キケロ の商品レビュー
共和政ローマ末期を生きた、政治家・弁論家キケロの生涯。そして敗者から見た共和政ローマ史でもある。 キケロはカエサルとほぼ同時期に生き、名門の出ではないながらも執政官まで登り詰め、長きにわたってローマ政治史に影響を与えた人物である。 その立ち位置は、比較的穏健な閥族派(=保守派)...
共和政ローマ末期を生きた、政治家・弁論家キケロの生涯。そして敗者から見た共和政ローマ史でもある。 キケロはカエサルとほぼ同時期に生き、名門の出ではないながらも執政官まで登り詰め、長きにわたってローマ政治史に影響を与えた人物である。 その立ち位置は、比較的穏健な閥族派(=保守派)であり、伝統を重視する古き良きローマを理想とした。 政治的には、最終的にはカエサル派に敗れ去った人物である。(カエサルより長生きはするが) すなわち、キケロの生涯を丹念に追うことで、共和政ローマが何故機能不全に陥り、そのまま再起できずに、単独支配⇒帝政へと移っていかざるを得なかったかが際立ってくる。 本書はその記述の多くを、キケロが残した膨大な書簡や著作と言った一次史料に依拠している。 特に親友であるアッティクスに宛てた書簡を追うことで、キケロの心の動きが読み取れるようで、非常に臨場感がある。じわじわとキケロの理想が遠のき、政治的に追い詰められていく時期など、キケロの苦悩が伝わってくるようである。 登場する同時代の人物も生き生きと描かれており、スルスルと最後まで楽しく読める。 キケロは治世においては間違いなく能吏だった人物である。それまでの常識を持って混乱するローマを懸命に建て直そうとした。 ただ激動の時代はカエサルのような桁外れの人物を求めたのだろう。 歴史の面白みがぎゅっと詰まった一冊と思う。
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だいたい、カエサル側からの論評や小説が多いので バランスを保って拝読。 なるほど。キケロって新参者だったのか? そりゃ、努力するし大変だね。 だってカエサルはひどい事したけど名門:ユリウス家の 人間だから許されることあるけどね。
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