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水うちわをめぐる旅 の商品レビュー

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2009/10/04

何もないと思っていたこのまちに、こんなにすてきなものがあったなんて! 水うちわに出会った若者たちが、自分の生まれたまちで、自分たちのルーツを探っていく。 時代のうつりかわりとともに、いつの間にか風化し、なくなりつつあった岐阜の工芸品「水うちわ」。 それは水のように透き通ってい...

何もないと思っていたこのまちに、こんなにすてきなものがあったなんて! 水うちわに出会った若者たちが、自分の生まれたまちで、自分たちのルーツを探っていく。 時代のうつりかわりとともに、いつの間にか風化し、なくなりつつあった岐阜の工芸品「水うちわ」。 それは水のように透き通っていて、可憐で、とても丈夫なものだった。 そしてそれをつくる職人たちは、かつて人々の欠かせないライフラインであった長良川の流域でつながりあい、それぞれが役割を担い、それを生業としていた。 現在の地方はほとんどが社会のグローバル化によって産業の空洞化、そして過疎高齢化に頭を抱えている。岐阜もそんな地方都市のひとつである。 水うちわはそんな時代の流れに犠牲になり、消えつつあった。 しかし、どんな小さな地域にも、かつてから大切に受け継がれてきたくらしがあり、文化がある。 水うちわはまぎれもなく、長良川流域で人々が自然と密着して生きてきたことを象徴する「岐阜のアイデンティティ」そのものである。 なくしてはいけないもの、忘れてはいけないもの。 この世の中で生きていると、それに気づく機会を見失いそうになる。 「地域再生」というとなんだか大袈裟な響きがするけれど、本当に小さな積み重ねのことなのだと思う。

Posted byブクログ