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青騎士 の商品レビュー

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2010/04/06

20世紀初頭のヨーロッパ、特にドイツでナチによる退廃芸術(時代的には、いわゆるシュルレアリスムやキュビズムなどの前衛芸術)排斥の最中に産声をあげたカンディンスキーとフランツ・マルクらによる年刊誌、かつ初版豪華版の復刻で、第一次世界大戦の勃発によって次号は永遠に刊行されなかったとい...

20世紀初頭のヨーロッパ、特にドイツでナチによる退廃芸術(時代的には、いわゆるシュルレアリスムやキュビズムなどの前衛芸術)排斥の最中に産声をあげたカンディンスキーとフランツ・マルクらによる年刊誌、かつ初版豪華版の復刻で、第一次世界大戦の勃発によって次号は永遠に刊行されなかったという。 当時のお固い芸術論が跋扈する中でアカデミックな教養を受けつつも印象派やユーゲントの影響をかなぐり捨てたカンディンスキー。ある程度まで自己を確立しアナーキーな活動は続いてゆく。その中で出会ったシェーンベルク(後にジョンケージなどに影響を与え、クラシック音楽で新ウィーン派だっけ?に脈々と受け継がれる人物で、匂い、色などの共感覚を表現としてクラシックに取り入れたり、新しい音律を生み出した)と出会い、結果絵画にリズムや音階を合成する作業をカンディンスキーは始める。そこからマルクらやワーグナーの話が続くのだが割愛して、さらに後のクレーらと共に御存知のバウハウスに繋がっていきます。そう、クレーもコンポジションとフォルムについてずっと考えていたに違いない。 ところで、私はカンディンスキーやシェーンベルクに対しての理解を深める書物として購入しています。当時の芸術の方向性や雰囲気を得るためにも役に立つでしょう。ただ彼の芸術の変遷、特にシェーンベルクと出逢う以前と、以後のカンディンスキーの変化が目の当たりに出来、さらにその偏向具合がテクストとしての芸術論にもかなり多く含まれているので、その辺りに興味のある方は是非お求め下さい。決して安く無い本ですが得られる情報はその対価と比較するまでもなく、かけがえの無い書物になるでしょう。

Posted byブクログ