少女 ↓ 成長はしたが、また純粋な少女に戻る 見たいな印象を受けた気がする。 人間の生活からかけ離れた森の中で 必死に色々なものと、特に自分と戦う中で成長していくのが見えた。
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女の子版『スタンド・バイ・ミー』って言ってしまうと語弊があるんだけど。まあ、こっちは一人だし、好き好んでサバイバルな状況に置かれたわけじゃないしね。 ただ女の子が道に迷うってだけの題材で、どうしてココまでおもしろく書けるんだろう?さすが!としか言いようがありません。 いつもキ...
女の子版『スタンド・バイ・ミー』って言ってしまうと語弊があるんだけど。まあ、こっちは一人だし、好き好んでサバイバルな状況に置かれたわけじゃないしね。 ただ女の子が道に迷うってだけの題材で、どうしてココまでおもしろく書けるんだろう?さすが!としか言いようがありません。 いつもキングの作品を読む度に思うんだけど、描写が細かいんです。だからその時の状況とかが、リアルに思い浮かべられる。 顔にまとわりつく蚊の大群だとか、濡れた落ち葉の感触とか、ドロドロの何がいるのかわからない沼の様子とか。 あ、スタンド・バイ・ミーっぽいって思ったのがあった! 朝起きたら、鹿がいるシーンがあって、読んだ瞬間にスタンド・バイ・ミーの朝の線路のシーンを思い出しました。 キングにしては短い話だったし、一気に読んでしまいました。 最後とか、トリシアを待っている家族の心情の部分で感動しました。
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森へ迷い込んだ少女と一緒になって、はらはら、手に汗握って読み進む。 早く読み終わりたいような、読み終わりたくないような。 最後のページまでたどり着いたとき、ほっとしてウルっとする。
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キングお得意の設定って感じです。これといって目新しさもないストーリーで最期まで読ませてしまうのはさすがです。でも、キング好きの人にはものたりなさがあるでしょうね。
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病院の待ち時間に切れ切れに読んだため、記憶が薄い。 サバイバル物は好きなのでサクサク読めた。 キングにしては厚みが足りないのが難点か。
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